第3話
スレ主である冬真の反応というか呟きが、掲示板に書き込まれる。
それを読んだスレ民たちも、それぞれ反応する。
《ラミアの蛇部分の鱗は高く売れるからなぁ》
《スレ主、鱗売った金で焼肉おごってくれ》
《防具や魔法道具の素材になるからね》
《需要の割に、手に入れにくいから高く売れるんだよな》
《通販サイトで売れば、その辺の道具屋に売るより高く売れるしな》
《しかし、ラミアかぁ、3年前が懐かしいなぁ》
《たしかにwww》
《3年前なんかあったの?》
《記念すべきスレ主の初スレ立ての時の話だよ》
《スレ主の親が多額の借金残して蒸発→借金取りに無理やりダンジョンに放り込まれる→たまたま見つけた探索者(故人)のケータイ拾う→スレ立てして助け求めるってことがあってだなwww》
《そのスレを見つけた俺たちが色々アドバイスして、その時のダンジョンのラミアがいる階層まで潜らせてやったことがあるんだよ》
《それで、なんとかラミアがいるとこまで来たはいいけど、巻き付かれて全身の骨砕かれてさスレ主》
《仕方ないから現場凸してたすけてやったのwww》
《スレ主の命の恩人なんだぜ俺たちd('∀'*)》
《ついでに師匠でもあるo(`・ω´・+o) ドヤァ…!》
書き込みをサラッと読んで、冬真は息を吐き出した。
「閻魔様も逃げ出すほどのスパルタだったけどな」
おかげで強くなれたし、なんならラミアくらい簡単に倒せるようになった。
冬真はラミアを見て、剣を構え直す。
ドローンは余すことなく、その映像を撮影している。
「
冬真の持つ剣の先から炎の玉がいくつも出現する。
それを剣でうち飛ばす。
まるで野球の打者がボールを打ち返すかのような光景である。
眠いし、跳んで斬り掛かるのが面倒だったのだ。
視聴者たちも驚き、戸惑う。
《は?》
《え、魔法の杖使わずに火の魔法弾放った??》
《出来るの?そんなこと??》
《剣で魔法の弾打つとか出来るもんなん??》
《武器を独自に改造してるなら、ありうる》
《ても、改造するにも知識と技術が必要だし、お金もめちゃくちゃかかる》
《SSSSSランクダンジョンに挑戦できるくらい強いなら、それくらいの金額稼いでても不思議じゃないけど》
《どちらにせよ、こんなことするやつがいたらすぐ噂になってるはずだ》
《探索者界隈で有名になっていないはずがない》
《なんなんだよ、こいつ……》
戸惑っていないのは、当人とスレ民くらいである。
ちなみに、この改造された剣はスレ民が安価をして作り上げたものである。
正規品ではないし、作り上げたのも無名の趣味人のため今まで表に出てくることはなかったのである。
「うーん、ダメージは与えられてるけど。硬いなぁ。斬るしかないか」
冬真はまた剣を構え直した。
そして、
「豪炎剣舞っ!」
トン、と冬真が跳んだ。
そして、剣を一瞬だけ、ほんの少し抜き差しする。
抜き身にすらしない。
ただ数センチだけ抜き差しした。
たったそれだけ。
そして次の瞬間に、ラミアはバラバラになり、さらにガソリンをぶちまけられたかのように派手に燃え上がったのだった。
この技術もこの三年間でスレ民に教わったものである。
ラミアの鱗はとても頑丈なので、これくらいでは燃えない。
それはさておき、ここでとあるスレ民が配信に気づいてしまうのだった。
《おwwwいwwwスレ主www》
《どした、大量に草生やして?》
《あのドローン壊れてないぞwww》
《へ?》
《はい??》
「……え?????」
冬真がドローンの方を見た。
ドローンのカメラを通して、一部始終を見守っていた視聴者達もそれに気づいた。
《あれ?メシア君、こっち見てる??》
《あ、ほんとだ》
《ガン見してる……》
「うおおああア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!??」
《って、え?!》
《奇声??》
《またモンスターか?!》
《あ、あれ??》
《映像消えた?!》
《とうとうカメラ壊れた????》
《いや、一瞬だけメシア君の姿が掻き消えて、次にはカメラの前に足があったから、多分、ドローン蹴ったのかも。それで壊れた》
《え、なんでなんで??》
《さぁ?》
《動画配信に気づいた、とか?》
《そういえば、頻繁に携帯いじくってたよね》
そんな視聴者のコメントなど、冬真は確認できるはずもなく。
ゲシ!!
ゲシゲシゲシゲシゲシゲシ!!!!
どかっ、ばきっ!!
ガッキン!!
冬真は真っ青になって、ドローンを踏みつけ、徹底的に破壊したのだった。
それから、
「はぁっ、はぁっ、ハァ……。
……よし、切り替えよ!!」
そう宣言し、宣言した通り頭を切り替える。
それから、だいぶ顔色のよくなった雪華を見たのだった。
彼女はまだ意識がもどっていない。
それを確認してから、ミノタウロスの角とラミアの鱗を持てる分だけ回収する。
その後、彼女を背負ってダンジョンを出る。
ちょうど救助隊らしきものがやってくるのが見えたので、そのままダンジョンの入口に雪華を寝かせる。
そして、冬真はそのままそこからトンズラしたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。