第二十三話 日中戦争(4)上海攻略戦
1937年8月16日、上海への無血上陸に成功した第一海兵師団は、上海特別海兵隊に代わり前線に展開、上海租界防衛の任に就いた。
幸いなことに、中華救援艦隊を中心とする海空軍戦力の投入によって上海戦線は比較的安定しており、第九集団軍が攻勢を再開した時には、簡単には突破できない防衛戦が築かれていた。
ただ、中独合作により強化された中国軍の火力とドイツ軍事顧問団によって構築されたトーチカを中心とする陣地を攻略することは不可能であり、第一海兵師団は予定していた攻勢作戦を中止し、援軍を待って総攻撃を実施することとなった。
さらなる増援の到着を恐れた第九集団軍は、昼夜を問わず苛烈な攻撃を行い速やかに上海租界を占領しようと試みたが、第一海兵師団の頑強な抵抗と中華救援艦隊の手厚い地上支援に阻まれ、作戦は失敗に終わった。
26日、上海派遣軍の近衛第一師団・第二機甲師団・第一工兵師団が、第一海兵師団の上陸地点から無血上陸を果たし、第四・第五師団が杭州湾に上陸、上海包囲を狙い北上を開始した。
そして、上海派遣軍司令官の
第九集団軍は、日本軍主力部隊の上陸と大規模攻勢に動揺しながらも、督戦隊の存在から生まれる恐怖と中華民国防衛の使命感で何とか統制を回復、ドイツ軍事顧問団の指揮で死に物狂いの抵抗を始めた。
ドイツ軍との交流で得られた強力な陸軍装備を有する第九集団軍は、上海派遣軍相手に善戦したものの今回は相手が悪かった。
対歩兵戦闘を主目的とし37mm戦車砲を搭載した
三八式歩兵銃の後継小銃として開発された九六式小銃、小銃と口径を統一し十一年式軽機関銃の欠点を改善した九六式軽機関銃、高性能な九二式重機関銃を軽量化し量産を容易にした九六式重機関銃、小隊用軽迫撃砲である八九式重擲弾筒を始めとする優秀な歩兵兵器。
そして、上海沿岸に展開し適切な支援を提供する中華救援艦隊。
特に、1936年に採用され九六式シリーズと呼ばれた各兵器は、国防省が期待していた通りの戦果を上げ、第九集団軍との戦闘を優位に進めることに繋がっていた。
そして9月14日、上海派遣軍は上海の要衝である
上海派遣軍もこれを追って北上を開始し、密かに
作戦はある程度成功し、およそ九万人の中国軍兵士が上海派遣軍の包囲下に置かれた。上海爆撃と中国軍占領地域での惨劇を知っていた松井大将の判断で、包囲下の中国軍部隊は包囲殲滅されることとなり、これを持って上海事変は終結する事となった。
上海占領の報告を受け、統合参謀本部は上海派遣軍の名称を中華派遣軍へと改称、中華民国の首都である南京を速やかに占領した後北上し、北京方面から南下している日満連合軍と合流するという新たな命令を下した。
上海租界を守り抜き、強大な戦力を誇った第九集団軍に勝利したことで士気が最高潮に達している中華派遣軍は、勢いに任せ南京攻略へと歩みを進めるのであった。
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