Day.17 砂浜
はい、じゃあ次の方どうぞ。そこ座って。面接って言ってもそんな堅苦しいもんじゃないからさ。まあ気楽に構えてて。
前はどこに居たの。――ああ、あそこの絶壁の下ね。あれでしょ、「怪奇! 海の中から伸びる数多の手」ってやつ。あれの一人、君だったんだ。最近聞かないと思ってたら、ふうん、追い出されたわけか。除霊ってのは厄介だねえ。
うちは今のところ、霊媒師だのは来たことないな。そもそも心霊スポットとしてまだ話題になってないし。注目されるに越したことは無いけど、祓われるのは願い下げだなあ。
話が逸れた。えーっと、特技はなにかある? 生きてた頃でも、死んでからでも。――ふうん、彫刻ね。学生の頃はそっち方面の勉強してたんだ。
じゃあそうだなあ。それを活かせるような驚かせ方……こういうのはどうだろう。
砂浜に寝転んでる奴の体にさ、砂盛りつけて削って遊ぶ的なのしてる奴、たまにいるじゃん。砂で筋肉とか巨乳とか表現してるアレ。分かる?
アレをさ、砂が勝手に動いて体の上に像が作られてた、みたいな感じにしたら面白そうだし、人間も驚いてくれそうじゃない? そんな心霊現象聞いたことないでしょ。絶対に盛り上がるよ。
ちょうど砂浜のスタッフが少なくてね。海の中と岩礁周りは志望者多いんだけど、砂浜は心霊スポット的にマイナーらしくて。実績もあるみたいだし、君ならすぐエースになれる。どう?
良い目をしてるね。やる気満々って感じだ。意欲のある奴は大好きだよ。採用決定!
じゃあ明日から早速よろしく。一緒にこの夏を盛り上げていこう。
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