第4話 教育現場も大変だ。
そうしてムキャアアアっと文章を書いているうちに子供たちの下校時間になった。息子を迎えに行き、洗濯機を回して、今度は娘を迎えに行く。
今日は娘が午後にプールだったのだけど、バスの到着が遅れてしまって駐車場で結構待つことに。先に帰ってきた息子は家に一人で大丈夫かしらと思いつつ。
その後も先生とちょっとやりとりがあったようで、ほかの四年生が下校したあともうちの娘だけ出てこない。昇降口で待つかぁと車から降りて歩いて行ったら、女教頭先生が「あら○子ちゃんのお母さん」と声をかけてくださった。
「あ、教頭先生お世話になってますぅぅぅあんまり近寄らないほうがいいですっ、うち、ほら、夫がコロナ療養中なので!」
歩いてくる教頭先生を見て思わず両手を突き出し後ずさりながら言う。教頭先生「あ、そうでしたね」と言いつつ「そこまで心配しなくても」と笑っていた。
「でも5類になったからってウイルスの力が弱まったわけじゃないですからねぇ。用心することに越したことはないですね」
「そうです、そうです」
思わずうんうんうなずくと、教頭先生もしみじみとうなずいた。
「5類になるって決まってから、わたしも校長先生に『5類になるって言ったってウイルス自体がなくなっているわけでもないし、どうやって子供たちを守っていけばいいんですかね』ってついつい聞いちゃったりして。でも聞かれたところで校長先生だって、国や県や市がそう言っているんだから、としか言いようがないしでね。学校としても対応が難しいところなんですよ」
なるほど、現場の先生方も大変そうだ。
5類になったことで児童のマスク着用は自由になったし、給食の時間も、机をくっつけてグループにすることはまだやっていないようだけど、それでも大きな声でなければおしゃべりOKになったという。
あいにくうちの娘は大勢での給食も難しく、空き教室で少人数で食べているそうだけども。
一緒に食べている子たちも、一人は普段から保健室登校で、給食だけ空き教室に入る子と、もう一人はマスクを取った顔を見られるのが怖いという理由で、少し離れて壁に向かって食べている子、という感じらしい。
三年に及ぶコロナ禍がもたらした影響は、こうした一部の子供たちに強く出ちゃっているんだなぁと実感するばかりよね。
「旦那さんの具合はどうです? 今ほかにも、やっぱりお父さんがコロナで~というお宅が一軒ありまして」
「ああ、そうなんですね。やっぱりまだ流行っているんだなぁ……。うちはもう、とにかく高熱。39度の熱が二日続いたのと、あとは喉がね、やっぱりすごく痛かったみたいで。今はお薬のおかげで熱は下がったんですが、あちこち痛いのは変わらないみたいです」
「あぁ~……やっぱり大変なんですね。お大事にしてくださいね」
そのうち娘が担任の先生と一緒に出てきた。なんでもプールの時間に一悶着あったようで、それに対して聞き取りをされていた様子。
「遅くなってしまって申し訳ないです、お母さん。それに○子さんを校外で不安な気持ちにさせてしまったことも本当にすみません」
と担任の先生は謝ってくださったけど、うちの娘の気質に寄るところも大きそうな話だったので、むしろこっちこそすみませんという気持ち。
お互いすみませんと頭を下げて、また明日からよろしくお願いしますと挨拶した。
「絶対明日は学校行かないからね」
とプンプンしている娘に「はいはい、給食の献立表を見てから考えな」と返しつつ、ようやく下校。
しかし今日は本当に暑いなぁ。暑さと湿度だけでもうんざりなのに、家でも学校でもいろいろあるし、はぁ、滅入る。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます