第10話 一日お疲れ~。
夫氏の熱は夜には36度台まで下がってしまった。カロナール様のお力を感じずにはいられない。怖っ。
「でもやっぱり喉は痛いし、身体の節々も痛い、と」
「あと、腰がねー……なんか腰が痛い」
なんやかんやと一日を終える支度をして、夫に「寝る前のトイレに行くよ~」と声をかけつつ。立ち上がろうとした夫、ふらついて壁に手を突きつつ、腰が特に痛いと顔をしかめている。
夫氏、仕事柄か腰痛になることは多いのだけど、熱のせいで普段悪くしているところがより痛くなるみたいな仕様でもあるんかな……?
「あとこれ、さっき届いたやつ、パルスオキシメーター。もう言えるようになったぞ、わはははは。電池入れるからちょっと待っててな」
密林から届いた段ボールをベリベリ破り小さな箱を取り出し、電池をセットして……と。
夫のいる部屋に入る前に終わらせておけよという話。ビニール手袋したままでこの作業をするの地味に大変だったわ。
「ええと、中指を突っ込めばいいみたい。やってみ?」
「ここに入れるの?」
電源ボタンを押して指を入れただけですぐにピッと数字が出てきた。「98」。
「おお~、看護師さんが通常は98って言っていたのが、まさにドンピシャに出たわ。酸素は大丈夫そうだね」
「息苦しさみたいなのはないからね~。熱が高いうちはきつかったけども」
「よかった、よかった。あとは腰痛さえなんとかなればいいね」
「それな」
というわけでトイレ掃除と各所の消毒を終えて、あちこちの電気をつけっぱなしにする。
部屋を行き来するための扉はしっかり閉めるけど、窓は基本開けっぱなし。
これから気温は下がるだろうけど、冷房をつけないとやっぱりちょっと蒸し暑いという感じだから、クーラーもつけっぱなしにした。なにせ西側の部屋ゆえに、夕方を過ぎてもずっと熱が籠もっているからね。
ここに三人寝ちゃうと窓を開けていても暑い暑い。ジメジメしているし。熱中症予防という観点から見ても安全を取るべしという感じよ。
(コロナを気をつけるだけでも面倒なのに、この時期は熱中症もあるからなぁ。冬の胃腸炎やインフルエンザと比べてどっちのほうがいいのやら)
コロナはアルコール消毒が効くけど、確か胃腸炎の吐瀉物とかはアルコール効かないじゃん? なんだっけ……アレよ、なんとか塩素なんとかかんとかって奴が効くのよ。
パルスオキシメーターと言いアセトアミノフェンと言い、よくわかんない長ったらしい名前の奴はだいたい「アレよ、アレアレ」で会話繋ごうとしがちよね、この年になるとね。
はぁ、今日も疲れてしまった。一日に何回車を出したんだろうって感じ。
(そして明日も消毒まみれの一日だよ。本当にやだー……)
恐ろしいことに、まだ発症から二日半しか経っていないんだぜ?
とりあえず五日は寝ていろということだから木曜までは仕事にも行かせないとして。
はぁ……長いなぁ……。
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