第30話 朗報に喜ぶ正太郎


これまでの主な流れ


主人公


1557年弘治3年12月5日 正太郎 誕生 後の21代当主、資晴すけはる。


父、資胤 那須家20代当主22才の時に誕生。


正太郎4才の頃より現代の洋一より魂のコンタクトが始まる。


川越市、専業農家の長男、今成洋一 24才 社会人2年目 〇ンマーに勤務。


趣味は中学より部活で始めた弓道である。



1561年11月下旬、5才の時に、父資胤に洋一から伝わる重大な、数十年後那須家は滅亡すると相談する。



平家の里にいる鞍馬の子孫と会う事、蒙古兵が使用していた弓を使えと意思が伝わったと説明。


芦野忠義16才を従臣として付く、村を1つ頂く。



1562年2月 村長、平蔵に塩水選の説明と準備に入る、試験的に田んぼ6枚で行う事に。



1562年5月に平家の里で、鞍馬の子孫、鞍馬一党の当主、鞍馬天狗と会う。


平家の里へ行く前に、正太郎付きに、侍女百合、15才が配下に。


平家の里にて祖、与一様の秘事を聞くと鞍馬の秘事を聞く。


蒙古兵の弓を鞍馬が調査し再現する事へ、里で椎茸栽培に挑戦する事になる。



同年8月鞍馬天狗と女将 伴が那須資胤の元に、蒙古弓の秘密が解明、恐るべき弓であると判明。


新型弓『那須五峰弓』として製造に入る。正太郎に鞍馬の配下5名が新たに付く。



洋一が8月12日夏季休暇を利用し群馬県明和町役場に今成を調べに行く。



明和町役場で受付けの女性職員、今成玲子24才が軍師になる。



同年9月下旬塩水選で例年35俵取れる田んぼから42俵収穫に。父資胤より新たに4つの村を頂く。



同年、軍師玲子が『関八州補完計画』というスローガンが自部屋に掲げられる。




 

1563年2月小田家と軍事同盟成立。



無事に小田家との軍事同盟が結ばれ今年は五つの村全部の田で塩水選の田植えに向けて準備に入る、村を回り準備状況の確認中、若殿に文が届いたと城より使いの者が来る、急いで城に戻り届いた文を確認する。




文は鞍馬天狗からであった、一文字一文字ゆっくり読む中で、正太郎の顔が笑顔に包まれ、うんうんと、何度も頷き、喜びが抑える事が出来ない様子で忠義に、これこれ見て見てと、文を渡したのである。



呆気に取られ、なにがそんなに嬉しいのかと、文を見れば短い文で、しいたけ、しいたけ 成功でござる、しいたけ どんどん木から生まれて候、数日以内に急ぎお届けにまいります。天狗より、と書かれた文であった。



「若、これは、これは、凄い事になりましたぞ、本当に椎茸が出来たのですね」



「いったい如何ほど出来たのでしょうか、想像も尽きませぬが、大変に高価であると言われておりましたから一体どうなるでしょうか、某し、一度も食した事は無いので、なんとか某の分もあれば良いのですが」




独り言を言い始める忠義、わしも、儂も食べてみたい、アユの甘露煮の様に美味しいものなのであろうか、キノコの仲間だと言っておったから甘くないか、帝すら中々食する事が出来ないと言っておったから、そんなに高価な、椎茸を食べても母上に怒られないであろうか、この事は母上に隠した方がよいのかも知れぬ、こっそり、そうだこっそり食べる事にしようと計画する正太郎であった。



それから三日後に伴女将と鞍馬天狗が城に来たと報告、急いで広間に向かう正太郎である、笑みを浮かべて拝礼している二人、正太郎が上座に座り。



「面を上げてくれ、先に文で知らせてくれた件であるな」




笑顔で聞く正太郎、椎茸はどんな状況なのかと聞くのであった、鞍馬からの話を、報告を聞くその時に、広間に父資胤が母上を伴って入って来たのである。

えっ、なんで母上まで来たのか、私からは何も伝えていないのにと、これでは椎茸が食べられないかも知れないと考える正太郎、広間にて上座を父、質胤とその横に母上が座り、挨拶を行う、女将と天狗。




「大儀である、正太郎宛ての文について、椎茸の事、詳しく聞きたい、嬉しい報告を教えてくれ」

(正太郎に来た文は、事前に父資胤により確認されており、喜びのあまり、その内容を妻である母上に教えていたのである)




「はっ、御屋形様に謹んでご報告致します」



「こちらをご覧くださいまし」



大きい桐箱二つに、おが屑を入れた中に取れたての見事な椎茸が50個入っていたのである。



「おーおーー、これは凄い、おーー、これが椎茸か」



声を出す正太郎、一緒に箱の中を覗き込む忠義、これが椎茸なのですね、これが椎茸なのですね、と連呼する忠義、感嘆して箱の中を見つめる母上が。



「これは相当高価な品、私は食した記憶が無い、あなた様はおありですか?」




「うー、儂も正直記憶がない、食べた事があるのか、どれが椎茸だったのかも考えた事もない、大変珍しいキノコであるとは知っているが、誰も儂に献上した者はおらなんだと」



ぶつぶつと、独り言を言い出す父上であった。



「まだ里にはあるのか?」



「はっ、連日椎茸を植えた木より芽が出ており立派な椎茸が育っており、ここにお持ちしたのは手始めに皆さまに食して頂く為にお持ちしました」



「なんと、これを我らが食して良いのか」



「えっ、本当なのですか、こんなにもありますよ、あとどれほど里で出来そうなのであろうか?」




「最初に椎茸を5つ見つけそれを木に50ヶ所植えたのですが、その後、里の者皆にて探索し30個見つけさらに300ヵ所程植え付けを増やしました」



「全部から椎茸が生えるがどうかは不明ですが、原木のそこら中から生えて来ております、収穫した椎茸は乾燥させ保存れば二か月ほど日持ちします、私の見た目では今回は2貫(7.5キロ)は収穫出来るかと思います」



「某の知識では15貫で城が一つ建つと記憶しております」



「今回収穫しました椎茸の一部を又、木に植えておりますので年に15貫いけるかと思います、正太郎様の話では秋と春に取れると言っておられましたので」



忠義は、既に話について行けず、母上も15貫とか、城一つとか、既に計算が出来ず、途方もない話に黙るのであった。



「15貫とはどれ程の金銭なのですか、私には判りません、父上なら判りますか」



「いきなり言われても・・・やっぱりわからん、見た事もない途方もない銭に間違いない、恐ろしい事が今起きているのよ」



「銭の事は考えずに先ずは我らにて、食してみてはいかがでしょうか、女将に台所をお貸し頂ければ一番美味しい焼き加減で炙り致します」



「おおーそうであった、最初に椎茸栽培が成功した時に皆で食そうと約束しておった、父上、母上、食しましょう」



「うむ、そうであるな、ここにいる者と爺様、婆様にも」




そこへ鋭い視線を当主に向ける者が・・・



「あっ、わかった百合も参加して良いぞ(侍女見習い梅も参加)」




実食・・・・炭火で程よい感じで炙られた肉厚の椎茸は、炙りによる椎茸の旨味を汗となった粒が傘から出ており、そこへ女将がたまり醤油を刷毛でさっとひと塗りし、父上と母上にまず出した。



炙られた椎茸から漂う香ばしい香りを嗅ぐ二人、唾を飲み込み二人の様子を見つめる8人、父上があまり見つめるな、その方達にも来るでは無いか、見つめられたら気がそれる、では食するぞと言うと、にや、と、笑い一口食べた。


それを見た母上も一口・・・・無言の二人・・・恐れ言った、これ程とは・・・無言のまま母上が食べ終わる、女将と鞍馬に頭を下げる母上、おじじ様とおばば様は、これで10年間は寿命が延びると感動していた。



部屋中に香ばしい香りに支配される中、鞍馬達との夕餉となる、椎茸を堪能し、言葉が交わされない夕餉であった、資胤は椎茸を3個食べてしまった。



真似して正太郎も3個目を食べ様と母を見上ると、母は既に四個目に突入していた。


焼いては食べ、焼いては食べと、残り10個で桐箱の蓋を閉めた女将。



女将と鞍馬は2枚を食し、一番多く食べたのが母上であった、さすがに5枚目に手を出しそうだったので、女将より、お奥方様食べ過ぎますと腹を痛めます、キノコで腹を痛めますと、それはい痛うございますゆえ、此度はここまでにと言われ、父上が、お前、お主、5個目に手を出そうとしていたのかと、妻の食に対する貪欲さに驚くのであった。



父上資胤は3枚で止めていた

(鞍馬にこっそりあとで二人で一献、その時の為に、椎茸は残しておいてくれと内緒の話を・・・)



正太郎は、母が四個目に突入していたのを見て、安心して三個目を食べた。



正太郎からは今回取れた椎茸は那須家のお抱え商人に佐竹以外の裕福な寺社や、豊かな商家にも売る様に手配し、一度に多くを売るのではなく、何ヶ所にも分けて売る事で那須家が栽培に成功した事を隠し、又、堺などの裕福な商家に売ったらどうであろうかと進言した。



売り裁いた額の10%が鞍馬の報酬としてよろしいかと父上に、進言し了解を得た。


残りの報酬は正太郎と父上とで半分に分ける事となった。

(にやっと笑う親子)



これにより那須家及び正太郎には大きな軍資金が得られる事となった、椎茸栽培は秘事の事なのこれまで通り平家の里である鞍馬の差配にて行う事となる、販売するシイタケの生産する量は年間15貫までとし、価格の低下を防ぐ事にした、それ以外の椎茸は那須家にて食したり、帝への献上などいろいろと工夫する事になった。



鞍馬に報酬10%とは破格の金額かと思われたが、これより多くの親無の子を育て、平家の里を豊かにする為に大いに役立つ事に繋がると思慮しての対価とした、椎茸栽培を成功し、食した日より後日、堺に使いを出していた鞍馬の者が依頼していた品と職人を連れて帰還した。

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