相談できない理由
どのくらい前からだったか忘れたが、著名人の死のニュースとともに相談窓口が紹介されるようになった。それは誰かの助けや救いに繋がっているのだと思う。
けれど、私はそこに助けを求める気になれない。
私が中学生だった頃、相談窓口の電話番号が印刷された配布物を学校で受け取った。20年以上も前のことだ。
当時の私は進路のことで悩んでいたのだったと思う。孤独だと感じていて、つらい気持ちを電話で聞いてもらうことにした。
「あなたはまだ若いから大丈夫」
相談に対する答えがこの言葉だ。そこは話して楽になるための場所であり、解決への糸口をもらえる場所ではなかった。期待した自分が愚かだったと感じた。
全てが「若いから」という理由で解決するのであれば、若者が思い悩んで命を断つことなどないのだ。
その時がそうであっただけで、今ならもっとしっかりした助言があるのかもしれない。テレビで相談員への取材を見たことがあるし、希望をもらった人もいるだろう。
しかし、心が傷ついた経験は簡単に消えるものではなく、私は話そうと思えないのだ。
では精神科や心療内科に行けばいいのでは?
これも私にはできない。というか、春に通院するのを自分自身でやめたばかりだ。
抑うつ病と診断されてから15年以上が経つ。最初は心療内科に通っていたが、地方の実家に戻ったので近くにある精神科に通うことにした。
通い始めてすぐに相談できない医師だと分かってはいた。「体調が悪い」と言えば「季節のせいだ」と返ってくる。それでも、薬の処方が必要だったので通院を続けていた。
しかし、その精神医の発言に我慢できなくなって行くのをやめた。政治の話をするようになったからだ。しかも、その内容が悪いネットニュースかというくらい酷いものだった。
他の精神科へは片道2時間ほどかかる。待ち時間と通院頻度も考えると、それだけでストレスになる。そして、精神科というのはどこも同じなのではないかと疑いを持っている。
さらに今はいろいろなことが贅沢に思えてしまうという状態で、交通費や診療費をかける価値が私にはあるのだろうかと考える。
そういったことから、時間とお金をかけて遠くの病院へ行く必要性を感じられないでいる。
実家暮らしなら、家族に相談は?
これもできないし、したところで何も解決しない。
父は論外である。すぐに「うるせえ!」「そんなもん知るか!」と怒鳴るので、普通の話をする時でさえ顔色を窺っているからだ。
母は話を聞くようでいて、聞くつもりがない。
実家に戻ってすぐくらいのことだっただろうか。「生きてるのがつらい」と母に話したことがある。それに対して「なんでそんなこと言うの!」と母は泣きながら私を叩いた。私の眼鏡が壊れるほどに。
自身の子にそんなことを言われて泣きたくなるのは理解できるが、逆上するのは理解しがたい。
母の涙を見たくないし、叩かれたくもない。それ以降、母に重い話をしなくなった。
それぞれに相談できない理由をざっくりと書いた。治したいなら行動しろと思う人もいるだろう。しかし、それが簡単にできるのなら悩みなど抱えていない。
自分の心を守れるのは自分だけだ。精神が弱っている状態で、自ら精神を削る行動に出る必要はないと考えている。
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