第17話 金田一ゼミ殺人事件
1月28日
那智の講演会まであと1ヶ月だ。
樹は京都に来ていた。樹はO学園を辞めた。残りの人生を那智を倒すことに専念することにした。
紅子は平安大学近くのマンションに住んでいた。
大学におけるマンガ学科の代表的な講義では、マンガ史、マンガ表現法、マンガ分類法、マンガ保存学、マンガ実践理論・実技、 マンガ評論、マンガ翻訳、マンガ発想・構成法、マンガ読解、表現観察、雑誌編集、文体模写、マンガ研究などがある。
「警察は私を犯人だと疑ってるみたいなの……」
紅子はオーブントースターで餅を焼いてくれた。
「状況が状況だからな……で、あの骨は誰のだ?」
「妹のよ。妹をあの場に呼んで洗剤を飲ませて殺して、私の服を着せて自殺に見せかけたの。けど、土砂崩れが起きて遺体は埋まってしまった。双子の妹だったから、屏風ヶ浦の目を眩ませることが出来るんじゃと思ったの」
チーン!オーブントースターが鳴った。
餅に醤油をつけ、七味をかけ、海苔を巻いて食べた。あとはスーパーで買ったナマスを食べた。
「柊一のことは孫みたいに可愛がっていた。昔亡くなった三浦春馬に似ていた。デートも何回かしたよ、大文字焼きにも行った」
「やったのか?」
「顔はごまかせても、腰まではごまかせないようねアナタとのときは一晩に何回もしたけど、1回出来ればいいくらい」
「杉野ってのはいじめられっ子に殺されたのか?」
「話しがコロコロ変わるのね? きっと、そうよ」
「ゼミ生とか講師だったら簡単に出入りできるよな?」
「そりゃまあね……」
紅子は入れ歯になっており、入れ歯を外すと一気に老け込んだ。紅子は入れ歯を洗面所にある入れ歯洗浄剤に浸けた。
「軽度の認知症なんだ。そのうちウンコ漏らすかも知れない」
「アナタと結婚しないで良かった」
「酷いだろ」
「介護なんてゴメンだよ」
そうは言ったが、保身のために血の繋がった妹を殺すような女だ、彼女と結婚しなかったのは結果オーライかも知れない。
醤油差しに毒でも入ってないか樹は冷や冷やした。
「今日は3時から講義なの、よかったら聴講してみない?」
「分かった。あ〜腰がいてぇ……」
樹はアンメルツヨコヨコを腰に塗った。
「勝手に使わないでくれる?」
平安大学は京都駅から直で校内に入れた。
普段は研究室がゼミ室として使われるが、警察の立ち入り調査があるので最近亡くなられた、
【ゼミの概要】
『金田一少年の事件簿』ゼミは、平安大学で推理小説やミステリー作品に特化したゼミナールだ。
【ゼミの活動内容】
1. 小説の分析
ゼミでは、主に豊後紅子講師の作品を中心に、ミステリーや推理小説の分析が行われる。登場人物の心理描写や伏線の仕掛け、事件の解決方法などを掘り下げ、学生たちは論文やプレゼンテーションを通じて自分なりの解釈や考察を発表する。
2. 推理ゲームとワークショップ
ゼミでは、講師や学生たちが主導で推理ゲームやワークショップを企画・実施する。これによって、読者や視聴者としての視点からミステリーの魅力を再現し、推理のスキルや論理的思考を養うことを目指す。木本はゲームを作る能力が高く、シナリオを創るアプリを開発したりしていた。
樹は横スクロールで動く金田一を動かし、京都の街を散策した。ツヨシってキャラが『サンジュウサンゲンドウ』の前で死んでいる。『ナマツマミ』という不可解なダイイングメッセージが残され、その横に御守りが残されている。🧿
金田一は妖怪と戦いながら謎に挑む。
3. 作品の創作活動
ゼミでは、学生たちがミステリー作品の創作にも取り組む。豊後紅子講師の指導の下、ストーリー構成や伏線の設定、登場人物のキャラクター造形などを学びながら、オリジナルのミステリーを執筆する。
【学生のメリット】
・ミステリー作品や推理小説に特化した学びができる。
・ミステリー作家として有名な豊後紅子講師から直接指導を受けることができる。
・自身の推理力や論理的思考力を高めることができる。
・ミステリー作品の創作に取り組むことで、自分自身の創作力を伸ばし、表現力も向上する。
樹は亡くなった杉野の書いた作品を読んだ。
【タイトル】
東武警察
【ストーリー概要】
東武地域を舞台に、若手警察官たちが様々な事件や犯罪に立ち向かう姿を描いたアクションドラマです。
【設定】
主人公:
- 真面目で正義感の強い若手警察官。
サブキャラクター:
- 聡太の相棒であり、頼れる冷静な女性警察官。
【エピソード例】
1. 爆弾騒ぎ
東武地域内の商業施設に爆弾予告が届き、聡太と美奈子は緊急対応に赴く。彼らは協力して犯人の手口や動機を解明し、タイムリミットギリギリで爆弾処理の危機を回避することに成功する。
2. 組織犯罪の追跡
東武地域内で広がる組織犯罪の情報が入り、聡太と美奈子は潜入捜査を開始する。彼らは表裏のない捜査手法やコミュニケーション術を駆使し、組織の内情を明らかにする。
3. 未解決事件の再調査
過去に起きた未解決事件が再び東武地域で発生し、聡太と美奈子は犯人を追い詰めるために再調査を始める。彼らは古い記録や目撃証言を頼りに、事件の闇に迫っていく。
【メッセージ】
「東武警察」は、若い警察官たちが協力し、様々な困難に立ち向かう姿を描く。正義感やチームワークの大切さ、困難を乗り越える勇気や知識の重要性を伝えるアニメとなっている。また、現実の警察活動をベースにしたリアルな設定と緊迫感のあるストーリー展開で、視聴者に緊張感と興奮を与えることだろう。
1月29日午前10時15分頃、平安大学キャンパス内の校舎1号館4階男子トイレで水上加奈子が刃物で胸や背中や腹などを刺されて倒れているのが発見された。加奈子は同日午前11時30分に搬送先の病院で死亡した。
死因は背中、胸、腹の刺し傷による失血死。傷は体の上半身を中心に40ヶ所に上り、両腕には攻撃を防ぐ際についたとみられる傷もあった。
現場のトイレ近くで目撃された「30歳くらい、ニット帽、黒いコートの男性」が犯人像として浮上した。
捜査を担当していたのは群馬県警から異動になった市川あきらだった。京都駅前の喫茶店『ボルタ』で偶然、樹と行きあったのだ。樹は同日の午後1時頃、ドーナツを頬張っていた。
「奇遇ですね?」
市川は暑いのか、コートを脱いでソファに置きながら言った。事件関係者だと知られたくないから、「何か事件か?」と素知らぬふりをした。
「またまた、とぼけちゃって〜、監視カメラにバッチリ収まってましたよ。昨日の15時頃に平安大にいましたよね?」
「あっ、あぁ……紅子の講義を聴講しにな……」
市川は鋭い眼差しで樹を睨みつけている。
樹はドキドキしていた。この男は俺を犯人だと疑ってる。
「まっ、犯人は30歳くらいの男だからな〜、樹さんはもうじきくたばりそうな高齢者だからな〜」
「縁起でもない事いうなよ」
「現場にはナマツマミという奇妙な暗号と、御守りが残されていたんですよ。北野天満宮の奴だったからな〜、ホシは菅原って名前の人物かも知れないな〜」
「ゲームと一緒じゃないか!」
樹は思わず叫んだ。
「うるさいですよ!」
「おめーもだろ?」
北野天満宮は通称として天神さん・北野さんとも呼ばれる。福岡県太宰府市の太宰府天満宮とともに天神信仰の中心で、当社から全国各地に勧請が行われている。近年は学問の神として多くの受験生から信仰されている。
菅原道真は忠臣として名高く、宇多天皇に重用されて、寛平の治を支えた一人であり、醍醐朝では右大臣にまで上り詰めたが、藤原時平の讒言(昌泰の変)により、大宰府へ大宰員外帥として左遷され現地で没した。死後は怨霊になり、清涼殿落雷事件などで日本三大怨霊の一人として知られる。後に天満天神として信仰の対象となり、現在は学問の神様として親しまれる。太宰府天満宮の御墓所の上に本殿が造営されている。
小倉百人一首では、菅家。
市川はカルボナーラとアールグレイティーを注文した。志村けん演じるひとみバーさんみたいな店員さんがメニューをトレイに載せてやって来たときは何かされないかヒヤヒヤしたが何事もなかった。
「群馬じゃ酷い目に遭ってたからな〜。パワハラ酷い組織だったよ。それに引き換え、こっちの人は優しいなぁ」
「皆、新人のときは優しいもんだよ。そのうち、化けの皮が剥がれるんだ」
「嫌なこと言わないでくれます? 僕が出世するように協力してくださいよ」
「何で俺が?」
「嫌なんですか?」
「パスタが冷めんぞ」
市川はフォークで麺をクルクル巻き、口に入れた。
「アチィー」
「おまえは馬鹿か……」
「雪平の真似ですか? 何か欲しい物あります?」
「あ?」
「事件が解決したら何か差し上げますよ」
「アイスランドに行きたいんだ」
「温泉か〜、草津温泉懐かしいなぁ〜。分かりました。旅行券ですね?」
「情報逐一、俺に知らせろよ?」
喫茶店を出た樹は北野天満宮に向かうことにした。何か手がかりがあるかも知れない。市川や他の刑事より先に犯人を見つけないと!
樹は地下鉄とバスを利用して北野天満宮に向かうことにした。
京都駅の地下にある地下鉄烏丸線のホームへ移動し、「烏丸御池駅」へ行く。それから烏丸御池駅から地下鉄烏丸線に乗り、「北山駅」まで向かう。
「北山駅」を出て、徒歩で「北野天満宮」まで向かうことも可能だが、距離がありそうなので「北山駅」からバス「202」に乗った。バスで5~10分程度で「北野天満宮前」バス停に到着した。
そもそもこの北野の地には、天神地祇を祀る現・摂社の地主社と、火雷神を祀る現・摂社の火之御子社の二つの社があった。
昌泰4年(901年)1月に右大臣菅原道真が左大臣藤原時平の讒言にあって大宰権帥に降格されて大宰府に左遷されるという昌泰の変が起き、延喜3年(903年)に道真は大宰府で無念の死を遂げた。その後、藤原時平が延喜9年(909年)4月に亡くなったり、落雷などの災害が相次ぐと、これが道真の怨霊による祟りだとする噂が広まった。こうして朝廷は、没後20年目となる延喜23年(923年)4月20日に道真の左遷を撤回して右大臣に官位を復し、正二位を贈った。
そんな中、延長8年(930年)6月26日に清涼殿に落雷が直撃し、大納言の藤原清貫と右中弁兼内蔵頭の平希世が死亡するという清涼殿落雷事件が発生した。その上、3ヶ月後に醍醐天皇が崩御してしまうと道真の怨霊によるものとの噂はもはや噂ではなくなってしまい、朝廷は恐れおののいた。また、道真の怨霊は天満大自在天神となったともされ、それが北野の火之御子社の火雷神と結びつき、道真は雷神である火雷天神であるともされた。
天慶5年(942年)、右京七条に住む
永延元年(987年)に初めて勅祭が行われ、一条天皇から「北野天満宮天神」の勅号が贈られた。正暦4年(993年)5月20日には正一位・左大臣を、次いで10月20日には太政大臣が追贈された。以降も朝廷から厚い崇敬を受け、二十二社の一社ともなった。以来、北野天満宮は幕末の神仏分離令まで松梅院、徳勝院、妙蔵院の祠官三家の社僧が、代々神官を務めた。
中世になっても菅原氏・藤原氏のみならず足利将軍家などからも崇敬を受けた。足利義満は明徳の乱(山名氏清の乱)の戦没者と氏清を悼んで応永8年(1401年)、当社境内に北野経王堂願成就寺を建立している。だが、当時北野天満宮を本所としていた麹座の麹製造の独占権を巡るトラブルから文安元年(1444年)に幕府軍の攻撃を受けて北野社は焼け落ちてしまい、一時衰退する(文安の麹騒動)。
天正15年(1587年)10月1日、境内において豊臣秀吉による北野大茶湯が催行された。境内西側には史跡「御土居」がある。
慶長10年(1605年)には豊臣秀頼が片桐且元を奉行として北野経王堂を再建し、慶長12年(1607年)には現在の壮麗な社殿を造営している。
寛文2年(1662年)の地震で社殿に被害が出て修理することになった。しかし、末社は元の通りには修理されず、寛文9年(1669年)に江戸幕府の命令でそれまで一社ずつ単独で建てられていたたくさんの末社は長屋形式で一纏めにする形で再建された。
これといった手がかりは掴めなかった。
同じ頃、卜部はネットで知り合った北野って防衛大学の先生に会いに行っていた。彼も那智に反感を覚えている。北野はJR横須賀駅近くにあるアパートに住んでいた。
「30にもなると足腰が痛くて嫌になります」
北野は脊柱菅狭窄症を患ってるらしくソファに座るのが大変そうだった。
「まるで、明智光秀にでもなった気分ですよ」と、卜部。
北野は那智の隠れ家を見つけた。
2月2日の早朝、京都駅近くにあるアパートで三村博明が、鋭利な刃物で胸や背中を4箇所刺され殺害されているのが発見された。死亡したのは前日1日の夜と推定された。
遺体は横向きに倒れていたが、遺体の首から下には毛髪交じりの黄色い砂がかけられ、遺体の周囲には、老眼鏡、入れ歯、煙草の吸殻、灰皿が30cm間隔に並べられていた。市川は一種の呪術ないし儀式的奇行と捉え、樹は「オカルト殺人」だと推理した。
樹は紅子、本木、なつみを疑った。
この3人はミステリーマニアだ。
目撃されていたのは30代の男性だ。
卜部からの連絡で北野という防衛大学の先生と接触したことが明らかになった。北野は那智の隠れ家を突き止めたらしい。北野は1月7日に30歳になったばかりらしい。今のところ北野が1番怪しい。御守とも結びつく。
樹は市川と京都駅近くのカラオケボックスに来ていた。ここなら会話するにはもってこいだ。
杉野殺しの際にアリバイがないのは紅子、なつみ。加奈子殺しの際にアリバイがないのはなつみと本木。三村殺しの際にアリバイがないのはなつみと本木。尚、北野にはまだ調べは行っていない。
北野のことは市川には話してはいない。
那智を倒すことが出来なくなる。
樹はカラオケボックスを出て、歩きながら連続殺人事件のことを卜部に話した。
《北野天満宮の御守か〜、確かに北野は怪しいな? アリバイに関して調べといてやるよ》
「くれぐれも気をつけろよ?」
夜遅くに紅子の家に戻り、4年生は4月5日まで春休みであることを教えてもらった。
また、電話で学校内に立ち入りできなくなったことを市川から教えてもらった。
「卒論はリモートでやる予定よ」
肉野菜炒めをキッチンで作りながら紅子は言った。
2月5日
本木が舞鶴湾で水死体で見つかった。
市川は現場にやって来た。
舞鶴市は、京都府北部の中丹地域に位置し、若狭湾の支湾である舞鶴湾に面する市。もと京極氏・牧野氏3万5000石の城下町。旧称、田辺。人口7万7千人。 東港は、かつて軍港で鎮守府の所在地であった。現在は海上自衛隊の基地港であり総監部が置かれる。西港は、北前船の時代から現在に至るまで商港として利用されている。広島県呉市と共に肉じゃが発祥の地として知られる。
元来この地域は「田辺」と呼ばれていたが、明治時代に山城(現・京田辺市)や紀伊(現・和歌山県田辺市)にある同名の地名との重複を避けるため、田辺城の雅称である「舞鶴城」より「舞鶴」の名称が取られた。田辺城が「舞鶴城」の別名を得たのは、城型が南北に長く、東の白鳥峠から眺めるとあたかも鶴が舞っている姿のように見えるからであるとされている。
本木は舞鶴市出身であることが判明した。
紅子の家で樹は本木殺しのニュースを見ていた。もうじき19時になろうとしている。
「本木、三村、加奈子、杉野、それからなつみは同じゲーム会社を受けることになっていたの」
「早く言ってよ〜」
樹は松重豊の真似をした。
樹はメモ帳に『ナマツマミ』とボールペンで書いた。魔除けはマを除けるって意味だったのか!?
「犯人はなつみだよ」
樹は市川に連絡を取った。
《分かった。彼女の自宅周辺に非常線を張る》
取調室でなつみは4人を殺したことを自供した。
「今の世の中、人でも殺さなきゃ仕事にありつけないわよ」
「世の中舐めてんじゃねーよ!」
市川は鬼の形相で向かい合うなつみを睨みつけていた。
2月8日正午、事件の続報を紅子の自宅で樹は知った。杉野殺しの現場からはなつみの指紋が検出されなかったらしい。樹は卜部に連絡を取ったが繋がらなかった。
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