DQNっぽい一家を殺して水上歩行スキルをゲットしたから大海原の王になるって、そんなのアリ!?
河原でバーベキューに勤しむのは、荒々しい印象の男と、頭の弱そうな女、いじめっ子みたいな顔をした男子小学生と、目が細くて喧しい女子小学生である。この四匹は人間的に好感が持てないものの、どれも生命力に満ちていた。父親猿がこちらに気付いたようで、河川を渡ってきた。
「あの、ここ私有地なんだけど」
私は鞄から包丁を取り出すと、恐るべき魔技でその腹部を刺した。男はたちまち絶命し、対岸にいる三匹はパニックに陥る。死体から包丁を抜き、対岸の母親猿に投擲する。脳天が貫かれた。
「フハハハ怖いだろう」
河川を渡り、残った小猿どもを悉く打ち殺す。この連続殺人は一分ほどで完了し、儀式に必要な用具が一瞬で揃った。
親猿を並行に配置し、子猿を頭先と足先へそれぞれ垂直に置く。こうして「ロ」の形になった四匹をロープで固定し、川へ浮かせる。あとは山菜の入った竹かごを四角の中央に浮かばせ、呪文を唱えるだけである。
「四匹のウェアモンキーを討伐したので、報酬に水上歩行スキルを頂戴したいです」
四つの死体と山菜は川の上流を流れていき、足元が小さく揺れる。私は川の水面に両足を置き、仁王立ちと大笑をもって、喜びを表現した。
「さあて、どうしようかな。海へ行って貨物船でも略奪するか」
私は駆け出した。川の流れに沿って、その上を走る喜び。地球上のどんな生物も、この快感を味わったことが無いだろう。これなら、私はどこへでも行ける。
「太平洋の真ん中だって、この通り楽勝だ」
四方に限らず、足元までが青い海に埋め尽くされている。私は興奮した。ここで体液を吐き出したら、どれだけ気持ちが良いだろう。右手を動かそうしたそのとき、身体が布団のように重くなった。
ゆっくりと下を見てみると、腐った二つの手が、両足を水底から引っ張っているではないか。ゴツゴツとした手とシワシワの手から、これらは供物にした親猿たちのものと推測できた。
「他人の足を引っ張るな、クズども」
私は両腕を振り下ろし、鉄拳を喰らわそうと腰を屈めた。そして、海中から出でた包丁が、私の眉間を突き刺した。最期の景色だった。
「良くやった」
「でも、嬉しくないよ。もっとお肉食べたかったのに」
「お肉は無いけど……海鮮の網焼きだったらできそうね」
母親は海からBBQセットを取り出し、殺人者の腹に置いた。他の三人は、食材を探しに行った。
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