冒険者登録
家の契約後、俺はそのまま武器屋と防具屋を梯子した。店員さんと話しながら、そこそこの金額のそこそこの剣と盾を購入する。目立ちすぎず、かといって周りの冒険者に舐められないレベルの装備である。
店のショーケースには、俺が購入したものの100倍以上の値札が付いた盾が置いてある。
「この盾、輝きがすごいですよね。LV10のカミト様が討伐された龍の鱗を素材にしてるんです!非常に軽く、そして防御力は最高レベルの素晴らしい盾なんですよ」
「へ、へぇー龍の鱗なんかを使っていたらすごい硬そうですね。羨ましいなあー」
「とんでもなく高価ですが、その価値はあると言える自慢の一品です。ぜひ、冒険者として大成した暁にはご購入いただければと思います!」
確かに龍の死骸を冒険者ギルドに引き渡した時、とんでもない報酬をもらったが……こんな金額になるんだなと驚きである。ちなみに龍の肉は超高級食材として王家に献上されたらしい。少し食べたけど確かにとんでもなく美味だった。あの無口なエリスでもテンション上がってたからなあ。
次は魔道具の購入である。魔道具とは、一部の特殊魔法を専用の器具に閉じ込めたものである。その魔法を保有していない人で利用できるため極めて便利な道具だ。1番広く利用されている魔道具は「ライト」である。光を照らし目潰しを行う「シャイン」という魔法を封入しているらしく、夜になってもライトの周りを明るく照らすことができるため一家に一つ必需品である。定期的に魔法の再封入が必要である点が手間だが、再封入専門の労働者がいて、お金をもらっている。経済はそうやって回っているんだ。
今回は最低限必要な魔道具を購入することにする。「ライト」と、水がどこでも飲めるようになる「ウォータ」、火をつけることができる「ライター」くらいあればいいかな。うーん、よくわからないから最近の新人冒険者は何を購入しているか店員に聞いてみよう。
「すいません。冒険者になろうと思っているんですけどおすすめの魔道具はありますか?」
「冒険者ですね。そうですね、よく皆様が購入される物でしたら水が使えるウォータや火おこしができるライターがございます。後は色々なものを切断できるカッターもよく購入いただきます。他にも少し高額ですが3種類の用品を収納できるアイテムボックスも人気です」
「わかりました。ありがとうございます」
カッターにアイテムボックスか……アイテムボックスは100種類の用品を収納できる物を持っているが流石に注目を浴びそうだから買っておくか。カッターも普段は魔法があるから利用しないが仕方がない。幸いなことにお金には困っていないのでとりあえず購入しておいた。
「よし、装備は一通り揃ったな。早速だが冒険者ギルドにいって冒険者登録するか」こういう面倒な作業はテンションが高いうちにやっておくのが良いだろう。10年前の登録時には確か結構時間がかかったような記憶がある。
俺は冒険者ギルドのドアを開けると受付に向かう。今までもよく通っていた場所だが、誰からの視線も感じないというのは気楽で良いことだ。後、ギルドマスターが飛んできたりしないのも楽である。気を遣って挨拶されるのも疲れるからね。
「すいません、冒険者登録をしたいんですけど」
「はい、承知いたしました。それではそこのテーブルでこちらの用紙に必要事項を記載いただけますか?記載が終わりましたら受付まで用紙を持ってきてください」
「はい、わかりました」
容姿には名前や住所、冒険者志望の理由などを書く欄がある。他にも緊急連絡先や犯罪を犯した者ではない旨の宣誓、個人情報取扱の同意なども埋めていく。
冒険者ギルドはお金を預けることもでき、全てのお金を持ち歩くのは面倒で危ないなため多くの冒険者は必要なお金を除いて冒険者ギルドに預けている。しかし犯罪を犯した場合、もしくは犯罪者であることを隠していた場合は預けていたお金を没収されることがあるようだ。変身の魔法で別人になりすましてお金を預けるのは犯罪にならない、よな?まあバレたらバレたらLV10の権力を使ってなんとかしよう。
この辺境の大都市サクラは多くの強力な冒険者がいることで栄えている。そして150年ぶりのLV10である俺はサクラの力の象徴ともいえる。きっと変身していた、くらいの罪ならギルドマスターに頼み込めば見逃してくれるだろう、うん。
俺は必要事項を記入し、窓口に提出する。
「ありがとうございます。手続き番号は91番です。手続きに2時間ほどかかると思いますのでまた後ほどお越しいただければと思います。手続きが完了した際には冒険者の説明や依頼の説明など一通りさせていただきます」
「わかりました。では後でまた伺います」
2時間か。とりあえず適当にどこかで昼飯を食べて時間を潰すかと考えた。普段はアリエッサが作るご飯を食べることが多い。外食もチームメンバーや会食が多かったから一人で食べるのはなかなかない。俺は新しい試みにテンションが上がっていた。
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