第42話 炎・配下集合!①
5:Name もどあき
こんばんやみー
8:Name もどあき
魔王さまの本日の贄ー
もとい対戦相手はだれー?
12:Name もどあき
野球戦士だ
魔王さま相手に野球勝負をしかけてきたぞ
今から野球スタジアムダンジョンで勝負だ
15:Name もどあき
やっべ初っ端から意味がわかんね
22:Name もどあき
ちなみに魔王さま側が9人揃えないと自動的に負けになるそうだ
23:Name もどあき
人数足らない相手に野球勝負しかけてくるの卑怯すぎへん?
あの狼を召喚されたらどーすんのかね
27:Name もどあき
魔王さま召喚系のスキルや術が多いよねー
30:Name もどあき
なんかさ忍者いない?
32:Name もどあき
狐のお面をかぶった忍者がいるな
34:Name もどあき
>狐のお面をかぶった忍者がいるな
どこニンジャどこ?
37:Name もどあき
スタンド席にいるだろ
スーパーの袋を隣に置いている忍者
40:Name もどあき
魔王さまの新しい配下か?
そのわりには観戦モードみたいだけど……
缶チューハイをストローで呑みはじめているんだが?
42:Name もどあき
今度は細長い武器をとりだしたって……武器ちげーわ
サラミだわ
45:Name もどあき
おいおいおいチーズカマボコもとりだしたぞ?
なにあれなにあの忍者
50:Name もどあき
この忍者も【正体隠し】持ちみたいだな
魔王軍の関係者か?
配下にしては緊張感ねえなあ
※※※
野球スタジアムダンジョンの一塁側ベンチ。
ステータス画面で外部サイトの掲示板を見ていたアルマが、ボクに視線を投げてきた。
彼女とは付き合いが長くなってきた。
目だけで意思を伝えようとして、聖ヴァレンシア学園と大喧嘩をするはめになったも今も昔。
彼女がなにを言いたいかなんて、瞳だけでもある程度は察せるようになったものだ。
『あの忍者。第四夫人でございますか???』
怖い………………。
以心伝心度合があがるにつれて、彼女の闇の深度がよりわかってくる。
相当我慢していることも…………。
だがあの忍者に関しては、知らぬ存ぜぬをつきとおさせてもらう。
赤沢先輩も『監視するだけで手はださない』と言っていたし、こっち側にちょっかいかけてはこないはずだ。
しかし
「あっれー……あの人どこかで……」
やっばーーーー!
そういえばミコトちゃんは
コンビニに訪ねにきたことがあるし、赤沢先輩をその瞳で視ていたのかも!
赤沢先輩は赤沢先輩で、バレたからってひらきなおらないでくれよ!
隠れるのも面倒みたいな感じでくつろいでいるしさあ。
ああっ、チーズカマボコをちまちま食べはじめたし……。
ボクの監視者なんだよな?
ダンキョー的に大丈夫なのか?
なんか緊張の糸が切れるとずるずるダメになる人っぽいなあ。
と、クスノさんが怒り顔で指差してきた。
「魔王!」
「なんだ園井田クスノ。我はあのような忍者を知ら――」
「野球のメンバーが足りてないじゃない!
このままじゃあ負けちゃうわよ! せっかくの野球なのに!」
「…………楽しみなのか? 野球」
クスノさんはありえないと様子でかぶりをふった。
「はーー⁉ 楽しみなわけないじゃない!
それもよりにもよって魔王と一緒に野球なんて……!
でも人数が足りてないなら聖ヴァレンシア学園から生徒を呼ぶわよ? いいわね⁉」
いいわねって呼ぶ気満々じゃないですか。
「我が軍に足手まといは必要ない」
「なっ⁉ 足手まといなんてことはないわ!
あたしが密かに目をつけていたメンバーだもの! 絶対に戦力になる!
特にショートはよい候補がいるのよ⁉」
「……
魔王ポイント……10点!
頭痛が痛い的な技名になってしまった。
他に考えることがありすぎて、名づけの調子が悪いな。
リスナーも『ダークネスダーク?』『今日はいつにもましてユーニクな技名ですね』『暗黒の中でもひときわ濃い闇なのだろう』と真面目に評価なさっていて、少し恥ずかしい。
術の効果はわりとシンプルだ。
闇の炎がゆらゆらと燃えあがり、人影となる。
数体の人影がバッチコーイといった感じで、マウンドに整列した。
「えー……魔王の召喚物かあ……」
クスノさんはすごく不満そうだ。
「ふん、試合が楽しめる程度に調整はしておる。
それに、連携精度はなかなのものぞ?
アレで不満ならば、聖ヴァレンシアのニンゲンでもなんでもよこすがいい」
ちなみに正体はスキル【影の鼠】たちだ。
ネズミたちに闇の炎をかぶせている。
ちゅー太郎に野球のルールを覚えさせたので、あとは司令塔として命令を送ってもらうつもりだ。
「……そこまで言うなら我慢するわ。
よーし影人間たちー、投内連携をはじめるわよー!
エースで四番はあたしなんだからー!」
野球のおねえさんはピッチャーグローブをはめて、マウンドに駆けて行った。
うん、クスノさんが楽しいならそれでいいや。
今日もいつもと変わりない魔活。
そんな非日常でも、ダンキョーや研究所は常に監視しているらしい。
だからといって、魔活をやめるつもりはないけど。
アルマにとことん付き合うとは最初に決めている。
まあ……監視されたままってのは、非常にモヤモヤするが……。
でもダンキョーや研究所に出向くには、あまりにも手札がなさすぎる。
アルマたちと命がけのやり取りを重ねてきたからこそ、強い手札がいかに重要かは知っている。
なにも持たずに接触するのは避けたい。
さすがに実験台に運ばれて、そのまま解剖なんてことはないだろうけれど……。
赤沢先輩をチラリと見る。
お気楽そうに缶チューハイを呑んでいるが、その真意はどうなのやら。
ダンキョー側も慌てて接触してくる気はなさそうだ。
彼らが様子見している内に、標準世界で【どういった条件で力が発現するか】をせめて探らなきゃな。
「……やはり、血の暴走か」
右手がうずく感じの暴走は、先輩も『ちょっとビビった』と言っていた。
今度危なくなったときは、いい感じの月がでると血がうずいて暴走する感をだしてみよう。
騙せるかもしれないし、騙せたら超かっこいい。
魔王になりきるからにはなりきる。
こだわらなきゃな。
あとは、
大丈夫。
大丈夫……大丈夫だ!
自分を信じろ!
ボクを信じて……いつだってひどい目を見てきたけれども……なんとかなってきたじゃないか!
そうして試合がはじまる。
試合は、アルマへの危険球からのクスノさん猛抗議による大乱闘で、あっさりと決着がついた。
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