馬とロバ 羨みの物語

緋色有機@休業中

昔々、ある牧場にみすぼらしいロバが住んでいました

昔々、ある牧場にみすぼらしいロバが住んでいました。そのロバは毎日、重い荷物を背負って働かされ、不味い餌しか与えられない日々を送っていました。一方、ロバの小屋の隣には毛並みの良い馬たちが住んでおり、美味しい餌を与えられ、丁寧に世話されている姿が見えました。


ロバは毎日、馬たちの幸せそうな様子を見ては、「自分も馬に生まれたかったなぁ…」とうらやましく思っていました。馬たちはのんびりと過ごし、心地よい餌を食べ、しっとりとしたブラシで身体を撫でられるのです。ロバはその光景を見るたびに、自分がどれほどみすぼらしい存在であるかを痛感しました。


しかしある日、戦争が始まりました。馬たちは軍馬として戦場に連れて行かれ、戦いの中で勇敢に立ち向かいました。そして戦争が終わり、馬たちは多額のお金を手にして帰ってきたのです。そのお金は彼らの給金であり、勇気と努力の結果でした。


さらに驚くべきことに、馬たちはそのお金を原資にして先物相場に参入しました。彼らは賢く投資し、お金を増やしていったのです。ある日、馬の一頭がロバの小屋にやってきて、得意げにロバに話しました。


「こんなに儲かるとは、やはり馬に生まれてよかったよ!」


ロバはその言葉を聞いてますます馬をうらやましく思いました。自分が馬のように美味しい餌を食べ、世話され、そして豊かな生活を送れたら、どんなに幸せだろうと夢想していました。


しかし、それからしばらくして、馬たちの先物取引は失敗し、一気に資産を失ってしまいました。彼らは悔しさと落胆の中、再び牧場の日常に戻ることを余儀なくされました。


それを見たロバは、馬たちが失敗し、再び牧場の日常に戻ったことを知って、ゲラゲラ笑いながら、心の底から満足感を感じました。彼は思いました。「幸せって、お金や地位ではなく、自分が与えられた状況を受け入れ、喜びを見つけることなんだな」と。


それから、ロバは自分の役割を受け入れ、仕事に一生懸命取り組むようになりました。彼は重い荷物を背負いながらも、少しでも速く運ぶように頑張りました。辛い日々もありましたが、彼は希望を持って前に進みました。


ある日、牧場の主人がロバの小屋を訪れました。彼はロバの働きぶりに感心し、賞賛の言葉をかけました。「ロバよ、お前はいつも頑張っているな。お前の努力と忍耐は、この牧場に欠かせない存在だ。」ロバは主人の言葉に喜びを感じ、心からの感謝を伝えました。


そして、主人はロバに美味しい餌を与えました。ロバは初めて、自分にふさわしいごちそうを味わいました。それは馬たちのような餌ではありませんでしたが、彼にとってはとても美味しく感じられました。


ロバは再び馬たちの小屋を見つめましたが、うらやむ気持ちはもうありませんでした。自分がロバであることに誇りを持ち、与えられた仕事を全うすることが彼の使命だと悟ったのです。


それから、ロバは仲間たちと共に牧場で幸せに過ごしました。彼は他の動物たちにも協力し、牧場の助けとなる存在となりました。馬たちとの間には競い合いやうらやみはなくなり、互いに助け合い、共に成長していくことを学んだのです。


そして、長い年月が経ち、ロバは老いていきました。彼は静かに最期を迎えましたが、彼の存在は牧場の動物たちの中で語り継がれ、彼の信念と勇気は後世に伝えられました。


この物語は、ロバが自分の立場を受け入れ、自分自身の力を信じ、幸せを見つけたことを教えて物語は広まり、他の牧場や町々にも伝えられました。人々はロバの話を聞き、自分たちの置かれた状況を受け入れ、喜びを見つけることの大切さを学びました。


そしてある日、牧場は訪れた旅人によってさらなる発展を遂げました。旅人はロバの物語を聞き、その教えに感銘を受けました。彼は牧場の主人に助けを求め、新しいプログラムを立ち上げるための協力を申し出ました。


そのプログラムは、若者たちに農業や動物の世話を学ぶ機会を提供するものでした。牧場は教育施設としても機能し、人々は自然と触れ合いながら、努力や責任を学ぶことができました。ロバの物語は、若者たちの心に新たな希望と夢を灯し、彼らの成長を支えました。


牧場は再び賑わいを取り戻し、多くの人々がその門を訪れました。彼らはロバの物語を聞き、自分たちの人生においてもロバのような強さや喜びを見つけようと努力しました。牧場は人々の心を癒し、彼らに新たなる希望を与えました。


ロバの物語は、彼の立場を受け入れ、自分自身を信じ、喜びを見つけることの大切さを教えてくれました。彼の勇気と希望のメッセージは、世代から世代へと受け継がれ、人々の心に深く刻まれました。


私たちはロバの物語から、自分が与えられた状況を受け入れ、諦めずに努力し、幸せを見つけることの重要性を学びます。どんな立場にあっても、自分の存在が意味を持ち、周囲の人々に影響を与えることができるのです。


私たちは、ロバの物語を胸に刻み、自分自身の中に眠る勇気や喜びを目覚めさせることができます。そして、同じように他の人々にも希望と勇気を与えることができるのです。


物語は終わりましたが、ロバの教えは永遠に続きます。私たちはその教えを胸に、困難な時にも立ち向かい、喜びを見つけることを忘れずに生きていきましょう。


[おしまい]

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