第4話 ヤマタノオロチ

 7月11日

 細川学園の中で、主人公の木下剛きのしたたけしは学園の秘密部を任されることになった。ある日、学園の構内で起こる連続事件により、木下剛は独自に捜査を始めた。


 細川学園は、愛知県の田舎町にある小さな中学校だ。しかし、ある日突然、衝撃的な事件が起こった。佐野誠さのまことって国語教師が、巴里帆ともえりほの代理でやって来た。里帆は産休に入った。着任したのは7月1日、3年5組の担任になった。

 学園内で連続して2人の学生が殺害された。6日の日に左京雅裕さきょうまさひろ遠藤剛えんどうつよしが殺された。2人とも5組の生徒だ。被害者たちは学園内で人気のある生徒たちであり、彼らの死は学園コミュニティ全体に衝撃を与えた。


 6日の2時間目の休み時間

 左京が交換日記を抜けたいという趣旨のメモを友人に渡した。午前中にこのメモが、加害者の岸部真三きしべしんぞうに届けられた。岸部も5組の生徒で、左京と岸部はラクロス部の部員だ。

 岸部は左京に、「なんなら全部やめちゃえば」と伝えた。


 12時15分

 授業が終了し、給食の準備が始まる。


 12時15分-35分

 岸部が左京を5組の教室から北に約50メートル離れた学習ルームに「ちょっとおいで」と言って呼び出した。そこでカーテンを閉めて椅子に座らせ、手で目を隠し背後から首と左手を切りつけた。左京は椅子から立ち上がり、両手を振って抵抗したが、岸部は何度も切りつけた。手の甲に傷がついた。左京が倒れた後、すぐには現場を離れず、教室に戻るまでの約15分間、手に付いた返り血をハンカチでふいたほか、左京の顔をのぞき込んだり、体を触ったりして、動かないことを確認した。

 左京の首の傷は深さ約10センチ(普通の大人の首の太さは直径で13 - 15cmぐらい)、長さ約10センチになり、左手の甲には、骨が見えるほど深い傷(防御創)がついた。


 12時35分

「いただきます」の唱和時に、佐野が岸部と左京が教室にいないことに気づく。その直後、廊下から走る音が聞こえ、岸部が返り血を浴びた服のまま入口にたたずんでいた。

「岸部君、何が起きた!?」

 佐野は叫んだ。

 黙りこくる岸部の手にはカッターナイフと血で濡れたハンカチが握られていて、ズボンの裾は水に漬かったように濃さを増していた。

 岸部はさらに、すぐ近くにいた遠藤もカッターナイフで刺した。遠藤は腹から血をダクダク流した。

 佐野は蹴りを放ち、岸部の手からカッターナイフを払い落とした。昔、少林寺拳法を習っていたことがある。

「ウワァッ!イテェ!!」

 蹴りが岸部の拳に炸裂したから無理もない。

 佐野が学習ルームに駆け付けると、左京が倒れているのを視認した。佐野は「救急車!救急車!救急車!」と叫んで、左京を抱きかかえながら止血を試みる。叫び声を聞いた3年教室の教師が職員室へ駆け込み、平泉ひらいずみ教頭に報告した。平泉は鹿賀丈史かがたけしに似ている。平泉は状況を理解できず、自ら現場に赴いた。佐野到着時には左京はまだ息をしていた。学習ルームには血が飛び散り、壁にも点々と血が付着していた。入口付近には折れたカッターナイフの刃が落ちていた。また、左京の眼鏡が机の上に置かれていた。

 

 左京、遠藤とも救急車で病院に搬送されたが助からなかった。

 

 この事件に関心を持った女刑事、松本涼子まつもとりょうこは、不可解な殺人事件の真相を解明するために学園に入り込んだ。彼女は被害者たちとの関係性や事件の手がかりを探し、学生や教職員から証言を集めた。

 2人を刺したのは岸部って生徒で間違いないが、松本は徐々に、学園内で秘密が隠されていることを感じ取った。被害者たちに関する噂や事件の背後に広がる深い陰謀、学園内の派閥や権力闘争など、彼は危険な真実に近づいていった。


 事件の解決に向けて、松本は学園の闇を暴き出すために様々な手がかりを追った。彼女は推理を駆使し、事件の犯人や動機を特定すると同時に、学園内に横たわる秘密を解き明かしていった。


 事件のなかで、ヤマタノオロチと呼ばれる名前の謎の存在が浮かび上がった。ヤマタノオロチという名前が何かしらの形で事件に関与していることを木下剛は確信した。さらに、事件現場で見つかった不思議な地球儀も木下剛の関心を引いた。


 木下剛は偽名、山田鴉やまだからすを使って潜入捜査を行いながら、学園内で進行する事件の真相に迫った。彼は友人の樹と協力し、学園の裏側に隠された秘密を解明するために奔走した。


 木下剛が学園の教師や生徒たちとの接触で手榴弾の存在に気づいた。手榴弾の意味を考えながら、彼は紹興酒という情報を手がかりに事件の解明に近づいていった。そして、彼はヤマタノオロチと地球儀の真相を突き止めた。

  

 13日の夜、木下剛は2階の東にある図書室にいた。ヤマタノオロチに関する文献を読んでいた。

 八岐大蛇は『日本書紀』での表記。『古事記』では八俣遠呂智と表記している。「高志之八俣遠呂智、年毎に来たり(古事記)」がみえ、古代日本の地方である高志こしから来たとされる。「ヤマタノオロチ」という名称の意味は諸説ある。本来は山神または水神であり、八岐大蛇を祀る民間信仰もある。なお本居宣長は『古事記伝』にて、八俣遠呂智は「ノ」を添えず「ヤマタオロチ」と訓むべきだとしている。

 もしかしたら、水道関係の仕事かな?


 故遠藤は『宝探し殺人事件』って小説を書いていた。木下剛は原稿を読んだ。


 舞台は夜間学校のある学園。この学園では、特別な活動として夜の宝探しイベントが行われた。主人公は卜部刑事で、彼は胃潰瘍で苦しむ刑事だ。彼は学園内に潜む謎と、自身の胃の健康を守るために事件解決に挑むことを決意した。


 ある日の夜間学校の宝探しイベントで、卜部刑事は他の学生とともにチームを組んだ。彼らは学園内のさまざまな場所を訪れ、謎解きをしながら宝を探した。しかし、宝の代わりに彼らが見つけたのは、学園内で多発している不審な事件の手がかりだった。


 卜部刑事は情報屋から必要な情報を得るため、協力を要請した。情報屋はウーバーイーツのデリバリードライバーであり、彼は学園内の出来事に詳しいことで有名だ。卜部と情報屋は共に謎を解き明かし、事件の真相を探る冒険に出発した。


 彼らの調査は徐々に進み、学園内で活動する組織の存在や胃潰瘍事件との関連を突き止めた。卜部刑事は自身の胃の健康を守りつつも、事件解決のため夜な夜な学園内を探索し、証拠を集めた。


 卜部刑事の推理と行動により、彼は事件の真相と犯人の正体を特定した。しかし、犯人は彼らの前にさまざまな障害を立て、卜部刑事は胃潰瘍という健康上の問題と闘いながら、事件の壮絶な結末に向けて進んでいく。

 

 15日の夜、岸部は横行おうぎょう署の留置所内で舌を噛み切って自殺を遂行した。


 同じ日の夜、樹の夢の中に紅子が現れた。

 紅子はナニかから逃げていた。

 気になって名古屋駅近くの占い館を尋ねた。

 占い師は白髪頭の老婆だった。

「樹さんが夢の中で元カノの紅子さんに出会った場合、その感情や思いは様々な要素によって異なるでしょう。夢の中では、過去の感情や経験をフィルタリングして現れることがあります。一般的に、夢の中で元カノに会うことは、未練や未解決の感情が存在している可能性があります。夢の中で紅子さんが現れることから、樹さんが未練がましさや過去の出来事について思いを馳せているかもしれません。

 夢の中で元カノに対して感じる感情や思いを分析するのは難しいですが、もし不快感やネガティブな感情を抱いた場合は、過去の関係のトラウマや未解決の問題に向き合うべきかもしれません。それには心理カウンセラーや専門家の助けやサポートが役立つ場合があります。一方で、元カノの紅子さんが現れた夢がポジティブな感情や思いを引き起こす場合、それは過去の関係での素晴らしい経験や思い出を思い起こすことができるかもしれません。しかし、それでもなお、現在の関係や人生に焦点を当てることが大切です。

 夢の中での出来事は個人の内面や感情の反映であり、それが現実の関係や状況と必ずしも一致するわけではありません。夢を通じて自分自身を知り、自分の感情や思いに向き合うことは成長や発展の機会にもなります」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る