第六章 お帰り日常。

第1話 最終消毒。

 ――2023年7月5日(水)。


 さぁて、とうとうこの日がやってきたぜ。

 発症してから10日の隔離期間を経て、とうとう開かずの間にふさわしかった寝室が開放されることになる……!


「とはいえわたしだけは居間と寝室を行ったり来たりしていたわけだけども。はー、よかったよ、とりあえず感染しなくって」


 だがウイルスはまだ部屋のあちこちに残っている可能性がある。


 朝の諸々を終え、今日は娘も朝の会から行く~と言ってくれたおかげで8時半には家に一人という状況になれた。

 ぶっちゃけ今日よりも一昨日とか、執筆に一日使える日に早く行ってほしかった気がするんだけども。まぁ過ぎたことよ。


「さぁて、掃除と言ってもどうすればいいんだ。壁は? 床は? 手の届かない電気の笠とか、どうすりゃいいんねん」


 ということで寝室を開ける前にまずはネットで情報収集だ。

 ウイルスって付着しているものによって、ひっついている時間がかなり違うみたい。プラスチックには一週間ついているのに、紙には三日くらいしかつかないとか。ものによって違うの、ちょっと面倒なんでやめてくださる?


「もう壁とか床とかの掃除を調べようとすると、コロナ病棟の清掃に関して、みたいな病院マニュアルが出てきちゃうわ。一般家庭用の説明書とかがあればいいのにな」


 調べているうち、なんかもうどうでもよくなって、とりあえず布団にアルコール吹きかけて、乾くのを待つあいだ小物を消毒して、そのあとその他の諸々を消毒しようと決める。


 ということでマスク二重、ビニール手袋、アルコール消毒とダスターといういつもの完全装備で寝室へ。


「この窓もずっと開けっぱなしだったなぁ。あっ、カーテンってもしかして全部洗ったほうがいい感じ?」


 だが外はあいにくの雨模様。洗ったところで干す場所がねぇ。


「しかたない、とにかくアルコールを吹きかけまくっておくか」


 その流れで窓も拭きかけまくり、手の届くところまでがんばって拭いた。……低身長ゆえ……上のほうは届かないのよ……くっ……。


「壁もとりあえず吹きかけておくか。くそ、二本目のアルコール消毒もとうとう空になりおって」


 いそいそと三本目を持ってきてシュシュシュシュとあちこちにかけまくる。

 それから部屋に置かれた諸々の消毒じゃ。

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