第三章 ただただ、あわただしい。
第1話 学校への連絡。
――2023年6月26日(月)
スマホの目覚ましアラームがピロピロ鳴る……いつもなら6時40分には最低でも起きないといけないけど、それは夫の朝ご飯と昼ご飯の用意をするためでもあり、それがないとなればもうちょっと寝てても大丈夫……。
「とはいえ6時50分には起きないとな、さすがに。ほら起きろ子供たち~!」
むくっと起き上がってすぐにカーテンを全開。ついでに窓も全開。
やっぱり朝はまだ涼しいから、28度設定の冷房をつけた室内と屋内の気温がそうそう変わらない感じだわ。
ダイニングの窓も全部全開にして、まだぐずぐずしている子供たちをゴロゴロと脇に転がし、布団をたたむ。
そして立てて片付けてあったこたつテーブルをもとに戻し、ダイニングに運び出していた長めの座椅子と座布団をもとに戻す。ふぅ、これだけで結構な大仕事だわ。
「朝はツナトーストでいいかい?」
「うん。ママ、学校行けるん?」
「このあと7時半くらいになったら学校に電話して聞いてみるよ」
とにかく着替えさせて食べさせて日焼け止めを塗らせて……子供会のグループLIMEに「すいませんが今週の我が家は車で送り迎えにします」と連絡しておく。子供たちの通う小学校は町内ごとに登校班が編成されており、基本的に集団で登校なのだ。
とはいえ娘は4月終わりから登校拒否がひどくなっちゃって、毎日車で送り迎え。
息子は朝は登校班で行くけど、たまにサボりたいときは「車で~」という感じだから、登校班に参加しない不良な一家として認知されていると思うけども。
洗濯機を回したりトイレを掃除して消毒したり、食器を洗ったりなんだりしていたらあっという間に7時40分。この時間なら校長先生あたりはきているだろうということで、小学校に電話してみる。
『おはようございます。○○小学校です』
お、この声は女教頭先生。いつも朝早く学校にいらして、子供を送りにやってきた車の交通整理に立たれているのよね。
「おはようございます。4年1組の佐倉○子と、2年2組の佐倉○市の母です。朝早くにお電話して申し訳ありません。ちょっとおうかがいしたいことがありまして」
『はい』
「土曜日から夫がコロナ陽性になっちゃって、今自宅で療養中なんですね。子供たちはまったく無症状で元気なのですが、この場合は学校への登校は今できるんでしょうか?」
女教頭先生は明快な答えを返してくださった。
『はい、登校できます。コロナが5類に移行したことで、濃厚接触者という概念がそもそもなくなりましたので、症状がないならお子さんは登校していただいて大丈夫です。むしろ感染対策のために欠席……となると、今は出席停止ではなく、普通の欠席扱いになっちゃうんですよ』
とのこと。さすが教頭先生、よどみなく教えてくださって本当にありがたい。
「そうなんですね、わかりました。では子供たちは登校させますのでよろしくお願いします」
『はい、わかりましたー』
ということで無事に確認終了。
「はい、学校には行けます! でも食べるときと体育以外はできるだけマスクをしてくれ。今週は登校も下校もママが車で送り迎えします。連絡帳に書いておくね」
「はーい」
ということで娘と息子、両方の連絡帳に事情を書き書き。
『いつもお世話になっております。学校には朝のうちに電話連絡させていただきましたが、現在父親がコロナ陽性で自宅療養中です。子供たちはまったくの無症状で元気なので登校させますが、なにかありましたらご連絡ください。念のため今週中の下校は毎日、車で迎えに行きます』
4年生の娘はとにかく、2年生の息子は下校班での集団下校もあるので、車でお迎えのときは基本的に連絡必須なのだ。
娘は連絡帳も書いていないので、はじっコぐらしの連絡帳はほぼほぼ担任の先生とわたしとの交換日記みたいな扱いになっているが。
「はい、連絡帳に書いておきました。この連絡帳は担任の先生にも、あさがお教室の先生にも通級の先生にも、みんなに見せていいからね」
「わかった~」
たくさんの先生に知っておいていただいたほうが、風邪症状とかが子供たちに出てきたときに、すぐにハッと気づいてくれると思うしね。
「はっ、もう8時になっちゃう。急いで学校行こうか」
「はぁ~あ、学校行きたくないなぁ」
「はいはいはいはい月曜日のいつもの奴ね。でもコロナに満ちたこの家で安らげると思うか……?」
「あ、学校行きます」
スンと答えた娘もてきぱきとランドセルを背負い、全員で玄関を出る。
車でぶいーんと小学校へ向かい、朝の自習の時間ギリギリに到着。
息子はとにかく娘がこの時間に学校に行くのはなかなか稀なので、ちょっとコロナ様々かしらと思ったり、思わなかったり。
「じゃあ迎えは体育館側の駐車場ね。行ってらっしゃーい」
「行ってきまーす」
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