突撃騎馬隊


えっ、群馬県明和町に大事件が・・・・勃発!?



 

「洋一さん行くわよ、準備は出来た、トランクは空にした?」 



「玲子さん、まだ7時ですよ、昨夜の話冗談じゃなかったんですか?」



「だから突撃するって言ったでしょう、私の職場明和町役場なの、職員が買い出しに行って無かったら昇級出来ないじゃない、死活問題なんだよ! お父さんお母さんも後から合流するから、あと5分で突撃するよ、今日は戦争よ、戦争なんだから」




那須家小田家が佐竹包囲網と熾烈な戦いが開始される直前、玲子の職場、群馬県明和町で革命が起きていた、数百年に渡り、群馬の中の群馬、田舎の中の田舎というレッテルの町に突如大革命が起きていた。



この日より明和町は関東の雄として躍り出た、館林、太田、足利、佐野、行田、羽生、という都市に囲まれ、良く言えば古き良き、ど田舎の風景、悪く言えば取り残された町である、ここに大革命が起きていた。



読者の皆様明和町役場のHPを是非見て頂きたい、絶対にあり得ない行政HPになっています、表紙はなんとショッピングモールの『コストコ』になっております、そう明和町が『コストコ』の町になったのです。



町民11000人の町に巨大スーパーコストコが令和5年4月26日にオープンしたのです、町長は頑張りました、取り残された歴史建造物的な田舎風景の明和町に足かけ5年懸けてコストコにラブコールをしていたのです、役場から1.5キロ先にオープンしたのです。



明和町で対抗できるお店は『コメリ』しかありません、農家のホームセンターコメリが対抗馬です。



オープン当日は四日前から人が並ぶという明和始まって以来人が並ぶという現象が起きていた、素晴らしい事にコストコ会員になる補助金を明和町は出してくれます、町民だけですが、当日は全国放送され、ユーチューブでも確認出来ます、GWは大変な事になっています。



GW初日洋一夫婦もオープン10時前に並ぶ為に住まいから20分のコストコを目指すのであった、7時半現着、お~もう沢山車が並んでいる、入り口には、げっ、足軽・・・人が大勢並んでいる、明和で人が並ぶという珍現象を写メに取りまくる玲子、ハイテンションの玲子達に両親も合流。



早速玲子両親と記念写真、何を買うか話し合う玲子達、たかが大きいスーパーでしょう? 買い物だからお金がかかるし、本当は新しいPC欲しいのにと洋一の心が叫んでいた。



洋一が結婚する時に冷蔵庫を選ぶ際に強引に巨大なサイズを買った玲子、洋一が二人入れるビックな500リッターサイズ、なんでこんなに大きな冷蔵庫なのと聞けば、電気代がそんなに違わないと説明する玲子、それに洋一の実家は農家、私の家は洋食店、仕入れ先があるから大丈夫・・・と変な説明に言い含められ、この日の為に買っていたのかと理解した洋一。



開店10時頃には1000人を超えの群衆がオープンと同時に飲み込まれた、何故走るの? どこに向かうの? 迷子になったら大変という広さと人混み、手を引っ張られる洋一と玲子の父、真っ先に安売りトイレットペーパー四袋、四袋でカートからはみでる大きさ、1人一台の大きいカート、次も箱ティシュ6コンポゲット、飲料水ゲット、既に二台目カートが満杯、通路横の人の通行に邪魔にならない所に洋一が荷物番となり四台のカートを見張る。



次は食材だーと速足で移動する三人、呆れた様子で見つめる留守番の洋一、えっ、あっと言う間にカート二台を嬉しそうに押して戻る玲子、なにこの巨大な肉の塊、冷凍スイーツ6箱、飲み物と大量の菓子パン、籠城でもする気なのかという恐ろしい量である。



この親子はどこか変だ! そこへ玲子と同じ職場の職員と遭遇、わあー買ったねー玲子、私達もこれから二回戦目よ今車に置いてきて二回戦目だと話す同僚に、玲子家族がそうね私達も二回戦しましょうと、まだまだ続くコストコ戦場の戦いであった。



会計で12万越えの恐ろしい金額、玲子両親達も同じ様な金額である、明和町民に取って町内で買い物が出来る、ここに来れば何でも揃っている、県外の人達も大勢やって来る、今まで県外から来る人達は道に迷った人達ばかり、コストコが革命をもたらした、町役場のHP表紙がコストコになった町、この先きっと、明和町→コストコ町に町名変更なると予測した洋一であった。





── 海賊衆 ──




話は佐竹が指した奥の一手に小田軍は苦境に追い込まれる、土浦菅谷城に続々と集まる海賊衆と船乗と漁民その数は500名に達した。




「皆の者よう集まった後一刻程で千葉の軍勢がここを通過する、小田城に行かせてはいかん、嫡子彦太郎様を守るのじゃ、我ら海賊衆の力を見せる時じゃ、武器庫から武具弓槍を自由に使え、急ぎ防備を図るのじゃ、力を示す時ぞ!」



菅谷勝貞の雄叫びに呼応する海賊衆




「お~お~! えいえいお~! 」






那須本軍資胤、正太郎からの知らせに小田家の危機がそのまま那須の危機となると理解し、アウンを櫓から下ろし、後ほど正太郎の騎馬隊が到着するその時にお主は200の騎馬隊を率いて合流し小田の援軍に迎え、それまで休息する様にと指示したのであった、資胤は正太郎の騎馬隊だけでは攻撃力が足りぬと考え強き戦士アウンに率いらせる事にした。



5月2日朝8時芦野軍が白河結城軍に向け前進を開始、足軽200、騎馬100を後方に下げ、左右の山林に250の各騎馬を隠し、700の軍勢で2600の軍勢に向け進み始めた。



那須が前進して来ます、その数700との報に接し、白河軍副将小峰は、やはり数を減らしている、一度合戦し近くの芦野城にて籠城戦をすると読む小峰、この際、佐竹の指示通りでは無いが籠城させて時間稼ぎをすれば帳尻が合うと考え、急ぎ攻撃の布陣を敷く白河軍。



芦野の軍勢が少数となり、これまでの雁行の陣から敵を押し包む鶴翼の陣に移行させ、鶴翼により敵を追い込み芦野城に籠城させる事にしたのである。



徐々に近づく両陣営、半兵衛は長柄足軽に前進を命じ、白河の足軽と槍衾で先手争いをさせ後方から騎馬の弓を放した、人数が多い白河軍に徐々に押され後退する芦野軍、後方にいる騎馬隊も下がり始める、一時間もすると明らかに劣勢となり、芦野軍が速足で退陣を行い始める。




間もなく那須芦野が崩れると見た副将の小峰。



「敵は間もなく総崩れとなる全軍追いかけ城に押し込めるのじゃ!」



小峰の号令と同じくして、半兵衛は撤退の指示を出し、騎馬隊、長柄足軽が一斉に芦野城に向け撤退を開始した、城まで5キロの地点である。



「敵が逃げ出したぞ、今だ行け、追撃せよ!」



一斉に城に向かう芦野軍、予定通りの行動である、最初から撤退する予定で戦っており被害も微傷であった芦野城まで残り2キロの地点で追撃する白河軍の軍勢が伸びたのを見届け、突然銅鑼が鳴り響き反転攻勢の攻撃に移る芦野軍あった。



白河結城軍2600は追撃戦となり軍列の長さが2キロ以上と細長くなり厚みが無い状態となった、そこへ反転攻勢の『釣り野伏せ《つりのぶせ》』による攻撃となった、戦闘は550騎の騎馬隊が白河軍の先頭を襲う、両側から銅鑼の合図で各250騎の騎馬隊からの一斉攻撃となった、驚き逃げようにも逃げ遅れた白河軍へ足軽450名が更に襲い掛かると言う逃げ場のない状況に陥る、降伏する者はその場で武装を解き捕縛し、歯向かう者は容赦なく始末する。



白河軍の追撃した先頭が総崩れとなり、兵を本陣に戻すべく合図を送るも、左右からも騎馬隊に攻撃されており多くの兵が戻れない状況の中、白河軍本陣に白河の関を封鎖していた150騎の騎馬隊も本陣に攻撃を開始した、騎馬隊は弓での攻撃であり、逃げ惑う兵に容赦なく襲い掛かる、盾で防ぐもその盾を貫通して矢が襲って来る、この矢こそ弓之坊が新たに作った矢である。



動けなくなった白河軍、戦闘が開始され2四時間でほぼ決着となる、白河軍本陣に盾を前面にし、兵の塊が出来上がり、その集団は1500名程、負傷者も相当いる塊となっていた、その塊を取り囲み攻撃を一旦停止させた半兵衛である。



その白河軍の塊に向かって忠義が大声で、降伏をするかそれともこのまま全滅するかを選べ、降伏する場合は速やかに使者を寄こす様に! と伝えたのである。



暫くすると使者が1人芦野本陣に現れた。



「某白河結城家の使者和知と申します、白河結城家は降伏致します、何卒ご配慮頂けますよう願います、此度の戦、副将でありました小峰が差配しておりましたが重傷となっております、話も出来ぬ傷であります、武装解除致しますので皆の助命を願います」



「今の話本当であるか、副将小峰殿の傷の話本当であろうな?」



「はい、先程後方から現れました騎馬の矢にあたり重傷となっております」



「暫くそこでお待ちあれ」



「ここは急ぎ小田殿に援軍を送るべく、当主と重臣共の身柄を芦野城で一旦引き取り足軽他は武装を解除させ放逐致しましょう、白河城と白河の関も抑え芦野騎馬隊1050名と若様の騎馬隊150名を小田に向かわせましょう、芦野殿伊王野殿千本殿にてお残り頂き差配をお願いします、某は騎馬隊と共に南下致し戦が終わった後に白川結城家の処遇を資胤様にお計らい頂きましょう」



「うむそれが良い皆の者もそれで良いかな? 半兵衛殿の差配で問題御座らん」



「使者殿、白河結城家の降伏を受け入れます、先ずは当主及び重臣の方々は一旦芦野城にお越し下され、残り兵達は武装解除し放逐致します、白河結城家の処遇に就きましては当主資胤様にてお計らいがあると思われます、先ずはご助命の件ご安堵下され」




これにより芦野伊王野千本那須別動隊は大勝利となる、5月2日夕刻5時騎馬隊1200名が小田援軍に向けて南下を開始した。



ここで駒である馬について、馬の睡眠時間は人とは大きく違い一日3時間前後と言われている、日中も30分程休憩するだけで疲れを回復させる事が出来、立った状態での睡眠も普通に行える、休憩時に飼葉を与え、砂糖を与え休憩する事で馬は充分動けるのである。



那須騎馬隊は麦菓子と正太郎から与えられた疲れが特別に回復するポーションが入った竹筒を飲んだ、その中身は『みりん』である、みりんには体の疲れを回復させる糖類、アミノ酸、不溶性無窒素物、タンパク質等が豊富に含まれている、騎馬隊にはみりんが入った竹筒が二本支給されている。





町のホームページにコストコが全面アップで表示されるとは、中々やる明和町って所でしょうか。

次章「小田城危うし」になります。

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