第11話 隔離最終日。

 さてはて、夫の朝ご飯用に、夜のうちにおにぎりを握っておくのも今宵が最後だ。

 廊下に置かれたバッグを鬼消毒して、中身の着替えを洗濯機にぶちまけ洗っておき、夜のうちに干しておくのもね。


「今日は帰ってくるの早かったんね~」

「うん、ようやく山場を越えた感じ」

「お、ということは納期大丈夫そうなん?」

「なんとかね」

「そりゃよかった。お疲れ様~」


 ということで19時前に帰ってきた夫。干したばかりの布団に寝そべって至福の笑顔を浮かべていた。汗が染み込みまくった布団、そうとう寝づらかったんだな……。


「明日の朝はいつも通り、ここから直接玄関まで出て行っちゃってください。で、仕事終わりには普通に居間に入ってきちゃってOK。寝室は昼間のうちにわたしが消毒しまくって、使える状態にしておきます」

「ようやく同居に戻れる~」

「本当にお疲れさんね。あとこれ差し入れ」

「えっ、やっていいの?」


 わたしが差し出したのは我が家に三台あるうちのゲーム機の一台。ソフトもちゃんと入っているぜ。


「明日、この部屋にそのまま置いておいてくれれば、明日一緒に消毒しちゃうから大丈夫。それにほら、沖縄行く前にラスボス倒すはずだったのに、メインクエストがもう一つあったせいで、そっちが終わらずエンディングまで行けなかったじゃん?」

「そうそう。やった~」


 ということで夫にゲームを渡して、その日は就寝。

 子供たちと一緒に寝ているおかげで、この10日間は夜更かしや寝坊とは無縁だったのが、わたしの中のいいことだったかもしれないね。


 わたしも子供たちも健康そのもの。5類になってからサボりがちだった体温測定も毎日朝夕とやっているけど、全員平熱。風邪のような症状もなし(ただし連日の暑さと湿度でどうしてもバテ気味ではあるが)


 こうして窓をあちこち開けてクーラーをつけて眠るという電気代の無駄も、明日からは少しは抑えられるはず。


(だがなぁ、明日、寝室にある全部を消毒するとなると、大変そうで今から憂鬱……)


 夫の布団ももう一度くらい消毒液まみれにしてもいいかもな。少なくともリセッチュはしておこう。そう考えつつ、とりあえず寝た。zzz。

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