第20話 対ゴブリンリベンジマッチ
グー爺に魔法を教わり始めてから、数日が経過していた。
必死に練習を重ねたおかげで、リュウト達は成形、変質、発動という魔法の3段階を習得できている。
今はゴブリン討伐のために、集落へと歩いていた。
魔法を教えていたグー爺も一緒だ。
その日は雨など降りそうもない快晴だった。
「よし、いよいよだ!」
「俺が全て倒してやる!」
「前はボロボロだったもんねー」
「なんだと?!」
「まあまあ・・・。落ち着いてよ」
「私も魔法でドッカンバッコンやっつけるよ!」
「間違えて味方に攻撃しないでくださいね」
リュウト達の様子を見ていたグー爺は、その仲の良さに笑顔となっていた。
「ほっほっほ。本当に素敵な関係じゃな」
「家族みたいなものですからね」
「ほっほっほ」
「そういえば、どうしてこんなにも親切にしてくれるんですか?」
「昔から教えるのが好きなんじゃよ。いつも世界を旅して出会う者たちに魔法を教えてきたのぉ」
「そうなんですね。グー爺に出会えてよかったです!おかげで魔法を使えるようになりましたし!」
「その成長を見れるのがワシの喜びじゃ」
グー爺は丁寧に魔法を教えてくれたため、みんなグー爺のことが好きになっていた。
慎重なタナでさえ、初日から好意的に見ていたのだ。
だからこうして付いてきてくれるというのは、リュウト達にとってかなり心強い。
リュウト達はしばらく歩き、ゴブリンの集落に到着。
リュウトはその集落を遠目に見ただけだが、前回よりも大きくなっているように感じていた。
ゴブリンが増えているということだ。
「気を引き締めていくぞ」
「「「おう!」」」
ゴブリンはまだリュウト達の存在に気づいていない。
まずはウラノのスキルで、出来る限り数を減らすことにした。
「頼んだぞ、ウラノ!」
「任せてよ!『竜息』!!」
ウラノから口から放たれた『竜息』によって、小屋に籠っていたゴブリンにまで攻撃が届いていた。
前回よりも威力があがっていたため、攻撃はかなり広範囲。
その結果、10体ほどのゴブリンを倒すことに成功している。
「よくやった!みんなも行くぞ!」
襲撃に気づいたゴブリン達が一斉に出てくる。
リュウト達はそれぞれが対処をしようとしたのだが、グー爺がある提案をした。
「ちょいと待つんじゃ」
「どうかしたんですか?」
「ゴブリンの相手はワシに任せるといい。皆は奥にいる親玉の元に向かうんじゃ」
「奥?」
集落の奥には少し小高い丘がある。
その頂上には、通常のゴブリンよりも大きな個体が2体たたずんでいた。
「あそこにいるのは恐らくゴブリンジェネラルとゴブリンメイジじゃ。ここらにいるゴブリンとは格が違う。皆で協力して倒すといい」
「そんなこと俺らに出来るんでしょうか・・・」
「リュウト以外はそんな不安はなさそうじゃぞ?」
リュウトが周りを見ると、ゴブリンジェネラルとゴブリンメイジにくぎ付けになっている仲間たちがいた。
「あれに勝ったら、ゴブリンなんか俺の敵じゃないってことだよなぁ!」
「アレスもゴブリンじゃん」
「それにアレスだけで戦うわけじゃないよね・・・」
「そんな細かい事気にしないでよ!とにかく勝てばいいんでしょ?」
「相手の力が分からないんですから、もっと集中した方がいいですよ」
そんな仲間を見たリュウトも、気を引き締めなおす。
「・・・俺もビビっているわけにはいかないな」
「その意気じゃよ」
「よし!グー爺、じゃあここのゴブリンは任せました!」
「うむ。あそこまでの道を開くぞ」
リュウト達がゴブリンジェネラルとゴブリンメイジの元に行けるよう、グー爺は魔法を放つことにした。
「水魔法・第二階位『ウォーターキャノン』」
グー爺の目の前に、身体の大きさより大きな水の塊が生み出され、砲撃のように発射された。
それに当たったゴブリンは身体が抉られたり、吹っ飛ばされたりしている。
倒されたゴブリンの数は『竜息』の比ではない。
「ほれ、道を開けたぞ」
グー爺が使った魔法のあまりの威力に、リュウトは驚きを隠せなかった。
「これならグー爺一人で倒しきれるんじゃないか・・・?」
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