5話:昏睡 ~開放感が過ぎる夢~
一瞬の気の緩みだった。
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~
勇者が転入してきてから既に3日が経過し、4日目を迎えた木曜日の夕方4時。
学校が終わり、帰宅部の
「……おい勇者、これでもう4日連続だぞ。いつまで俺達の後を付けるんだ?」
「勿論、キミ達二人が別れるまでだよ。
「だから別れねぇって言ってるだろ。頭おかしいぞお前」
「おかしいのはそっちだよ。ボクがこんなに頼んでいるのに」
(駄目だコイツ、話にならねぇ……)
これ以上の会話は時間の無駄。
異世界から来た転入生に、最初こそ優しく接してあげようと努めていた
勇者を無視して歩く
(このままじゃあ俺と
対応が遅れれば遅れる程、噂にあらぬ尾ひれがついて拡散するのが世の常。
隣を歩く
早急に手を打たなければ取り返しのつかない事態になり兼ねない。
というか、そもそも既に取り返しのつかない事態とも言えるが――
「
(ん?)
直後に鳴り響くクラクションも、結果から言えば無意味。
その日、赤信号を無視して車道に出てしまった
■
一瞬とも、永遠とも思える時を超え。
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――
―
白とも黒とも判断の付かない、境界の無い
それが夢だとわかっていたのは、現実ではあり得ない光景だった為だ。
あり得ない夢の光景、その登場人物は3人。
1人目は夢を見ている本人、
2人目は幼馴染みの少女:
そして問題は3人目。
宝石の如く透き通る瞳を携えている、ただひたすらに美しい少女だ。
見覚えがある様な気がしなくもないが、かと言って名前を思い出せる様な手掛かりも無い。
3人は揃って一糸纏わぬ姿――つまりは「全裸」で、寝そべる
そこだけを切り取れば「エロティック」な光景だが、それを「シュール」に変えているのが周囲の景色。
彼等の周りは絵に描いたようなお花畑が広がり、遠方に並ぶアルプスの如き雪山まで視界を遮るものが一切ない。
いくら夢の中の出来事とは言え、流石に開放感が過ぎるだろう。
(一体何なんだこの夢は? 勇者のストレスで俺の頭がバグったか?)
どんな精神状態ならこんな夢を見ることになるのか、それはわからないものの。
ともあれコレが「悪い夢」でないことは確かで、ある意味では正に「男の夢」と言っても過言ではない。
もし明晰夢(夢の中で「これは夢だ」と自覚している夢)をマスターして、いつでもこの夢が見れるなら、毎日でも見たいと願う夢であることは確かだろう。
(
大好きな幼馴染みの彼女と、名前は知らないけど美しい少女。
目のやり場に困る二人に優しく身体を
(はぁ~、何にせよ極楽極楽、眼福眼福。このまま永遠に癒されていたい)
まるで自分の身体が浄化されている様な気分だ。
邪念の塊のようなこの夢で、全ての邪念が取り払われている様な感覚を覚える。
この世に永遠があるならば、今の状況で永遠に陥って欲しいと願う
身体が
―
――
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――――――――
パチリ。
目覚めると、真っ先に飛び込んで来たのは薄暗い天井。
数秒見つめて、彼は――
――――――――
*あとがき
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