マッチングアプリで疑心暗鬼

 今年1月、将来について考えていた。このままでは本当に独りになってしまうと不安になった。

 なんだかんだ言っていても、良い出会いがあれば結婚したいと思うかもしれない。そこで、マッチングアプリを使ってみることにした。久しぶりに会った地元の先輩に「この辺でも使ってる人いるよ」と聞いていた。

 

 アプリを使用した経験をもとにKAC2023で投稿した。始めるきっかけなどは変えたが、書いてあるほとんどが私に起きたことだ。お腹を下したり、恐怖を感じたり。

https://kakuyomu.jp/works/16817330654477267344

 退会した理由をさらに付け加えると、このタイミングで良くないニュースを見てしまったというのもある。ロマンス詐欺だとか、男女間のトラブルによる事件だとか。

「いいね」をもらっても、「この人は私を騙そうとしているのではないか」と疑心暗鬼になった。




 そして、男性の「絶対に子どもがほしい」というプロフィールにプレッシャーを感じた。

 出産経験のない35歳以上の女性は高齢出産にあたり、リスクが増していくらしい。知人からそんな話を聞いて、自分でも調べた。だから私は子どもについて「相手と相談して決める」に設定していた。

 同じ設定か子どもを望んでいない人を探した。だが、彼らが重要視していることが私と一致しない。いつも明るい人なんて書かれていれば、引き下がるしかない。


 中には「子育てが終わって第二の人生を」という男性もいたが、私より年上の人ばかりだ。

 周囲の人や新聞のお悔やみ欄を見ると、男性より女性の方が長生きすることが多いと実感する。結局、最後には独りになる可能性の方が高い。

 不安を解消するためにパートナーを探しても、新たな不安が生じる。不安なんてものは次から次へと湧いてくる。


 真剣に「いいね」をしてくれる人もいるかもしれない。中途半端な気持ちで続けるのは失礼なのではないかと思い、決めたとおりに1か月が経過したところで退会した。

 マッチングアプリから得られたのは不安と、他人の人生まで背負うことはできないという自信のなさだ。




 それでも、知人の彼氏に対する愚痴に嫉妬してしまうことがある。愚痴をこぼしているようで惚気なのだ。彼女が不満だと語る彼氏の行動には、充分すぎるほどの愛を感じる。

「そんなに嫌なら私に彼をちょうだい」

 そう思ってしまった私が嫌になる。本当に私は性格が悪い。私が持つことのない幸せが羨ましいだけで、彼が欲しいわけではないのだ。


 愛してみたいし、愛されてみたい。そういう気持ちが皆無というわけではない。しかし、失うことを考えると怖くなってしまう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る