第10話 復讐時代
第6話とリンク🔗
2053年、舞台は群馬県内にあるO学園。この学園は改造車が人気で、学生たちは夜間になると改造車で街を駆け巡った。主人公は学園の生徒である3年の、
5月10日の放課後、鈴木は友人たちと真夜中に改造車で走り出した。しかし、彼らは途中で一群の鶴が道路を横断しているのを発見した。改造車のスピードに酔っていた鈴木は反応が遅く、偶然鶴を轢き殺す。
鈴木と友人たちはショックを受けながらも逃走し、学園に戻った。しかし、その夜、学園内で起こる殺人事件により学園が騒然となった。技術室で
鈴木と友人たちは学園内の
池内講師によれば、学園の裏には鶴に関連する伝説があり、それが事件の鍵となっていると言った。鈴木たちは鶴にまつわる伝説と事件の関連性を探り始めた。
彼らの調査の過程で、鈴木は伝説に登場する『群馬の鶴使い』という存在を知った。彼は自分が轢き殺した鶴の死骸をめぐって何か陰謀が進行していることに気付いた。鈴木は自らの改造車を駆使し、群馬の伝説を辿り、事件の背後に隠された真実を解き明かすために行動する。
鈴木は上毛かるたで『つる舞う形の群馬県』って詠まれているのを思い出した。
群馬の県境をなぞると鶴が翼を広げて滑空する姿に見えることからこの札が詠まれた。 誰でも覚えやすいことから上毛カルタでは人気の高い札のひとつだ。 群馬・栃木・埼玉の県境が交わる鶴のくちばし部分は、全国でも珍しいスポットとして近年正確な測量が行われた。
15日の夜、『ヤマタノオロチと地球儀』を1階にある図書室で留守は読んだ。有吉たちを殺したときのことを思い出し快感に浸った。
2年A組の
千葉を殺したのはいじめ被害者の誰かかも分からない。
那智はかつて、奈良にあるフリースクール『明日の希望学園』で働いていた。
フリースクールは基本的に入学資格がないため、どんな人でも入れる。 対象年齢は施設によって異なり、子どもだけの施設もあれば、高校生や20歳くらいの人まで幅広く受け入れている施設もある。 入学試験や『卒業見込み者や通信制学校に通っている場合のみなど』といった制限はない場合が多い。
那智の働いていた学校は35歳まで受け入れていた。
O学園の学園長、美唄樹は
千葉からよく馬鹿にされていた。
亀笹には千葉を殺す動機がある。
O学園3年G組の亀笹は軍部からスリーブ・ガンを手に入れた。
筒状になっているピストルで、服や袖に隠し持ち、人混みに紛れて接近し発砲すると効果がある。
亀笹は大久保を殺すことに決めた。
25日の午後10時、亀笹が復讐をする前に
群馬県警捜査一課の
裕二は顔に硫酸をかけられたので自ら救急車を呼んで病院に向かった。市川は考え込んだ。どうして、真犯人は裕二にトドメを刺さなかったのだろうか?
午後11時半、自室のソファベッドに寝転がり鈴木は千葉を殺したときのことを思い出していた。アイツは悪魔だ。
鈴木の残る敵は大久保、桂、亀笹だ。この3人は1年のときから鈴木をイジメている。特に大久保は悪質だった。
鈴木は大久保から訳も無く殴られるなどいじめられていた。鈴木は友人である
そして友人の
『鈴木君がイジメられてるなんて知らなかった。気づいてあげられなくてゴメン。復讐、手伝うよ』
粛清の相談を進路相談室でしたとき、菊子は言っていた。
それは大久保の誕生日パーティーを開くと称し彼をおびき寄せ、湖に落として裸で帰らせようというものだった。大久保の誕生日は5月29日だ。彼は18歳になる。菊子の家はO市の西にある
翌朝、体育館が全体朝礼があった。美唄校長が大久保邸が何者かによって襲撃され、大久保が顔に硫酸を掛けられ、彼の母親が殺されたことを告げた。
なんてこった、これじゃ大久保を誘き寄せられないぞ。鈴木は悩んだ。
朝礼の後、廊下を歩きながら桂が鈴木に「大久保を襲ったの僕なんだ。アイツからパシられていてさ? 君をイジメていたのはアイツに無理やりやらされていたからなんだ」
だから、許せってフザケンナよ!?
が、桂を殺すのは危険かも知れない。
6月には体育祭がある。
鈴木は体育祭の最中に亀笹を殺すことに決めた。
放課後、図書室に行き
『スポーツ・マーダーミステリー - 体育祭の暗闇』
物語は、普通の高校の体育祭から始まる。生徒たちは1年に1度の楽しいイベントに参加し、競技や演技を行っている。しかし、突然の出来事が起こる。
体育祭の最中、1人の生徒が不審な死を遂げる。生徒たちはパニックに陥り、先生や警察が駆けつける。犯人は誰なのか、なぜこの殺人が起こったのかを解明するために、捜査が始まる。
主人公は、学級委員長の
物語は、体育祭の様々な競技やイベントを背景に、真央が次々と手がかりを解き明かし、犯人を割り出していく様子を描く。事件の裏には、嫉妬や秘密、復讐の要素が絡み合っていることが明らかになる。
事件は5月28日午後8時、被害者、大久保裕二の容体が急変した際、看護師の花村紀子が投与中の点滴袋をベッドに落とし、袋内の輸液が急激に泡立ったことから偶然にヂアミトールの点滴混入が発覚した。ナースステーションに残されていた未使用の点滴袋を調べると、1個、点滴袋でゴム栓部分に封をする保護フィルムに細い針で刺した穴が見つかった。群馬県警察は、何者かが点滴から異物を体内に入れ、大久保を殺害した殺人事件と断定し、群馬警察署に特別捜査本部を設置。点滴に混入させる手口から病院内部の者による殺人事件の犯行が疑われたが、捜査は難航した。
犯行に使われたヂアミトールは、業務上使われるもので、院内各所に置かれており、犯人を特定することは困難を極めた。県警は院内にあるものの鑑定を実施。当時担当していた看護師全員の看護服を調べたところ、ベテランナース、
和恵は鈴木の母親だ。どことなく、原田知世に似てるな?と、市川は思った。『あなたの番です』のドラマ版がやっていたのは市川がまだ大学生のときだ。2019年に放送されたサスペンスドラマだ。もう34年も前か……あのときは市川は髪がフサフサだったが、今じゃツルピカだ。
「大久保は鬼以外の何者でもありません」
彼女は取調室で市川に語った。
「息子を酷い目に遭わせて、のうのうと生きてるなんておかしいと思いません?」
大久保が息子の喬太をイジメていたことは既に聞いた。
「親のあなたがどうして?」
「いじめられた者は復讐しても逮捕されないんでしょ?」
「ニュースちゃんと見てます? 逮捕されないのは当事者だけですよ」
「え……」
和恵は絶句していた。
大久保がいなくなれば、息子に笑顔が戻るかも知れないと和恵は思ったのかも知れない。6月1日、NHK7時のニュースを見ながら樹はそんなことを思った。2050年に日本人口が10,000万人を切り、減少の一途を辿った。 人口が減少するだけでなく、全人口の4割を65歳以上の高齢者が占めているため、労働力となる人口が少ない超高齢社会となった。こんな時代だから介護殺人は頻繁に起きる。昨夜遅くに55歳の女性が80歳の父親の首を絞めて殺したらしい。
鈴木に気をつけないといけない。
親があんなことをしでかしたんだ。息子はもっと危険だ。いじめられたら犯罪が自由なんて恐ろしい時代だ。
同じ頃、留守はお笑いを見ながら警察って愚かだなと思っていた。比叡山で白骨化した留守の遺体が発見されたが、あれは留守の弟のものだ。魚と肉ってお笑いコンビが出てる。魚は痩せていて、肉はデブだ。魚がボケ役で肉がツッコミ役だったり、逆に肉がボケで魚がツッコミだったりする。魚が泳ぐフリをして、肉が「それ、お笑いじゃないよ!」とツッコむ。
6月5日の昼過ぎに樹は久々に、弟の英樹や友人の卜部と飲んだ。場所は樹の自宅だ。卜部は刑事を辞めてしばらく隠居してたが、息子に先立たれ孫の養育費を稼ぐ為に探偵稼業を始めた。
「俺、あと4日で70歳になるんだ」
樹は芋焼酎を少し飲んだだけで酔ってしまった。
「お互いに老けたな?」と、卜部が眠そうな顔をした。
「兄貴、誕生日おめでとう」
英樹は
「まさか、校長になるなんてな?」と、卜部は鼻で笑った。
6月6日午前11時10分、鈴木および桂は、各々の自動車でO学園に同時に到着した。鈴木は学生用駐車場に駐車し、桂は彼の割り当てではない教職員及び来客用駐車場に駐車した。それらの地点から、2人は、それぞれ1階カフェテリアに対する完全な視界を確保していた。また、両名とも学校の主な出口をカバーしていた。
2人は「A」ランチが始まる数分前にカフェテリアに入り、2つのダッフルバッグを置いた。バッグにはそれぞれ20ポンド(9kg)のプロパン爆弾が11時17分に爆発するようセットされていた。2人がカフェテリアに入ったとき、ちょうど管理者が防犯カメラのビデオテープを巻き戻してから新しいテープに交換していたため、爆弾設置の瞬間は録画されなかった。
2人の当初の計画では、カフェテリアで爆弾を炸裂させ、そこから逃げてきた人たちを銃撃する予定であった。爆弾は、カフェテリアの全てを破壊し、二階の図書館を崩壊させるのに十分な威力を持っていた。2人は、爆弾の炸裂を待つために、各々の自動車に戻った。
しかし、カフェテリアの爆弾は爆発しなかったため、鈴木と桂は、鈴木の自動車の近くで出会い、弾薬や爆弾の詰まったダッフルバッグを持った。鈴木のバッグには、ソードオフに改造されたサヴェージ スプリングフィールド67Hポンプアクション式散弾銃、ハイポイント995 9mmセミオートカービンが入っており、桂のバッグには、9mm半自動拳銃イントラテック TEC-DC9、スティーブンス311D水平二連短銃身散弾銃をそれぞれ入れたバックパックで武装しカフェテリアに向かった。2人は、校地で最も高い位置である西側入り口階段の上に行った。この地点から見て、カフェテリアの横側入り口は、階段の下方にあった。学校の主な西側入り口は2人の左側にあり、運動場は右側に位置した。
鈴木の狙いは亀笹だけだ。桂が鈴木に協力したのはより多くの人間を殺したかったからだ。
『大久保を殺さなかったのは何故だ?』
吉牛で、1000円もする牛丼並を食べながら鈴木は尋ねた。隣に座っていた桂は『大久保が怖くて足が竦んでしまった』と言っていた。
11時19分、樹は、鈴木が「行け!行け!」と叫ぶのを聞いた。その瞬間、2人は散弾銃を引き抜き、丘に座って昼食をとっていた亀笹に向かって銃を発射した。亀笹は4発撃たれて即死(鈴木が2発、桂も2発)、スリーブガンを撃つ暇はなかった。
さらに、鈴木は桂をも撃った。桂は頭を吹き飛ばされて死んだ。
「鈴木君ッ!」
樹が叫んだ直後、鈴木はサヴェージの銃口を咥え引き金を引いた。
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