願い

 ジャンク品の上に積まれている錆びついたランプには、税込660円の値札シールが貼られていた。

 いかにも「魔法のランプです」と名乗りを上げるような造形とは裏腹に、古いゲーム機と喋るタイプのぬいぐるみの上に横たわるその姿は、こちらへ世の中の薄暗い部分を主張しているようだった。

 壊れたキーボードとマウスを売り、自室をスッキリさせたばかりなのに。その粗雑な佇まいは、どうにもわたしの心を掴んで離さない。

「660円になりまーす」

 気が付けば、わたしはランプを片手に店を出ていた。

 出入口を出て、すぐに手元を見下ろす。

「…袋貰えばよかった」

 これを片手に、徒歩10分。もうすでに手放したくなっていた。

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