第2話 桃から生まれた桃太郎 2



桃太郎が落ち着くのを待ち、家へと案内してもらった。

古びているが、立派な家だった。


「ただいま、、、。」


桃太郎が家へと入ると、爺さんと婆さんがすっ飛んで来た。

そのまま桃太郎へと飛びつく。


「桃太郎!どこへ行ってたんだ!心配したんだよ!」


「こんな時間まで何をしていたんだ!」


桃太郎の無事を喜ぶ二人を見て、先ほどの話が嘘のように思えてきた。

婆さんなんて目に涙を浮かべている。

こんなに大切にしている子どもを鬼退治になんてやるのだろうか。


「この人が一緒に居てくれたから平気だった。」


二人の視線が俺に向かう。

印象を悪くしないよう、精一杯の笑顔を浮かべた。


「旅の者です。

一人でいる桃太郎が気になりまして、家まで送らせてもらいました。」


「それは、それは、どうもありがとうございます。

何もない家ですが、ぜひお礼に一晩泊まって行ってください。」


爺さんが頭を下げ、俺に礼を行って家の中へと招き入れてくれた。

儲けた。

旅をしている身としては、一晩でも泊めてもらえるのはありがたい。


「では、お言葉に甘えて、、、。」


遠慮なく家へ上がらせてもらう。


「明日の朝二人には話をするから、安心しなさい。」


そう桃太郎に耳打ちをすると、出会ってから初めて笑顔を見ることが出来た。




夕食は米や野菜、魚を出してくれた。

二人は米と野菜を少しだけしか食べず、あとは桃太郎と俺に食わせてくれた。

桃太郎の茶碗には米が山のように盛られていた。

食事をしながら二人と話したが、桃太郎への愛情は本物だと感じた。


「こんな布団しかないが、ゆっくり休んでいってください。」


食後、そう言って婆さんが敷いてくれ布団は、古い着物を縫い合わせて綿を詰めた物だった。


「ああ、そういうことか。」


心の中でそう呟いた。

その布団を見た時、俺は全てがわかったのだ。

と、同時に俺の旅はここで終わるのだと知った。





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