きょうだいのような二粒の味
蒼キるり
きょうだいのような二粒の味
スプーンにひと匙アイス掬って俺の口に入れる自分も食べな
夏野菜瑞々しいと笑う頬に伝う汗が艶めかしくて
頬の裏がぎゅっと痛むほどの甘味に誘われた気がしてキスする
昔から同じもの食べてきたから舌も同じ味がするんだね
山羊みたいと二人で笑い合えば味のない葉も美味しい不思議さ
果物の皮を剥く君の爪に纏わりつく実が一番美味い
半分こだと幼い頃と変わらない顔して割られたスコーン
美味そうに食べる姿に見惚れている俺を見て冷めるよと笑う
失敗したと不満げな料理も愛で煮込まれた優しい味だ
麺すする「う」の形の口に惹かれて思わず手の止まる昼飯
氷鳴る硝子のコップからからとこれ甘いと笑う顔が甘い
唇に汁がつくから果実みたいで噛り付きたくなる実より
どっちが甘いなんて果実持ち比べ林檎みたいな可愛い頬して
道端で草花摘みつつ可愛いと言いつつ鍋に入れる計画
凝ったものも美味しいけど二人ならなんでもと嬉しいことを言って
にんじんを星の形に切って今日はご馳走と笑うの反則
隠し味は愛ですと笑うからもう少しくださいとキスねだる
これ甘い多分だけどね得意げな顔信じればどの道当たり
舌に染み込む慣れた味家族になった証みたいで泣けてきて
スプーンでくり抜く君の好物を口に入れたから今日もしあわせ
きょうだいのような二粒の味 蒼キるり @ruri-aoki
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます