「全部倒して星になります。」

淡島けのび

光の余波のなかで

星柄の星の形に抱きついて 

こいぬの夢が見れますように


肩に乗る小さな頭 

船乗りの勘がここだと叫んでも まだ


「私なら絶対ここで振り向くよ」

      「会えないくらいが愛しあえない?」


こんな日も降るならシャツは干せないね

雨の星座があってもいいね


街頭の明かりをくぐる

白線を照らしてるのは星だけじゃない


頂上がてっぺんじゃない坂の上

カシオピヤ座と街のチラチラ


語り尽くせぬ夢

あの桃に香りがあると言うので手に取った


両肩が触れ合う距離で揺られてはこぐま座になる 二人はいつも


夜空が広いから名付けられた

もう迷子にならないからおやすみ 


やや西の空まで月を眺めてた

後ろはなんか明るい感じ


「空欄に希望職種を書きなさい」

「全部倒して星になります」


月の上 明星の立つ 青色の星は星座になれずに泣いた


皮下に住む何千億の細胞も星になろうとしているのです


人の住む星に出会えず飛ぶ夜もライカがきっと僕らを抱いて


かき揚げの桜色した海老たちが好きな星座の並びをしてた


煎餅をひっくり返し日に焼けば光の余波の中で眠れる


午前二時 背中に君を感じつつどう願おうか考えてみる


電線が五線譜になる

夏めいたピアノの音は右肩上がり


風が凪ぐ

静かな木々の隙間には星座みたいな木漏れ日が差す


あの距離の星に願いをかけるのは確かに在ると知っているから

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「全部倒して星になります。」 淡島けのび @k_awashima

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