第8話 さよなら諭吉。
「まずはウメキヨに行くか。トイレ掃除をマメにやりはじめたら掃除用の洗剤がなくなりかけているのよね……」
それとハンドソープの詰め替え用! 手洗いもめちゃくちゃするからあっという間にハンドソープが切れる。
「それと手指消毒ももう一つ買っておこう。今は洗面台に一つしかないから不便だ。台所用にもひとつ買って、と。あとは自分用の咳止め薬を、と」
なんでか知らんが4月くらいからずっと変な咳が続いているのよねぇ。ストレスだと思うんだ。子供たちが幼稚園に入る前も、夜になると必ずと言っていいほど咳が出る時期がわりと長く続いちゃってね。4月からこっち本当に忙しかったから、疲れ的なのが溜まっているんだと思われ。
娘の登校拒否もだんだん落ち着いてきて、原稿の〆切もまだ先だけに、今月はようやく休めるわ~と思っていたのに。
「夫がコロナ持ってきたおかげで神経が尖ってしかたねぇわ。チッ、ろくでもない土産を持ち帰りやがって」
口を開けば恨み言しか出ねぇ。
そしてウメキヨの割引券もこれが最後になっちまった。アプリでルーレットを回せばもらえる奴も使い切っちゃって、次に回せるのはなんと明日という表示が出ておる。普段そんなに割引券に困ることもないのに……。
「あとトレイというかお盆みたいなのが欲しい。雑貨屋さんに売ってるかな?」
いろいろな雑貨が売っているお店を探してみると、食器コーナーにちょうどいい大きさのお盆がたくさん並んでいた。長方形の奴を買おうと手に取り、お値段1650円って結構するなぁ……と悲しく思いつつお会計。
そのままスーパーにも入る。こちらで買うのはごく普通の夕飯の材料とか。コロナ患者の看病のみならず日常的な食事の用意とかももちろんあるから大変めんどい。
「そして今日だけで諭吉が二人も軽く飛んで行ってしまった……。5類になる前は食料の差し入れとかがあったわけだから、それがなくなるだけで金銭的負担ってやっぱり増えるもんなんだなぁ……」
濃厚接触者の概念がなくなって、家族がこうやって自由に買い物に出られるのはありがたいことなんだけどね。どっちもどっちよね。
さて帰宅して夫のところに顔を出す。
「夫氏~、腹減ったかい? 冷たいうどんでいいかい?」
「うん」
ということで冷蔵と冷凍が必要なものを急いで冷蔵庫に詰め込み、冷凍うどんをチンして、ざるに空けて冷やしてめんつゆぶっかけで夫のもとへ。
あぁ~いいわ~、どんぶり型の使い捨て食器、いいわ~。汁がこぼれないし皿が折れないし運びやすいし、いいわ~。
「お盆もいいわ~。うどんと紙コップに注いだ麦茶と箸を持っていくだけでもお盆がないと大変だったのに、あると便利だわ~。一度で済むわ~」
片手で消毒液とかダスターも持って行けるしね。部屋に入ったり出たりするときはもちろん手すりその他を入念に消毒よ。
そしてうどんを運び入れ時計を見たらすでに14時30分。やばい、息子の下校時間は14時50分。と言いつつ40分にはもう下校班で並びはじめるだけに、早く行かないと駐車場に車が入れなくなる!
最近はとみに暑いし湿気もやばいし、プールがある日は子供も疲れているから、お迎えにくる保護者も多いのよね。
「夫氏~! ○市を迎えに行ってくるねぇええ!」
鞄をひっつかみ、扉越しに聞こえるように夫に叫びながら、急いで外に出て再び車に飛び乗る。今日だけで何度出動してるのよ、まったくもう!
「しかも子供たちの下校時間が5時間と6時間でズレるから毎日のお迎え超面倒くさいんですけど~!」
くぅ、感染対策として子供たちの登下校は送っていくと決めたのはわたしだが。
というか娘はその前から車で送り迎えだが。チィッ! いくら途中で大きらいな男子に遭遇しちゃうのがいやだからって、たまには歩けよ登校班or一人でよぅ!
というわけで送り迎えだけでだいたい面倒くさい。これが今週ずっと続くん? やだー!
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