第8話 日常に戻るための準備。

 ――2023年7月3日(月)。


「学校行きたくないぃぃいいい~!」

「出た。週末明けの学校行きたくない病のハードモード」

「行きたくないったら行きたくない!」


 と朝から元気にわめく娘さん。パパが昨日のうちに用意された朝ご飯を食べて、玄関から出て行くのを音で確認したあとで騒ぎ出すあたり、徹底しているなと思いつつ。


「ママ~、おれも今日は車で送っていって」

「はいはい。じゃあ○子は二時間目からで、○市は車で送るのね、はいはいはいはい」


 登校班のLIMEにその旨を連絡して、少し遅めに息子は登校。休むぅううう、と言っていた娘も「だからコロナ菌まみれの家より学校のが安全だって」という説得により、なんとか二時間目から登校してくれた。やれやれ。


「娘を送っていくのは10時過ぎになるから……あ、今のうちにあちこち連絡しちゃおう」


 夫が無事陰性になって、わたしも感染している感じが全然しないので、キャンセルした諸々に連絡することに。


「お母さあああん、お米がちょうどなくなりそうだから持ってきてほしいっす」

『はいはい、じゃあ明日そっちのネオンで待ち合わせね』


「ディーラーさんですか? わたし佐倉と申しまして、部品交換に先週うかがう予定だったのですがキャンセルしたので、また予約の取り直しをお願いしたいのですが――」


「あ、レディスクリニックさんですか? お世話になります。市から癌検診の受診票が届いたので予約をお願いしたいのですが――」


 ということで延び延びになっていた諸々を予約し直し。夏休みに入る前にこれらは全部しっかり終わらせておかなければ……!


 そして娘を学校に送っていき、時間は10時半。ウメキヨに寄ってハンドクリームを確保してから、ノートPCを持ってファミレスへ~。


「今からご飯食べて執筆だと3時間くらいしか書く時間がない。いつになっても原稿が終わらんわけだよ……」


 ということでサイゼリアに入ってご飯を食べたあとは、愛用のノートPCを開いてエッセイを執筆。

 エッセイはなにも考えずに書けるから筆が進んでありがたいね……原稿……? 終わる気配がないね……。夏休みに入るまでに書き上げたかったけど絶望的だなぁ……エッセイなんて書き出すからだよ……。


「いや違うね。エッセイを書こうと思ったのは、書かないとコロナになった夫へのキェエエエエって気持ちが昇華できなかったからさ。この苦労を全世界に発信して溜飲を下げないと、原稿なんかしている場合じゃないね」


 ということでしっかり3話ぶんを書いた。なにをやっているんだろう本当に。


「あぁああ、もう下校時間だよぉ~」


 先週までは送り迎えだったけど、今週からは普通に歩いて登下校していいよ~と子供たちには言ってある。朝は送っていた息子だけど帰りは歩いて帰ってくるだろうから、15時までに家にいればいいかぁ。


 ということでスーパーに寄ってから帰宅。息子を出迎えてすぐに娘を迎えに行き「今日も学校は最悪だった」とブスくれる娘を回収。


「パパはまだ別々なの?」

「そう、明日まで別々。明後日の夜から一緒にご飯になるからね」

「ええぇ~? やだ~」


 あるぇ~? パパと別々の生活に慣れちゃって、また一緒になるのがいやになってきているの、○子さんよ? パパ泣いちゃうぞ?


 いずれにせよ隔離は明日で終わりだ。長かったなぁ……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る