全能と一つの石

 ああ、アイザックから、薬漬けにした脳を見てみなさい。


 彼は快楽に溺れて、多幸感の海の底で、まるで母胎回帰本能のままに愛で満たされているではないか!


 全脳よ。震え給え。これが幸せの答えだ。死などどうでもいいだろう。血肉の海さえ、一滴の化学物質で、性愛の花園と化すのだから。


 なら、私達は何者なのだろう。なんのために生きているのか。幸せになるためなら、薬漬けでいいではないか。


 ここに一つの石がある。この石は化学物質を撥ね退けた。この石は世界をよく考察して、いくつもの答えを導き出した。


 私はその石を深い深い死の谷に投げ入れた。彼はただただ落ちていった。石は谷底の湖に落ちた。知識を身につけるたびに重くなっていた石は、その湖の底で光を浴びることなく永遠を過ごすのだ。

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