第3話 珍獣

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 当日私は心配しすぎてイライラきていた。

「お金に薄味くんでは、女は痩せるよ」

 すると由美は言い返してきた。

「お金が無くても豊かな心を持てって母が言ってた」

 お金がないのに結婚って危険思想だわっ。

「由美はわかってない!」

 もう、ほとんど珍獣なみよっ。

「だって私処女なの」

「えっ、処女……?」

「恋に夢を抱きすぎたんで……」

「大学時代どうしてたのよ。彼氏がいたんじゃなかったの?」

「迫られて拒んだら暴力振るわれて、結局別れたわ」

「モテてたのは幻だったっていうの?」

「みんな断わって逃げてきた。今日のこの日のためにね!」

 わかってないと思ったら。未経験……。

「やめなさい! ぜーったいやめときなさい! その男性とは合わないから!」

「ホワミーはだまってて!」

 あーもー、わかってないー。

 それでも服は貸すし、おすすめの美容院予約しといたけどぉー。

 ああもう、神様、仏様っ、由美の事お願いしますぅー!

「あ、ホワミー。でっかい真珠のイヤリング持ってたよね。貸してくれる?」

 うもぉー!!! いいけどさぁーっ!!!

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