第5話 Are you ready for it?
「作戦の内容はな…」
練馬は大谷地の道路挟んだ商業施設の地下駐車場に止め、車から降りるとバックドアを開け、龍河だけに拳銃を渡した。
「島江が
「僕たちに任せるんですか?いくらなんでも…」
「そんなに心配か?できるよな?」
練馬は龍河の不安の様子に一応島江に確認を取ると彼女は小さく首を縦に振って答えた。
「安心しろ、お前は気絶している奴らの手首に手錠をかけるだけの単純作業だ」
練馬は龍河の肩に腕回しては笑顔を振り撒きながらもどこか力が込められていた。期待と忠誠を誓うかのように、やがて圧として伝わると龍河は島江と同様に首を縦に振った。
「俺も後から合流する、それじゃあ始めようぜ!」
バックドアの扉を閉じると、練馬はポケットから煙草を取り出すと口に咥え火をつける。さぞ美味しそうに吸う彼の姿にはどこか余裕が見られた。
「警察の野郎は一体何してんだよ!」
「ひぃ!!…」
鬼気迫る顔で息を荒くしながら人質を盾に、周りに見せつけては、リーダー格の男は仲間に合図を送る。
「"兄貴、お金積み終えました。お前誰だよ!ぐぁぁぁ”」
「っ!…」
トランシーバーから仲間の報告とともに聞こえる悲鳴に男はさらに態度を悪化させ、周りにいた仲間を向かわせるように指示を出した。
「この野郎!ごふっ!!!」
「……」
「 はぁはぁ…ちょっと待って」
あの時のように彼女は体格差など関係なしに表情一つ変えることなく軽快且つ淡々と相手の攻撃を躱しては制圧していく様子に、龍川は息を切らしながらついていくにもやっとの状態だった。
「…」
「ようやく理解したか?島江のこと」
島江は龍河に告げることなく先に階段を登って行き、地上へと目指していく。その頃、龍川は制圧された男達を手錠で拘束している最中、練馬が何気ない笑顔で合流しては龍川に尋ねた。
「異常ですよ、何から何まで人間じゃないみたい…」
「ほんとだよな。なんせ三頭さんが一から教え込んだんだからな_しかも島江はそれだけじゃない」
笑顔が消えた彼の口から出た言葉に龍川は手が止まる。1人でこんな人数の相手を倒して彼女にまだ隠していることに驚くものの、手下に手錠かけると練馬と共に階段を登った。
「お前は何者なんだよ!こっちにくるな!!」
「…」
目の前にはリーダー格の男が島江に銃口を向けながら後退していく様子に、島江は無表情でさらに詰め寄るように足を前に進めていた。
背後には残りの手下が倒れており、残りはその男1人だけになっていた。男は焦りが募ると、進む島江に銃を打ち込む。それによって周りの客は恐怖のあまりその場で蹲り身を守ることしか出来なかった。
島江はゆっくりと前に詰め寄れば、上着で隠れていた腰のあたりから渡された銃とは違う銀色に耀く拳銃を取り出すと男の額目掛けて打ち込んだ。
「きゃぁ!!」
「待て!龍河!!」
一発の発砲音が店内に響き渡る。静まり返る辺りにリーダー格の男はその場で倒れ込むと同時に人質なっていた女性は解放されると、すぐさま避難通路に向かって走っていく。それと入れ替わりで龍河が練馬の静止を振り切り拘束しようと手錠を取り出した瞬間…
「ぢ、ぢくしょ…ぢくしょぉぉぉ!」
男は突然大きな悲鳴を叫び上げる。顔は血が引いたかのように白く染め上がり白目を向いていた。男はテイブへと変貌を遂げたのだ。
島江は残りの弾を撃つものもろともせず目と鼻の先にいる龍河に襲いかかる。龍河の瞳の奥から炎が込み上がってきた。
『"久々に俺様の登場だ!"』
呻き声を発しながら、一撃を喰らったテイブはカウンターに凭れ掛かる。すると近くにぬるいぐるみを片手に少女の鳴き声が聞こえ、そちらに視線を向け、標的を変えるように少女に足を向け段々と速度を上げていく。
『おい!逃げんじゃねぇよ!』
「よせ!よく見ておきな!」
「島江は高い戦闘能力以外に、"氷を操る能力を持ったホルダー“ってことをよ!」
ニヤリ…と口角を上げた練馬の視線の先には、彼女のことを見つめる少女と、当てた手で凍りつくテイブの様子が写っていた。
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