第22話 ゴブリンメイジ

~ゴブリンメイジサイド~


 リュウト達の反対側では、アクモ・ウラノ・タナがゴブリンメイジと対峙していた。


「やっぱり強そうな雰囲気があるよね・・・」

「あの数のゴブリンを従えているんだよ?それだけ強いってことでしょ!」

「大丈夫だとは思いますが、油断せずにいきましょう」


 対するゴブリンメイジはアクモ達を見ても全く警戒していなかった。

 それだけ自分の力に自信を持っている証だ。


「コノタタカイ、ワレガマケルハズガナイ」


 早速ゴブリンメイジは攻撃態勢に入る。

 杖を前に構え、魔法を使うために魔力を成形し始めた。


「何かやってきそうだ・・・」

「まずは魔法を防いだ方が良い気がする」

「ここは私に任せてください」


 魔力の成形、変質を終えたゴブリンメイジは魔法を放つ。


「火魔法・第一階位『ファイアボール』」


 ゴブリンメイジは人の頭ほどの大きさの火を飛ばしてきた。

 それに対処するべく、タナが動き出す。


「闇魔法・第一階位『ダークホール』!」


 タナの前に、ファイアボールよりも少し大きい黒い膜が現れる。

 そこにファイアボールが衝突すると黒い膜に吸収されていき、遂には消えてなくなった。


「タナの魔法、凄い・・・!」

「なんかカッコイイね!」

「闇魔法は他の魔法を吸収できるんです。だからゴブリンメイジとは相性がいいかもしれません」

「それは心強い・・・!」

「タナが守ってくれるなら、私は攻撃に専念しようかな!」


 魔法をあっさり止められてしまったゴブリンメイジは、少し驚いていた。


「サスガニ、ナメスギテイタカ」


 簡単に倒せると思っていたからこそ、あまり力を込めていなかった。

 それでも1体くらいはダメージを与えられると考えていたのだ。


「ココカラハ、ゼンリョクデイク」


 ゴブリンメイジは先ほどよりも多くの魔力を込めて、魔法を放つための準備を始める。


「何か大きな魔法が来そうだよ・・・」

「攻撃こそ最大の防御さ!私は行くよ!」


 ウラノは翼を広げて空に飛び立ち、ゴブリンメイジに向かっていった。

 そしてそこからゴブリンメイジに、攻撃をする。


「『竜息』!」


 続けてアクモも攻撃するためにスキルを使う。


「僕も行くよ・・・『瞬歩』」


 ゴブリンメイジは、空と地上の両方から同時に攻撃がされる。

 しかし焦っている様子はない。

 なぜなら、それに対抗できるほどの魔法を準備していたからだ。


「火魔法・第一階位『ファイアウォール』」


 アクモ・ウラノとゴブリンメイジの間に、炎の壁が作られる。

 これによって『竜息』は消し飛ばされ、アクモも『瞬歩』で近付けなくなった。


「また来ます!気を付けてください!」

「そんなすぐに・・・!?」


 ゴブリンメイジは『ファイアウォール』を放った直後から、次の魔法の準備をしていたのだ。


「火魔法・第ニ階位『エクスプロージョン』」


 先ほどの魔法よりも強力な魔法を放った。

 広範囲を吹き飛ばす爆発が起きたのだ。


「うわっ!」

「くぅ・・・!」


 ゴブリンメイジと距離の近かったアクモとウラノは、爆発の衝撃によって吹き飛ばされる。

 アクモは近くの木に身体をぶつけ、ウラノは飛行が不安定になったことで墜落。

 2体とも、かなり大きなダメージを受けてしまった。


「オマエタチニ、カチメハナイ」


 ゴブリンメイジは休む間も与えずに、次の攻撃の準備を始める。

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