第17話 グー爺との縁
リュウトとアクモは何とかウラノの近くまで逃げることが出来た。
ここまで来ることが出来ればウラノの炎があるため、ゴブリンが近付いてくることは無い。
「このまま洞窟まで行こう!ウラノ、アクモ、もう少し頑張ってくれ!」
「もちろんだよ!」
「うん!」
その後も周囲を警戒しながら洞窟に向かう。
道中は他の魔物に遭遇することも無く進めた。
時々後ろを振り返って、ゴブリンが追ってきていないことを確認。
そしてついに、洞窟まで逃げてくることが出来たのだ。
洞窟に戻ってきたらすぐにアレス達を横たわらせ、休ませる。
呼吸は整っているが、身体には大量の傷があり気を失ったままだ。
「かなりの傷だな・・・」
「あんなにゴブリンがいるとは思わなかったね」
「俺らがいくらゴブリンを倒せるとはいえ、あの数には敵わないよな」
「アレスも倒されたし・・・」
最後まで戦っていたアレスが一番傷ついている。
血が流れ続けているため、早く治療する必要があった。
しかしリュウト達にその術はない。
「どうしたらいいんだ」
その時、洞窟の入り口から足音が聞こえてきた。
「ひどい雨じゃな・・・」
その人はボサボサの白髪で腰の曲がった老人男性だった。
濃いめの紫ローブを着ており、背丈よりも大きな杖を持っている。
外は未だに雷雨であったことから、老人は雨宿りの為に洞窟にやってきたようだ。
その老人は洞窟の中にいたリュウト達に気がついた。
「先客がいたのかのぉ。・・・おや、酷い傷じゃ。早く治した方よい」
「・・・あなたは?」
「世界を旅している年寄じゃ。皆はワシのことをグー爺と呼ぶから、そう呼んでくれるとうれしいのぉ」
「俺はリュウトといいます。ここにいるのは、みんな仲間です。助けてあげたいのですが、どうすればいいのか分からなくて困っているんですよ」
「ならワシに任せるんじゃ」
グー爺はアレス達の近くに行き、様子を注意深く確認。
傷の程度を正確に見極めると杖を構え直し、力を込め始める。
そして準備が整うと、グー爺は回復させるための力を行使した。
「回復魔法・第二階位『エリアヒール』」
それはリュウトが初めてみる魔法だった。
優しい光に包まれ、アレス達の傷が塞がっていく。
「凄いな・・・」
「ほっほっほ、そんな凄くもないけどのぉ。とりあえずこの子らは大丈夫じゃよ。しばらくすれば目も覚めるじゃろ」
「ありがとうございます!」
リュウトは頭を下げ、グー爺に感謝の気持ちを伝えた。
それに対してグー爺は朗らかに笑っている。
「これも縁じゃからな。それにしても、どうしてこんな傷を負っていたんじゃ?」
「実は近くにゴブリンの集落が出来ていたんです。そこのゴブリン達に負けて、こんな事になってしまいました・・・」
「そうかそうか」
「俺がもっとしっかりしていれば、こんな事にはならなかったかもしれません」
リュウトは今回のことに責任を感じていたため、肩を落としてしまった。
その様子を見たグー爺は一つの提案をする。
「まだ雨もあがりそうにないし、ワシにも時間がある。良ければ今の時間に魔法を教えてあげようか?」
「え!?いいんですか!」
この提案にはアクモとウラノも驚いた。
「私も魔法を使えるようになりたい!」
「僕も強くなりたい・・・!」
3人とも自分がさらに強くなれる可能性を感じ、目を輝かせている。
「ほっほっほ。では知っている限りで魔法のことを教えてあげようかの」
こうして、グー爺による魔法講習が始まることとなったのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます