第6話 謎の行動
「すみませんこっち夕食未だなんで、お願いします。」
孝は腹ペコだった。
それもその筈、仕事おわりに直接神戸から阪神、名神、東名高速道路をかっ飛ばして午前5時に長野県、白馬スキー場五竜に到着していた。
平均時速150㎞。シフトレバーのクラッチが焼けそうに熱かった。
エンジン音は、ヒュイーーン!と小気味良い金切音を奏でミッドナイトのハイウェイにお似合いのBGMだった、午前5時に到着したは良いが、開店受け付け、チェックインには相当な時間を待たなくては為らない。
そこで車中泊にしたが、一旦睡眠に入ろうとした時、美代と直美が「ちょっとやっくんイビキうるさいヨ!」とクレームが来たので、リクライニングで横になろうとしたが、功太に「おい八束、狭いんだから自分だけ伸び伸びすんなよ!」と言われ神戸から長野県までノンストップで運んでやったのに!踏んだり蹴ったりだった。
なんたる仕打ち!
結局直角に座り背筋を伸ばされて寝れず仕舞いだった。
最初に目覚めた時午前8時だったので、他の3人と相談の上、10時のチェックインまで滑ろうという事で、休憩も無しにいきなりゲレンデに出た次第だ。
が、滑るのが楽しくて4人は昼食を採るのを忘れ今のダイニングに至った。
孝も赤のグラスワインを注文してそれを一気に飲み干した。骨身に染み渡る快感!
後で爆睡する算段だった。
ほどなくディナーの宴も終わり、孝、功太、美代が美代の部屋に集合して予め買ってあったモエシャンとチリワインを飲もうと美代を先頭に301号へ入室した。
300号室は直美の部屋だったが、未だ誰も人は居なかった。
シュポン!
手始めにモエシャンを開け、摘まみにカラアゲくん、カキピー、チーズ鱈、スルメ、などオヤジの花見の様に酒池肉林状態で宴会は始まった。
「直美はナイトスキーに行ったのかな?」まず、美代が口火を切った。
二つのベッドが感覚を開けて並んでその隙間に三人が尻餅をついて座りながらも酒を飲みつまみを摘まんでいた。
「一緒に行った人は誰なの?」唐突に功太が、疑問を呈したが、暫くしてから美代が「赤木さんね。元カレだったっけ?知らないけど・・・。」
そのまま美代はスルメをしがみ味わっていたから無言が続いた。
美代がスルメを飲み込んだ頃に功太がトイレへ立った。
その流れで美代が一つのベッドに寝転がり、「直美がこの部屋に寝てくれたらなあ~。」と、仰向けで独り言の様に漏らした。
「このベッドに寝てあげるよー。」と言いながら美代の寝転がって居るベッドに頭から匍匐前進をして美代の顔の上に来た。
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