焦燥と歓喜と脱力と

 いつもより20分、いや30分遅れで起床したことに気がついた時、この世の終わりかと家を飛び出した。赤信号の時間を利用して必死に寝癖を直しながら、まばらな朝の2車線道路を走って行く。バックミラーとサンバイザーの鏡を駆使し、乱暴に着たスーツを整えた。

 しかし、いざ会社に到達すると、誰の車もない。いつもなら工場長がフォークを乗り回している時間帯のはずだった。

 首を傾げながら俺は薄曇りの空の下、スマートフォンを取り出した。そして、全てを悟ったのだ。

「今日祝日だ…」


 

 

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