9.予想通り


 翌日家族と話し合い、1週間のうち、2日は家族と過ごすことになった。

 今日は母さんが恥ずかしいとかで、狩りに行ってもいいと言われた。


 いつも通り冒険者ギルドに行くと、レオナルドの周りに何人もいた。あまり見た事がないけど、強そうだ。


「レオナルド! その人達は?」


「ん、あぁ…カインか。この方々はBランクで、調査仲間だよ。昨日の変なゴブリンの事を報告したら、ギルドで調査することになってね。報告者の義務として僕も行くことになったから、しばらく会えない。ごめんね」


「それは仕方ないですよ。ランバーさんは大丈夫なんですか?」


「それが、ジェイルさんに聞いてみたんだけど、まだ体調が良くないみたいなんだ。やっぱりあのゴブリンを倒すのが早そうだってさ」


「そうですか…」


「アランも1度修行を始めたらしばらく帰ってこないから、狩りはそれまで中止だよ。1人で無茶しないようにね」


「はい」


「…本当に大丈夫かなぁ」


 レオナルドが何か言ったような気がしたけど、気のせいか。

〈隠蔽LV1〉と〈変装LV1〉があれば隠密行動もしやすいだろうし、スキルレベルとレベルを同時に上げれるぞ!


「話は終わったか、レオナルド」


「終わったよ。待たせて申し訳ないね」


「なに、気にするな。…ふむ、君が…」


「?」


 大きい男にジッと見られたが、すぐに視線は外れ、ギルドから出ていった。

 まるで虎に見られていたみたいな圧だった。


 もっと強くなって、俺もあんな感じの事やってみてぇ!


 よし、狩りに行こう!



 ♢♢♢



「ちょっと君、1人で外に出るのか?」


 門番に捕まった。


 昨日はレオナルド達と同伴だったから大丈夫だったけど、今日は俺1人だったからダメだった。


「ゴブリンを狩りに」


 そう言って腕輪と短剣を見せた。


「そうは言ってもねぇ、うーん」


「後で父さんと合流するので、それまでは1人でやってみろと言われているんです」


「それなら…いい、のか? まあ、通っていいぞ。なんかあったらすぐ戻ってこい」


「はーい」


 よし、微妙に嘘もバレにくくなってる気がする。工作員の職業のおかげか?



 なんとかバラスの森に無事入れた。

 1人で来るとまた違う感じがする。とりあえず、〈隠蔽LV1〉と〈変装LV1〉で森っぽい感じにしておく。


 これで少しは見つかりにくくなってるだろうし、探索だ!


 進化してなさそうなゴブリン発見!1体だし、俺に気付いてなさそうだ。

 今日は鑑定もしまくるぞ!



 ステータス

 ゴブリン

 進化:0

 LV:3

 HP:12/12

 MP:0

 STR:9

 INT:2

 VIT:6

 AGI:3

 DEX:2

 LUK:0



 スキルも持ってなかったので短剣でサクッと一突き。


〈獲得経験値減少〉のせいでEXPは1だけど、職業の方は工作員LVが0から2に上がっている。

 この調子で行けば、工作員LV20までいって転職出来るのでは?


 よーし、それを目標にして狩りまくるぞ!



 5時間狩った結果、工作員LV9になった。早い段階で9になったのに、そこからが長すぎる。

 10の倍数で必要経験値がかなり増えてそうだ。まだ確定は出来ないけど。


 そろそろ日も暮れてそうだし、今日は帰ろうかな。相変わらずEXPは1しかたまらないからまだかかりそうだし、職業レベルもこの感じで行くとゴブリンじゃ足りないかもだな。


 お、ゴブリンみっけ。あれで最後にしよう。一応〈鑑定LV1〉も使って、と。



 ステータス

 ゴブリンメイジ

 進化:1

 LV:10

 HP:250/250

 MP:1000/1000

 STR:10

 INT:150

 VIT:20

 AGI:40

 DEX:40

 LUK:0


 スキル

〈火魔法LV1〉〈水魔法LV1〉



 あ、よく見たら杖持ってる。VITも低いし、魔法を撃たれる前にやれば大丈夫か。


「…ギイッ!?」


 あ、やばっ、目が合っちゃった。

 なんでこのタイミングで後ろを向くんだお前は!


「グィグギ…ギィア!」


 間に合わない!

 火の玉を横に転がって避けたが、これじゃあ迂闊に近付けない。


「思ったより撃つのが速いな」


 もう姿を見られている以上、〈隠蔽LV1〉や〈変装LV1〉は無意味だ。

 そうなると短剣で近付いて倒すしかないが、火の玉は撃つのが速くて邪魔だ。


 もっと最小限の回避で火の玉を避ければ、届くかもしれない。だがそれは、何回も連続して避ければ、の話だ。


「でも、やるしかないか」


「グィグギ…ギィア!」


 火の玉の横に体を動かし、勢いを殺さずに前進する。ちょっと髪の毛がチリッとした。


「グギ!? グィグギ…ギィア!」


「火の玉しか撃てないのか!? 〈水魔法〉も使ってみろよ!」


「グギィ!!! ギィア! ギィア! ギィア!」


 挑発しても火の玉しか撃ってこない。

 それどころか、小さくなった代わりに数を増やしてきた。

 俺は〈水魔法LV1〉を見たいんだよ! 使えよ!


「もう間合いに届いちゃった…はぁ」


「グギ…ア」


 ぶすり、短剣が滑らかに刺さった。


 ゴブリンメイジが煙化し、残った魔石を回収する。


「今日はこれで終わり!狩りの結果は…」



 ステータス

 カイン

 職業:工作員LV11(DEX+22)

 LV:1

 EXP:43/200

 HP:10/10

 MP:40/40(+30)

 STR:50(+50)

 INT:50(+50)

 VIT:0

 AGI:0

 DEX:62(+22)

 LUK:10(+10)


 LP:0

 SP:0


 スキル

〈鑑定LV1〉〈隠蔽LV1〉〈変装LV1〉〈獲得経験値減少〉〈必要経験値増加〉〈獲得LP増加〉〈獲得SP増加〉〈レベル上限解放〉


 称号

〈スキルを天に任せた者〉(MP+30、LUK+10)

〈ジャイアントキリング〉(STR+50、INT+50)



 進化ゴブリンの経験値美味い!

 後8体ぐらい狩るとレベルが上がるし、次は進化ゴブリン狙いでやってみよう。

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