踏んだり蹴ったり

功太が口を挟む!しらけた奴だ。

打ち合わせ通りに事が進んでるって事か!?

大きい声で叫びそうになった時、直美達はさっさと席を立って功太と孝を一瞥してダイニングを出て行った。ムカムカ来る!重低音の呟きを聞き逃さなかった。

功太の皿を観ると肉の大きな塊が二枚、乗っていて、一切れナイフで切って手付かずのまま放置されていた。

功太に理由を聞くと「お前がいきなり来たから食べ損ねた。」と、舌打ちして呟き赤ワインを口に運んだ。仕事では血も涙もないが此処でもか!?

孝が後で聞いたらダチョウのモモ肉と合鴨のモモ肉ステーキだという。

功太に言わせるとダチョウのモモ肉は固くて食べれたものじゃないが、合鴨のモモ肉ステーキは、とてもジューシーでタレが旨かった。

という事だった。


第二章「謎の行動」


「すみませんこっち夕食未だなんで、お願いします。」

孝は腹ペコだった。

それもその筈、仕事おわりに直接神戸から阪神、名神、東名高速道路をかっ飛ばして午前5時に長野県、白馬スキー場五竜に到着していた。

平均時速150㎞。シフトレバーのクラッチが焼けそうに熱かった。

エンジン音は、ヒュイーーン!と小気味良い金切音を奏でミッドナイトのハイウェイにお似合いのBGMだった、午前5時に到着したは良いが、開店受け付け、チェックインには相当な時間を待たなくては為らない。

そこで車中泊にしたが、一旦睡眠に入ろうとした時、美代と直美が「ちょっとやっくんイビキうるさいヨ!」とクレームが来たので、リクライニングで横になろうとしたが、功太に「おい八束、狭いんだから自分だけ伸び伸びすんなよ!」と言われ神戸から長野県までノンストップで運んでやったのに!踏んだり蹴ったりだった。

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