Day.21 朝顔
また新しい薬を開発したそうじゃないか。君ほど研究熱心な若者はそう居ない。こちらとしても支援する甲斐がある。
早速見せたまえ。……普通の錠剤のようだが、なにか仕組みがあるのかね。
飲んで試す、というのは止めておこう。こう言ってはなんだが、君が作った薬はたいていろくでもない効果ばかり発揮する。いや、不快にさせたなら申し訳ない。私は良い意味で言ったんだ。
ところで入り口に花が飾ってあったが、君に花を愛でる趣味があったとは知らなかったな。立派な朝顔だったからつい見惚れてしまった。
君も知っているだろうが、私は花を育てて観賞するのが好きなんだ。どこで種を買ったのか、どう育てたのか、ぜひ教えてほしい。あれほど美しい朝顔なら、私の会社に置いてもきっと映える。
助手? 君の? ……あの朝顔が?
まさか君、雇ったばかりの助手をまた実験台にしたのかね。次から次へと、よくもまあ。相変わらず自分以外の人間は材料でしかないようだ。
無論、私のことも。
しかし、ふむ。服用すると体のあちこちから花が咲く薬か。どれだけ醜い人間でも、これを飲めば美しくなれるのか。素晴らしい! 私のような凡人には考えつかない発想だ。恐れ入る。
なにが咲くかは決まっているのかね? 君の助手は朝顔になったが、例えば私の妻に飲ませた場合はどうなるんだ。気になることはまだあるぞ。意思は残り続けるのか、光合成と水だけで生きるのか。まだまだデータが足りないようだ。
実験に使える愛人ならいくらでもいる。必要であれば提供しよう。いつでも連絡してくれまえ。
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