第7話 陰性になりました。
――2023年7月2日(日)。
今日もTwitterからの引っ越し先を登録するだけで一日が終わった。マジかよ。
「無論、買い物にも行ったけどな。ほら子供たち~今日のご飯はスーパーのお惣菜じゃ~」
「わーい、コロッケだ!」
「ローストポーク!」
手作りの晩ご飯より、買ってきたこういう品々のほうが子供たちにウケるの、本当に解せぬ。
「パパもそろそろ帰ってくるかなぁ。シャワーも浴びてくるしご飯も食べてくるから遅くなるのは必然とはいえ」
20時になっても帰ってこないのは少し遅いなぁという感じ。
食器を洗い米を研ぎ麦茶を作り、明日からはじまる平日に備えてあれこれやりつつ、子供たちを寝かしつける時間になって、ようやく夫は帰ってきた。
「お帰り~。やっぱ納期が近いと大変だね」
「うん。でもまぁいい感じに終わりが見えてきたから……ととと」
就寝のためのトイレに呼びに行ったら、立ち上がったときにやっぱりちょっとふらついた夫。腰痛はあいかわらず続いている様子。
「熱とかはもう全然ないんでしょ? 酸素濃度もOK?」
「うん。こまめに測っているけど、どっちも大丈夫。まぁ寝ていた時間が長かったからねぇ、しばらく痛むのはしゃーないよ」
「薬はもう全部飲みきったん?」
「うん。喉ももうそんな痛くないよ」
「そりゃよかった」
というわけで用を足し、わたしは掃除と消毒をし。
ふと思い立って、残っていた検査薬を夫のところへ持って行った。
「ウメキヨで二つ買っておいたんだよ。一つは陰性証明に使えるかなと思って。やってみ?」
「へぇ、検査キットってこういう感じなんだ」
「はじめて使ったときも横で用意するの見てたやん」
「いやぁ、あのときは朦朧としていて」
確かにそうだね。夫に渡してやってもらおうとしたら、説明書を読まずに適当に開けたりなんだりしようとしていたので、あわてて止めた。
「君はなにかね? まず説明書を読むということをしないのかね? まだ唾を収拾していないうちから検査液の封を開けようとするとはどういうことかねっ?」
「面目ねぇっす」
結局わたしが一から用意したという体たらく。唾が染み込んだ綿棒を搾り取るのはやってもらったけれども。
で、結果。
「陰性だね。いつになっても陽性の線が全然出てこない」
「そんな、ためつすがめつ角度を変えて、あちこちから見まくらなくても……」
「いや、ほんのうっすらでも線があったら陽性だからさ。でも、ためつすがめつ、親の敵を前のしたときの気持ちで見ても線がちっとも見えてこないので、陰性です」
「ということは隔離は今日で終わり……!」
「火曜日まで続けなさい。ウイルス排出がまだあるかもしれないじゃん。家族を危険にさらすことは一ミリたりとも許さん」
「……」
「しょんぼりした犬みたいな顔しても駄目」
ということで引き続き隔離は実行。とはいえ陰性が確認されたのはありがたい。わたしも明日からは外で執筆しても大丈夫かな。
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