満州王国憲法
満州王国憲法
『前文』
我々満州王国民は、満州族を中心とする完全な王国を作り上げ、安定した社会を築き上げ、故郷の奪還に備え、この豊かかつ広大な大地に栄光にあふれた王政の五族共和国家を作り上げる決意をし、ここで本憲法を制定する。
第一章 執政
『第一条』
執政は、満州王国に君臨し、国民の代表者を通じ統治する。
『第二条』
執政は、満州王国を代表する国家の独立及び国家国民の象徴である。執政の地位は、満州王国民の総意に基づく。
『第三条』
執政は、立法・行政・司法からなる大権を参議府の輔弼を受け、立法院・国務院・司法院それぞれの翼賛により行使する。大権の行使は、満州王国及び国民の利益と正当性に乏しい場合、三院の合意に基づき阻止することができる。
『第四条』
執政は、災害及び戦禍によって満州王国の公安を維持し公共の安寧を維持する必要性に迫られた際、三院の同意を得ることなく法律・政令・判決と同等の効果を有す緊急勅令を発布・施行することができる。但し、緊急勅令の発布・施行は必ず各院に報告し、その正当性及び有効性について判断を求めなければならない。
『第五条』
執政は、宣戦講和及び条約締結の権利を有する。
『第六条』
執政は、陸海空軍を統率する。
『第七条』
執政は、大赦特赦減刑及び復権を命じる。
第二章 参議府
『第八条』
参議府は、参議を以て組織する。
『第九条』
参議府は、以下の事項に関する執政からの諮問に対し、適当な意見を提出する。
一 勅令
二 法律
三 政令
四 判決
五 国家交渉の条約・約束及び執政の名において行われる対外宣言
六 重要な地位を務める官僚の任免
七 其の他重要な国務
『第十条』
参議府は、重要な国務に関して諮問を受けることなく執政に直接意見を提出することができる。但し、その際の意見は、私心によるものであってはならず、国家国民の奉仕者として重要な国務に対する意見を提出しなければならない。
第三章 立法院
『第十一条』
立法院の組織は、法律の定めたところにより編成・運用される。
『第十二条』
各種法律案及び予算案は、立法院の翼賛を以て決定される。
『第十三条』
立法院は、国務に関して国務院に質疑をすることができる。
『第十四条』
立法院は、国民の請願を受理することができる。
『第十五条』
立法院は、執政によって毎年規定の時期に招集される。常会の会期は、原則として二ヶ月とする。但し、必要のある場合は執政が会期を延長することができる。
『第十六条』
立法院は、執政の判断により緊急集会が招集される。緊急集会の会期は、執政と国務院の協議によって決定される。
『第十七条』
立法院は、総議員の三分の一以上の議員が出席しなかった場合、開会することができない。
『第十八条』
立法院の議事は、出席議員の過半数によって決せられる。賛成・反対票が同数の時は、議長によって決せられる。
『第十九条』
立法院の会議は、原則として公開とする。但し、国務院の要求又は立法院の決議によって秘密会とすることができる。
『第二十条』
立法院が議決した法律案及び予算案は、執政によって裁可・公布・施行される。立法院が、法律案又は予算案を否決した時、執政は理由を示した上で案を再度議会に審議させ、それでもなお否決された場合には参議府への諮問によって可否を決定する。
『第二十一条』
立法院議員は、院内における言論及び表決に関して院外において責任を負うことはない。
第四章 国務院
『第二十二条』
国務院は、執政の命令を受け諸般の行政を取り扱う。
『第二十三条』
国務院に、民政・外交・軍政・財政・経済・交通・司法・文教の各部を設置する。
『第二十四条』
国務院には、国務総理及び各部総長を置く。
『第二十五条』
国務総理及び各部総長は、原則としてどんな時でも立法院会議に出席し、発言することができるが、表決に参加することはできない。
『第二十六条』
法律・教令・軍令・国務に関する教書には、国務総理及び主管の各部総長が署名する。
第五章 司法院
『第二十七条』
司法院は、法律に基づき民事及び刑事の訴訟を審判する。但し、行政訴訟を始めとする特別訴訟に関しては法律によってこれを定める。
『第二十八条』
司法院の構成及び司法官の資格は、法律を以て定める。
『第二十九条』
司法官は、原則としてどの権力からも独立してその職務を行う。
『第三十条』
司法官は、刑事裁判の宣告又は懲戒の処分によらずに免職されない。また、その意思に反して停職・転官・転所及び減俸されることはない。
『第三十一条』
司法院の対審判決は、原則として公開する。但し、安寧秩序及び風俗を害する時は、法律及び司法院の決議を以て公開を停止することができる。
『第三十二条』
本憲法は、大同元年2月9日より施行される。
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