7話:感触 ~マシュマロの様な柔らかさ~
幼馴染みの彼女:
病室をダイナミックに抜け出し、自宅の前まで戻って来た
二人の家は隣同士なので、先に両親へ自分の無事を伝えても良かったが、
(リビングは真っ暗だけど……玄関と
彼女の在宅は確定。
せっかくなら驚かせてやろうと、彼はチャイムを鳴らさずに
鍵は掛かっておらず、問題無く開いた扉の向こうには“見慣れた小さな靴”と“見慣れぬ靴”。
(ん、コレは……誰のだ?)
見慣れた小さな靴は、
問題は見慣れぬ靴――「ブーツ」の方。
一瞬、
――ドクンッ。
心臓の高鳴りは、嫌な予感を覚えた証。
(まさかこのブーツ……いや、
多分、きっと、自分の思い過ごしに違いない。
そう自分に言い聞かせても、心臓の高鳴りは止まらない。
真っ直ぐ続く廊下の右手は真っ暗なリビングで、普段なら彼女の両親が居る時間だが、何故か今日は気配が無い。
廊下の奥は何度か利用したこともある脱衣所で、そして
足音を立てないように、まるで泥棒の様な気持ちで階段を上る
そのまま
最愛の彼女:
「
バタンッと扉を開け、部屋に突入する
直後に「絶句」。
瞬時に“この状況”を理解するのは不可能だ。
彼の瞳に映ったのは、ベッドの上で仰向けになっている“下着姿の
そんな幼馴染み彼女の上には、マントを羽織った異世界からの転入生――「勇者」が跨り、
「
「なッ、目覚めたのか!?」
驚愕に目を見開く
そんな二人の反応が、というよりも「状況」が何を差しているのか、それを数秒遅れて理解してしまった
彼の心は一気に“悔しさ”が溢れ、それ以上の“怒り”が爆発する。
「勇者ッ、テメェ~~!!」
カッと頭に血が上り、同時に目から涙も溢れたまま。
その拳に対し、勇者の反応は早かった。
襲い掛かる彼の腕を掴み、力を逆に利用して、流れるような動作で床に叩きつける!!
そして、叫んだ。
「待て
「ふざけるなッ、何が誤解だ!! 俺の
「ね、寝取ってなどいないしッ、そもそも“ふざけるな”はこっちの台詞だ!! 悪いのは
「あぁッ!? この期に及んで言い訳してんじゃ――」
態勢を立て直し、今一度勇者に襲い掛かる
その手を再び勇者が掴み、今度は床へ叩きつける代わりに、“自分の胸へ「ムギュッ」と押し当てる”。
「ッ!?」
“想定外の感触”。
一瞬にして考える力を失った彼は、ただただ感じた事実を口にすることしか出来ない。
「あれ、スゲー柔らか……え?」
頭に上ったばかりの血がスーッと下がる。
少しだけ冷静になった彼は、想定外の柔らかさを改めて確認し、パチクリと瞬きを繰り返す。
「勇者……お前、まさか……?」
「人の胸を揉んでおいて、まさかも何も無いだろう。ボクは――“女”だ」
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