第52話 ・・時は今成・・・五月哉
那須家、小田家の歴史を切り開く、天下分け目の大戦目前、令和の今成家でも、今成家と今成家による、大戦が目前であった。
洋一の桜先輩が玲子の歴オタ仲間を引き連れて結婚式の中で行うサプライズコーナーを大成功させるために、歴オタA子に玲子の陣羽織と大小の太刀を持たせコスプレメイクを施し、歴オタB子には男装弓装備のコスプレを施し、那須高原の殺生石に来たのである。
歴オタC男に狐の縫いぐるみをレンタルで探したが生憎とどこにもなく、犬の縫いぐるみを借り、九尾の狐に見立て、桜先輩が監督となり、なにやらいろいろなポーズを指示し、撮影スタッフにも指示し、楽しいサプライズ演出を仕上げていた。
撮影も終わり那須に来たと言う事で、ここ那須にはコスプレの聖地、撮影の聖地という事で、コスプレの服とメイクを施して撮影をし、三次元から二次元世界に逃避し、最後に当日の段取りを確認し、あとは5月6日の結婚式で成功させるだけでとなった。
── 時は今成・・・五月哉 ── どごかで聞いた事のある名文句・・・
5月6日いよいよ今成洋一と今成玲子の結婚式の日が来た13時開演である、11時に新郎新婦は式場に入り、メイク室に連れていかれ、この日の主役は玲子である、洋一は単なる脇役である、これが日本の結婚式なのだ。
新郎は礼服のスーツに着替えるだけ、玲子は、あっちにペタペタ、こっちにペタペタと化粧を施し、ドレスを身に着け、ひな壇の様な場所に座らされ、見世物として配置された。
12時頃には親類も集まり、玲子の写真を撮りまくり、綺麗だ綺麗だと、誰もが言う言葉を述べ12時20分に式場のチャペルに移動し、両家親類が一堂に会した。
約80名の親類達、式場司会者から新郎側から新婦側へ親類を紹介してくださいとなり、洋一の父が、身内を1人1人新婦側に紹介した、おじの今成~です、おばの今成~です、弟の洋一の叔父にあたる今成~です、その妻の今成~です、こちらは何々の今成~です、その妻の今成~です、と言って紹介し、今度は、新婦側、玲子の父が親類を紹介する番となり、おじの今成~です、おばの今成~です、弟の玲子の叔父にあたる今成~です、その妻の今成~です、こちらは何々の今成~です、その妻の今成~ですと、これぞループという見事な親類紹介となった。
小さい子まで含めると80人以上の今成が結集、今成決起大会の結婚式である、両家では既に親近感が半端ない笑いと笑顔に包まれたチャペル場内、洋一、玲子の友人知人、などが場内に集まり、式が始まった。
パイプオルガンが引かれ、新郎新婦が再度入場し、賛美歌が歌われ、たどたどしい、日本語の神父(演出のため、たどたどしい日本語である)により定番の言葉が、新郎洋一に、あなたは玲子を妻とし、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、妻を愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?
はいと答える洋一。
玲子の番、新婦玲子に、あなたは洋一を夫とし、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、妻を愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?
はいと答える玲子。 ※実際この場面でNOと答える人って本当にいるのでしょうか?
クライマックスの指輪の交換となる、ここでちょっとしたハプニングが、洋一から玲子の指に指輪を入れようと試みるが、途中までしか入らないと言うハプニングが。
(あれ入らない、えっ、入らない・・どうして? そうです、スイーツ巡りで甘い物を食べ過ぎた結果、玲子は肥えたのである、よくある話だそうだ、とりあえず指先に指輪をなんとかはめ込み、油汗が流がれる二人、洋一には簡単に指輪が入る)
後は誓いのキス、ここはほっぺにキスして退場となった、チャペルを退場してから定番のライスシャワーとブーケトスである、ブーケトスでは、取る気満々の桜先輩がセンターを確保し、後ろ向きにから投げられたブーケを見事キャッチし周りから拍手に、流石桜先輩であった。
無事に式を終え、披露宴会場に移動となり、ある意味こちらの方が本番となる。
披露宴での式次第はほぼお決まりの流れ、新郎新婦入場 開宴の挨拶 新郎新婦紹介 主賓挨拶 乾杯ウエディングケーキ入刀ここまでは一気に流れた今成両家の結婚披露宴。
披露宴食事がスタートし、急に各テーブルで乾杯と食事と歓談する中、早速両家の今成が動き出し、名刺交換やら、どちらの今成なのか、先祖を聞く今成もいれば、今成、今成というワードが飛び交う披露宴、お互いの両親も相手側の親族に挨拶を兼ね飲み物を注ぎにテーブル回り。
そんな中、ゲストのスピーチ 新婦・新郎お色直しの退場となる。
新郎新婦再入場となりメインのキャンドルサービスが開始されテーブルを回る洋一と玲子、キャンドルサービスを終え、席に戻る洋一と玲子。
ここでサプライズ余興 桜先輩と歴オタによる『軍師玲子の恋物語』という訳が解らない題名でサプライズが始まった。
桜先輩監修によるスライドが上映された、最初に明和町役場の紹介が・・・ここは昭和なのかというアナウンスが流れ、周りの風景が映し出される中、あれはなんだと指を指し、巨大で立派な建物が映し出される、もちろん明和町役場である。
そこへ一人の青年が訪れる(洋一役の友人)、受付で、私の名前は今成と言います、この町に今成が沢山いると聞き、どこにいるのか解れば教えて欲しいと聞く、不思議な男性が訪れた。(場内は大笑いである)
受付でその変な青年を担当した女性のネームプレートには今成玲子と書かれていた、ここでも大笑いが巻き起こる。
今成青年の話を聞き、午後から半休であった玲子と近所のレストランに移動。
(玲子父の洋食屋が映し出されるとこれまた大笑い)
話を聞きながら二人は一目ぼれするという流れとなり、それを見ていた玲子の父が自宅に連行し、洋一と言う青年を観察する事に、娘玲子に二人は一体どうなっているかと聞く、玲子の言った一言で父の覚悟が決まった。
玲子は青年の軍師になったと宣言したのだ、軍師として彼を導くと宣言したのである、ここで玲子が歴オタだという事が紹介され、これまた大笑いとなる。
ここから場面は動画へと切り替わる、時は移り戦国時代という設定となり、都で暮らす大変美しい姫に九尾の狐が呪いをかけ、眠りから覚めない眠り姫となってしまった美しい姫がいた。
(眠り姫は玲子とい設定)
そこで姫の父親が呪いをかけた九尾の狐を退治し、眠りから姫を助けた者に姫の婿とすると勇者たちを集めたのである、しかし、勇者たちは狐が大変に強く逆に殺されてしまう、ここで立ち上がったのが青年洋一であった。
しかし青年は人に化けた狐を見破る事は出来ない、そこで狐の妖術を見破れる軍師玲子(玲子は二役)が仲間となり、狐の住処、那須山の硫黄の煙が出てる火山まで九尾の狐を追い詰めた。
(ここまでの流れは歴オタ達がコスプレ衣装で演じている)
「あそこだぞ、あそこに九尾がいるぞ!!」
一匹の狐を指しあれを倒すのだ、そちの弓で倒すのだ、と指示する軍師であった。
ここで上映が終わり場面は新郎新婦が座る椅子にライトが当たり司会者より場内に大きい声で紹介された『一射入魂』と紹介された。
新郎の洋一にライトが当たり、横にはぬいぐるみを着た犬が胸に九尾の狐と書かれた大きな紙が貼られていた。
司会者より、ここで洋一さんに弓で見事あの狐を射止めて頂きます、では新婦の玲子さんもこちらに来て下さい、見事洋一さんが狐を射止めたら洋一さんに接吻を・・・キスをして下さいとアナウンスが流れる。
まさか自分にこんな役回りが来るとは思っていなかった洋一、ビールを飲みまくり酔っ払っていた、玲子もまさか、見世物としてキスをしなくてと顔を赤くして司会者側に移動させられた。
場内では面白い流れとなり、今成がんばれ~、玲子熱いキスだよ~とか、洋一外したら殺されるぞ~とか、もう大盛り上がりである。
犬は・・・狐は暴れ回って会場を盛り上げ上げている、司会者よりではこの弓で見事九尾の狐をしとめて下さい、と子供用のお遊びの弓と矢が渡された。
ここで司会者より『一射入魂』と合図のアナウンスが流れ、洋一がゆっくりと弓を構え狐を狙います、10秒後、行きますと声を出す洋一、狐もここに打てここに打てと胸を出している。
洋一が満を持して、場内が静まりがえる中、はっ、と言って矢を放った・・・・・
場内はし~んと静まり返り、司会者が、外してしまいました、新郎が見事に外しましたと笑って話す、場内からは、ばか野郎~、時間をかえせ~、そんなにキスしたくないのか~とか、爆笑の渦が巻き起こる。
流れに置いて行かれた玲子、私はどうすれば? 恥ずかしい玲子、洋一の顔は血の気が、青い顔に変化となった、この流れは最初からこうなる様に桜先輩が仕込んだのである、そして司会者より、このままでは二人に幸せは訪れません、会場の皆さん新郎洋一さんにもう一度チャンスをお願いしますと声をかけ、大盛り上がりの中、再度挑戦となったのであった。
ここで司会者より、新しい弓が渡され子供用ではあるがちゃんとした別の弓が渡され司会より大きい声で『一射入魂』と紹介された。
それにしても笑える結婚式です。
次章「『関八州補完計画』決戦1-1」になります。
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