第4話 お仕事の日常
今日はお客さんが来ません。ララさんの話だと月に一度くらいはこんな日があるそうです。
私は日向の椅子に座りこっくり、こっくり、と居眠りをしていると。黒猫姿のララさんが膝に入ってきます。
平和な時間が流れています。
ララさんと一緒にいる時は特に好きでした。膝の上で寝ているララさんが『ビク』とすると。何事かと目が覚めます。起きた様子のララさんに頭をなでてあげます。
すると、ララさんが横に飛び降りると人型の姿になります。
「ナデナデして」
人の姿でナデナデは恥ずかしいですが。リクエストに応えて、私は長い黒髪の頭をナデナデします。
「ありがと」と言うとララさんは私の頬にキスをしました。
カツー、私の顔が真っ赤になる。この都では頬にキスは挨拶の内に入るのかもしれない。古都、サンディンは奥ゆかしい街です。挨拶でキスなど無いはずです。
少し胸がドキドキしていると。
『カラン、コロン』
あ、お客さんだ。私は立ち上がり、仕事を始める。
***
今日は三カ月に一度の大掃除です。普通に残業になり、忙しく終わった後は泥の様に寝ます。
翌朝、体のあちこちが痛い。ブランド品のポーションでも飲むか?
いや、シップでいいとしよう。ここは眠気覚ましの為に、少し寒いがシャワーを浴びよう。
ふー生きかえた。
シャワーの後でシップを貼り、二度寝する。
「カナナさん、ご飯ですよ」
「は!?」
ついつい二度寝してしまった。起こしてくれるのは、今朝は黒猫の姿で猫パンチではない。少し寂しいな。
「はい、ハムエッグよ」
今日の朝食はトーストパンにハムエッグであった。ララさんは一人分も二人分も同じだと言ってご飯は作ってくれます。
まさに感謝、感謝である。
食事が始まると。私は夢を語る事にした。
「ララさん、聞いて下さいよ。私、こんな『にゃんこ族の小部屋』みたいな雑貨屋を開きたいの」
「それは素敵な夢ね」
「はい」
ララさんに返事を返すと朝食を食べ終わる。メイド服の様な制服に着替えると。
さて、お仕事の開始だ。朝の仕事のルーチンは玄関と窓の開錠に事務室の書類の入った金庫の中身の確認です。
「OKです」
「終わりましたか。朝ご飯を食べてティータイムも無かったですね、少しお休みです」
15分程の休憩です。
この『にゃんこ族の小部屋』では焦りは禁物です。最高の笑顔を出す為にはメンタルが重要なのです。
ララさんはアールグレイ、私は珈琲です。
ふーう、珈琲が美味しいです。
「カナナさん、開店の看板を出してくれる」
「いいのですか?」
「はい」
始めての仕事だ、私は自然と興奮します。ここは珈琲を飲んで少し荒ぶる心を収めます。
ティータイムが終わると早速、開店の看板をだします。
すると、ララさんは黒猫の姿になりいつもの場所に座ると店番の始まりです。
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