12話:刺客 ~ 狙われた彩人 ~
テレビ画面に映る“耳の長いダークエルフの少女”による突然の宣言。
『アタシは今日、貴様からウイ
――その直前に、『おいッ、見ているかアカバネアヤト!!』と名前を呼ばれた
困惑、というよりは焦りの表情。
画面の中で、黒スーツの女性にマイクを取り上げられるダークエルフの少女を見ながら、彼女はツーっと冷や汗をかいている
「マズい事態になった。まさかエリスが来るとは……ッ」
「あの子、
「――エリスは、ボクが異世界で世話になっていた家の娘だ。色々あって仲良くなって、何かと慕ってくれる子なんだけど……ちょっとボクのことを“慕い過ぎている”節があってね」
「慕ってくれるのはいいことじゃないの?」
「慕ってくれる“だけ”ならね。エリスの場合はちょっと度が過ぎているというか、ボクに近寄って来る人をとにかく排除したがる傾向にあるんだ。以前、ボクが異世界で“男”として暮らしていたことは2人にも話したよね?」
「うん。勇者になれるのは男性だけだから、
「あぁ。だからボクが女だと知っていたのは、エリスとその家族と僅か数名の人間だけ。何も知らない男子は仲良くなろうとボクに声を掛けて来てくれたんだけど……それを全部エリスが追い払ってね。それで結局、ボクには男子の友達が出来なかった。女子ですらボクに近づいてくる子はエリスが睨み返すから、友人関係には本当に苦労したよ」
「あ~……」と納得する
「それで“さっきの発言”か」と
エリスが
『えー、会見は以上です。今後の詳細は改めて『異世界庁』より発表致します』
ざわざわと混乱が続いていた会見場の映像が切り替わり、元々放送されていたアニメに変わる。
ダークエルフの少女:エリスによる発言は予定外だったのだろうが、予定外なのは
特に、この中で誰よりもエリスのことを知っている
「参った……コレは
「え、そんな過激な事されるのか? あのエリスって子、まだ子供に見えたんだけど……」
「あぁ、エリスはまだ13歳だ。年齢的にも性別的にも交換留学生に選ばれる筈はないんだけど、エリスの家は国王にも顔が効く古くからの名家だからね。何かしらコネを使ったのは間違いない」
「コネで異世界留学って、夢があるのか無いのかわかんねーな」
「
ビクッと、3人の身体が震えた。
あまりのタイミングの良さに「エリスが来た?」と身構えた
「多分、宅配か何かだ。ちょっと行って来る」
只今の時刻、両親は不在。
必然的に
ご時世的にもインターフォンのモニターで訪問者を確認すると、黒い猫でお馴染みの配送業者が段ボールを片手に立っていた。
待たせても悪いので「通話ボタン」を押すと、すぐに向こうから声がかかる。
『宅配便です。本人受け取りの荷物なんですけど、
「あ、俺です。今出ますね(……何の荷物だ? 入院関係の何かか?)」
クレジットカードや保険証等、大事なモノが郵送で送られてきた場合には本人確認が必要になる。
ただ、一介の高校生である
本人確認が必要な届け物に心当たりが無く、直近で言えば「入院」が一番大きな出来事だった為、それ関連の何かだろうと勝手に推測した――それが間違いだった。
「今開けますね」
スリッパを履いて玄関を開けるも、“玄関前には誰も居ない”。
「はて?」と首を捻った、その直後。
(ん? 何だこの匂いは……あれ?)
“急激な眠気”が襲って来た。
当然ながら抗おうとするも、それは向かい風に「ふー、ふー」と息を吐き、風向きを変えようとしてるようなモノ。
闇夜に
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