第4話 かかりつけ内科へ。
「しかし夫が四回目にワクチン接種したのマジでいつよ? ……あ、市の接種予約ページから確認すればいいんだ」
思い出せて良かった。
急いで一度閉じたノートPCを開き、市のHPを検索。そこのコロナウイルス特設ページを開く。接種予約はこちらから、となっているところから夫の接種券番号と生年月日を入力。
するとこれまでの接種記録がすぐに出てきた。
「去年のクリスマスイブが4回目って出てる! メモっておこう。ええと、あとはお薬手帳も持って行かないと……」
待たされることも覚悟して読みかけの文庫本も鞄に突っ込んで、と。できればそのあと買い物もしたいな。
「夫氏~、病院が薬処方してくれるって言うから取ってくるね」
「うー……」
寝室の扉をそっと開けて声をかけると生返事が帰ってきた。トイレは大丈夫ということで、買い物籠もひっつかんで急いで内科へ向かう。
「薬の処方が早く済めば買い物もできるかな。うーん、発熱外来、混み合っているかなぁ……?」
心配しつつも入ってみると、待合コーナーに15人くらい座っているのが見えた。うん、結構待ってるね……。
「こんにちは。先ほどお電話した佐倉です」
と、夫の診察券、保険証、お薬手帳、最後にワクチンを打った日を書いたメモを差し出す。受付のお姉さんはすぐに「あ、お待ちしていました」とうなずいてくれた。
「何度も聞いてしまって申し訳ないのですが、一応こちらの問診票にまた症状とか記入していただいてよろしいでしょうか? あと、ちょっと離れたところで待っていただきたいので、向こうの窓際の椅子にお願いします」
「わかりました」
問診票が挟まれたバインダーとボールペンを片手に、離れたところにぽつねんとあった、ひとりがけの椅子に腰かける。
名前やら住所やら電話番号やらを書き(念のためわたしの番号も端っこに書いておき)、発熱やら喉の痛みやらの症状に○をつけていく。
そしてバインダーを受付に渡したら、あとは呼ばれるのを待つだけ。持ってきた文庫本を読んで静かに待つぜ……。
……、……、結構待たされるな。残り三分の一くらいだった文庫本、最後まで読み終わっちゃったよ。
スマホから電子書籍のほうを読むかな、とさらに新たに読みはじめたとき、ようやく「お待たせしました」と呼ばれた。
「診察室へどうぞ。ご案内しますね~」
ということで、先ほどから患者さんが出入りしている診察室とは別の、奥のベッドがあるほうへ通される。
実はわたしもここが内科のかかりつけなんだけれども、一回風邪かなにかをこじらせて受診した際、お腹の痛みを訴えたところ、あのベッドで点滴を受けたことがあるのだ。
なんの病気だったっけなあ、なかなか治らない胃腸炎とかだったかなあ。
なんにせよ喉元過ぎればなんとやらで、人間覚えてないもんなんだな……と思いつつ、促されるまま椅子に座る。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます