10話:序列 ~時間の長さは関係無い~
~
その日、3週間ぶりに教室へ姿を現した
「えッ、
「おいおい、もう学校に来て大丈夫なのか?」
「マジでお前、心配かけんなよ
「あ、
「心配かけて悪い。けど、身体も大丈夫だし問題ねーよ」
皆の心配が嬉しく、同時に恥ずかしい
そのやり取りを彼女の
「はいはい皆さん、席に着いて下さいね~」
教室の扉をガラガラと開け。
クラスの担任:20代後半の女性教師が入って来たかと思えば、その後ろには見惚れる程の“美少女”。
それも「普通の制服姿」の美少女に、また転入生がやって来たのかと最初はそう思った生徒もいたが、彼等はすぐにハッと目を見開く。
クラスメイトの全員が、その美少女の顔に“見覚えがあった”為だ。
ざわざわざわと、異様なまでにざわつく教室で、担任が「コホンッ」と咳払いして美少女に目配せ。
それを合図に教壇へ登った彼女は、皆が“聞き覚えのある声”で告げる。
「皆さんお久しぶりです、勇者です。見ての通り、本当は女です」
「「「……え?」」」
「それと、異世界から来たのは本当ですが、実は地球生まれの地球人です」
「「「……え?」」」
「あと、ボクの名前は『
「「「えぇぇぇぇええええええええ~~~~ッ!?」」」
■
~ 放課後 ~
入院前と同じように、仲良く帰路へ着いた
そんな
「改めて確認するぞ? 男装したお前は
「うん、大体そんなところだね。
やれやれと、
それを見た
「そんなことしても無駄だもん。私の
「むむっ、その言い方は何だか棘があるね。言っておくけど、ボクの
「
「時間の長さは関係無いよ。
「ッ!?」
ガーンと、背後から音が聞こえてきそうな程にショックを受ける
それから「むぐぐぐ……」と悔し気に唇を噛み締める彼女は、「でも」と言葉を切り返す。
「でもでも、現実として10年間一緒に居たのは私だし、総合的に考えれば“幼馴染み序列”の1位は私だもん。
ここで「ハッ」と言葉を止める
しまった、という表情で
「気にしなくていい。ボクが持っていないモノを、
「私、それしかないの……?」
「冗談だよ。でも、そうだね――うん。彼女の地位は
「え……いいの?」
「あぁ、代わりにボクはお嫁さんの地位を貰う」
「だッ、駄目だよ!! 私が
「別に構わないよ。ただし、
「ズルいッ、私だって1位がいいのに!!」
白熱する女性陣二人の言い争い。
そのラリーを間で見守る
普通に考えると片方の想いには応えられない訳で、現状では10年間一緒だった、そして自分から告白した
だけど。
『開門』という、言わば“星の悪戯”で離れ離れになった
それを言う気概も無いし、そんな自分を弱いとも思うし、だけどそんな気概が欲しいとも思わない、実に複雑な感情を抱えたまま、
「――
「確かに、普通はそうかもしれない」
否定はせず、しかし
「実はボク、
「は? どういうことだ? 異世界から……俺のことを見てた?」
「うん。異世界に飛ばされてすぐ、地球との外交に携わっている人と知り合いになってね。その人に頼んで、
「「……はい?」」
それをニヤニヤと眺めながら、
「残念ながら、世界を跨いだ情報通信には色々と制限や問題があってね。監視カメラの画質は荒いし、音は完全に無音だった。でも、逆にそれがボクの想像力を掻き立て、
「おい……おいおいおい、マジかお前、マジで言ってるのか?」
「マジで言ってるよ。ボクは
「わー!!」
周囲も吃驚な大声を上げ。
その顔色に感化されたか、横断歩道の信号が点滅して赤となり、足を止めた3人の前を大型トラックが「ブロロロッ」と通り過ぎる。
遅れて風が吹き、舞った砂埃と共に過ぎてゆく時間が、3人の新しい日常。
10年の時を越えて幕を開けた「三角関係」が、これから先の未来でどんな変化を起こすのか――それはまだ、誰も知らない物語。
【序章】(完)
――――――――――――――――
*あとがき
【序章】の完読ありがとうございます。
ここまで見て頂けただけでも十分過ぎる程ですが、引き続き【1章】以降もお付き合い頂けると更に嬉しいです。徐々に「エロ & 百合」要素も増えていく予定なので、予めご認識の程よろしくお願いします。
下記に【1章】で登場するヒロインのデザイン画を載せています。
*【デザイン画】はこちら ⇒ https://kakuyomu.jp/users/nextkami/news/16818093076299939562
続きに期待と思って頂けたら、本作の「フォロー」や「☆☆☆評価」を宜しくお願いします。1つでも「フォロー」や「☆」が増えると大変励みになりますので。
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