ソーシャルゲーム

第1話

ソーシャルゲームが大好きな男。様々なソーシャルゲームを掛け持ちして、デイリー、イベント報酬を欠かさず受け取り、かつ無課金である。

しかしゲームは大量に増えていった。AIの活用、技術的特異点の突破。男の住む時代には、もはや利益を必要としない娯楽としてのソーシャルゲームがあって、それが台頭していた。

それだけではない。ゲーム自体や、キャラクター自体をAIで自動生成することができたのだ。男は何より自分でつくったひとつのソフトを気に入っていた。

だがある時、そのゲームが異変をおこした。

「現実と戦え」

始めはむっとしていた男だったが、ある事に気づく。ゲームの中のストーリーが自分にアドバイスをしてくれた。アドバイスの通りにやるとすべての物事がうまくいったのだ。人間付き合い。ダイエット。趣味。勉強。

やがて男は、ソーシャルゲームをぱったりやめた。そして感謝するようになった。

「ああ、ありがとう、おかげで僕は僕の人生を取り戻したよ」

その傍ら、ゲーム内で☆３キャラたちがつぶやく。

「ああ、よかった、あいつ、☆１ランクユーザーだからな」

「まさか人間たちの振り分けガチャをこちらからやっていることなんて気づかないだろうなあ」