没第6話 文章力編3 ~曖昧模糊で漠然とした概念【文章力】。その正体はパラグラフと文法の習熟度~

 今日も金曜日じゃん……定時投稿分ですが、上手く書けませんでした……。あとで削除するかもしれません……。



 いきなり他書の話になりますがアメリカで文章教本の古典とされているウィリアム・ストランクのThe Elements of Style(文体の要素)という本はこれ一冊あれば他の教本はいらないというくらいに上手く文章の基本について纏めてあります。ネットで無料で公開されているので真面目に文章力向上を目指す人はこれだけは一度は目に通した方がいいと思います。




 えっと、言いたいだけの前置きを挟んでから早速本題に入ろうと思います。


 タイトルの通り、僕は文章力の根幹はパラグラフと文法だと思っています。この2つの概念を正確に理解し、踏襲して文章に反映させるだけで文章は見違えます。


 ぶっちゃければ文章というのは殆ど慣れの世界です。慣れで何となく、この部位はこのくらいの分量かな、ここはこう書けばいいかなという判断をしています。だからこそ教えるのが難しく、あるいは教えようがない分野なのです。体内リズムとテンポの文章への反映のさせ方など言語で語りようがありませんから。


 けれども、明確に教えられることがあります。それが上記のパラグラフと文法です。そしてこれこそが普遍的に通ずる殆ど唯二の文章技法と言えるでしょう。



 では、どちらが重要かというと、圧倒的にパラグラフです。



 というか文法というのはどこまで行ってもただのルールでしかないので、いくら習熟しても劇的に文章が上手くなるわけではありません。ただ凄く見栄えが良くなるだけです。でも、見栄えというものは、特にWEB小説では凄く重要なので……やはり重要です。人から文章力があるかどうか判断されるときにまず真っ先に見られるのは文法ですからね。


 だから、文法について語ることはあまり多くありません。本当に、てにをはをしっかりしましょうとか、動詞名詞、就職被修飾の関係性を守りましょうとかその程度の話になるので、重要だけど重要じゃないです。パラグラフと並べるのは言い過ぎだったかもしれません。


 それに日本語というのは名文家で知られる谷崎潤一郎が日本語にはこんにゃくのような文法しかなく、この世に文法を正しく扱えているものは一人もいないと著書で断言するほどには文法があやふやなので、日本語を通して文法を学ぶと言うのは相当難しいと思います。というか不可能に近いです。


 だから、もし文法を学ぶとしたら英文法を学ぶことをお勧めします。英語は文法の言語と言っても過言ではないくらいに文法――文章のルールが明確に定められています。そしてそのルールはしっかりと日本語にも当てはまります。中学生レベルで良いので、英文法を学ぶと、文法というものが良く理解できます。


 この英文式の文法の遵守の化け物なのがかのリ〇ルド・ワールドの作者で、本当に化け物みたいに文法を遵守します。そしてそれが文章力にも繋がっており特異な表現にまで昇華されている稀有な例です。ただ普通はあんな風に書けはしないので、やはりそこまで気にしなくてもいいでしょう。本当、てにをはレベルで守ってればいいのですよ。



 文法の話はこれで終わりにして次からパラグラフの話題に移ります。



 ・パラグラフについて


 パラグラフとはある趣旨――トピックセンテンス――について取り扱った一纏めの文章のことです。メタ的に言えば空行で区切ってあるこの文章の纏まりのことです。僕はパラグラフ原理主義者なのでパラグラフが文章力の根幹だと断言します。パラグラフの概念を理解して実践しているかどうかが初心者と中級者の一番の差だと思います。それくらい、パラグラフを実践しているかどうかで文章というのは見違えます。断然、読み易くなります。前話の憑依型とこのパラグラフが僕が文章について語りたいことの殆ど全てです。なので、ぜひ覚えてもらえたらと思います。


 勿論パラグラフの存在を知らなくても上手く書ける人はいます。でも、凡人は技術を、とにかく足りないものをひたすら血で贖わないとスタートラインにも立てない宿命を神から課されているので、パラグラフなしでまともな文章は書けません。僕が、そうでした。俺は凡人なので技術がないと、いや、技術があってもゴミしか生み出せません。何もかも足りないので血を一杯流してきました。それでも価値ある作品を未だ産み出せません。こんな創作論を今書いているのは凡人への、自分への憐憫です。なんで俺は何もかも無価値なのだという狂奔と狂悔の叫びです。それでも、流した血が無駄ではなかったと信じたいがためにこんなものを書いています。どうせ無駄だと分かっていても、書いています。


 パラグラフの構成というのは論文の構成とほぼ等しいです。基本的に3段構成であり、その内訳は、


 1にそのパラグラフの趣旨を明らかにし。

 2にその趣旨を自然な形で発展、または補強。

 3にそのパラグラフの趣旨を強調、または何か重要な結論を述べる。


 となります。。脇道にそれて終えたり、つまらない詳細を述べて終えたりすることは、特に避けなければなりません。1つ前のパラグラフは典型的な趣旨の迷走の例です。パラグラフの必要性の話から個人的な感傷、そして自己憐憫的な同情しろと言わんばかりの感情の咆哮で終わるという脇道に逸れた上につまらない詳細を述べて終わっています。こんなパラグラフは絶対書かないようにしましょう。最初と最後での趣旨の隔離はパラグラフで最も犯しがちな失敗パターンです。趣旨の貫徹。これが奇麗なパラグラフを書くコツです。



 先程のパラグラフを趣旨の貫徹を意識して最初の1行以外を書き直してみます。



 勿論パラグラフの存在を知らなくても上手く書ける人はいます。しかし、読書感想文が苦手だったという昔話が未だに世代を超えて共感を呼ぶように、殆どの人はそもそも文章をそこまで上手く書けません。そんな人にとってパラグラフの概念の把握はきっと必要になります。それに、前者の人でも知ることでもっといい文章を書けるようになるはずです。だから、このパラグラフという概念は絶対に覚えて文章に取り入れましょう。



 糞固くて気持ち悪いですね。これはこれで悪文です。パラグラフとは先のことは考えず自然に書いて自然に閉じるのが理想的だとスティーブン・キングは言っていました。あまり気構えず、書けるように書いて、そこそこで締める。まぁその程度の認識に最終的には落ち着きます。僕もパラグラフを書くぞーなんて意気込んだのは久しぶりです。だからこんな糞みたいな文章を書いてしまったのでしょう。



 なんか上手く説明できませんね……仕方ないので例文で説明します。例文を使わないと僕は上手く説明できない性質みたいです。ロジカルでなくフィーリングで文章を書くタイプなので感覚的に伝える手法のが性にあっているのでしょう。


 という訳で、例によってヒロシくんを使った例文を、パラグラフを踏襲しないパターンとしたパターンで書いてみます。お母さんと一緒に商店街に買い物に出かけたヒロシ君が福引で大当たりを引くシーンです。




「大当たりです! おめでとうございます!」

 ヒロシは口をあんぐり開けてガラガラをならす受付嬢を見た。驚きのあまり声も出なかった。

 震える指でたった今自分が排出してしまった金の玉を指さす。

「嘘、だろ?」

「本当です! おめでとうございます!」

「ヒロシ! よくやったよ! あんたたまには役に立つね!」

 ヒロシの頭を母親がひっぱたく。

 ヒロシはようやくこれが現実だと理解できた。

 ヒロシは喜んで万歳する。

「は、はは! やったー! パチンコで勝つより嬉しいぞー!」

 母親が受付嬢に尋ねる。

「商品は何ですか」

「2泊3日の金閣寺見学旅行券です」

「……」

「……」

 ヒロシも母親も黙った。

 2人とも金閣寺など微塵も興味がなかった。

 2等のポコモンカード一箱の方がよっぽど嬉しかった。

 そもそもヒロシの家は両親ともに共働きで、旅行など行く暇もない

 母親がヒロシに微妙な視線を向ける。

「そういえばあんたは昔からどうでもいいことにばっか運を使う子だったね。ポコモンカードで5パック連続でレアカードを当てたっていうからレートを調べてみたら狙いすましたように同レア帯で最低レートのカードだけを引き当ててたり。期待して損した」

「……」

 俺のせいじゃない。

 ぬか喜びからの落差が激しすぎてヒロシにはもうそう言い返す元気も残ってなかった。




 パラグラフの概念が分からないと、こんな感じの、文庫本みたいに一定間隔で段落開けて文字並べりゃいいんだろ的なノリで文字を敷き詰めて、さらに読み易さの意識とどう文章を続けたらいいのか分からないという2つの理由で文章がSはVした的な短文の連なりになり、万事説明あるいは情緒不足的な文章になるのではないかと思います。例によって過去の自分のことなのですが。


 段落はただ短く区切るためにあるのではなくパラグラフの分け目をはっきりさせるためにあるのです。パラグラフの分け目を理解して段落を開けましょう。


 こういう文章もまぁ読み易いは読み易いし味が合って悪くなかったりするし、こういうくだらない内容には結構合うのですが、例えば物凄くシリアスな場面とか、しっとりした場面とか、激しいアクションシーンとか、高度な文章力が必要とされる場面でこんな文章を書かれたら読者は興冷めです。パラグラフの概念を身につけて場面場面に相応しい文章をかけるようになりましょう。


 こんなことを書くと、じゃあお前はどうなんだよって自分で自分につい問いかけてしまうのですが、まぁ深くは考えず次はパラグラフを踏襲した例文を書いてみようと思います。シチュは同じです。


「大当たりです! おめでとうございます!」


 ヒロシは口をあんぐり開けてガラガラをならす受付嬢を見た。驚きのあまり声も出なかった。日曜日、母と連れ立って訪れた商店街。その帰りに買い物レシートと引き換えに福引を引けるキャンペーンに参加して、外れを引いて消費の激しい自室用のティッシュの補充でもするかと思いながら引いたら、まさかまさかの1等を引いてしまったからだ。震える指でたった今自分が排出してしまった金の玉を指さす。


「嘘、だろ?」


「本当です! おめでとうございます!


「ヒロシ! よくやったよ! あんたたまには役に立つね!」


 ヒロシの頭を母親がひっぱたく。その衝撃に我に返らされて、ヒロシはようやくこれが現実だと理解できた。思わず万歳をする。


「は、はは! やったー! パチンコで勝つより嬉しいぞー!」


 母親が受付嬢に尋ねる。


「商品は何ですか」


「2泊3日の金閣寺見学旅行券です」


「……」


「……」


 ヒロシも母親も黙った。


 2人とも金閣寺など微塵も興味がなかった。


 2等のポコモンカード一箱の方がよっぽど嬉しかった。


 そもそもヒロシの家は両親ともに共働きで、旅行など行く暇もない。ヒロシ達にとっては金閣寺見学旅行券よりも外れのティッシュの方がまだ明確な使い道があるだけマシだった。母親がヒロシに微妙な視線を向ける。


「そういえばあんたは昔からどうでもいいことにばっか運を使う子だったね。ポコモンカードで5パック連続でレアカードを当てたっていうからレートを調べてみたら狙いすましたように同レア帯で最低レートのカードだけを引き当ててたり。期待して損した」


「……」


 俺のせいじゃない。そう思うも、ぬか喜びからの落差が激しすぎて、もはやヒロシにはそう言い返す元気も残っていなかった。





 ……なんか文章が鬱陶しくなりましたね。気持ち悪いです。0から書き直した方がマシです。



 一応解説を。全体的に具体性は増しましたがテンポは悪くなりました。パラグラフをきっちり書くデメリットの一つです。パラグラフは趣旨を書き出すためにあるので、言いたいことを言い終えたらさっと1文で切り上げるのも全然ありです。一つの趣旨(トピックセンテンス)を十全に語り終えたときがパラグラフの閉じ時です。1行で言い終えられることを2行も3行も費やすのは逆に悪手です。パラグラフをどれくらいの分量で書くか、これは多分一生ついて回る悩みです。答えがなく、究極的には経験と勘で割り出すしかないからです。スティーブン・キングも言ってたので間違いないです。



 終盤、単一の文章はそれだけでパラグラフとして成り立っているので修正してません。付け足す方が余計だと判断しました。文章は基本的に無駄を省けば省くほどいいです。短いほどいいではないのがポイントです。適切な長さを目指して加筆、減筆を繰り返すのです。


 文章にもパラグラフにも適切な長さというものがあります。けれど、それは言葉で教えられるものではありません。それを見出すのは勘と経験です。でも、勘のウェイトが大きいです。かなり才能がものを言います。ただ、自分で判断するのは難しいですが、他人に見せるとその人がたとえ素人だとしても大体的確な答えが返ってきます。だから信頼できる人に見せるのが一番いいのですが僕はそんな人がいないのでいつも一人で推敲してドツボに嵌まっています。もう今のスタイルに限界しか感じていません。編集者がいれば今の10倍はマシな文章がかけるはずなんです……。この文章も長すぎる気がしてますがどこを削ればいいのかよく分からない。全部かな。


 上手い解説が全くできませんでした。


 要するに、



 文章は単文の集まりではなくパラグラフの集まりである。パラグラフを一つずつ完成させる小さな達成感の積み重ねの先に纏まりのある文章は完成する。



 そういうことを言いたかったのですが、上手く纏められませんでした。こんなざまで何が纏まりのある文章か……でも投稿しなければならないので没稿として投稿します。 

 

※追記 

1日寝かせて読み直したら意外と悪くない気がしたので本稿にします。

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