第6話 はじめての進化
ハイコボルトは、重力によって地面に落ちてきたリュウトを見下し、最後の攻撃をするために振りかぶった。
「・・・おしまいか」
その時、聞きなれない音が聞こえてきた。
何かが引きちぎられるような音。
何かが砕かれるような音。
何かがしたたり落ちるような音。
聞いていて心地よいものではない。
ハイコボルトもこの音に気がつき、音の出所を探る。
リュウトも満身創痍ながら周囲を見渡した。
リュウトがハイコボルトとは反対側を見たとき、その音の正体に気づく。
「やっぱりおいしくねえな」
そこには、倒れたコボルトを食べるホブゴブリンの姿があった。
身長が伸び、ガタイが良くなっている。
何より言葉を発していた。
男性のような声だ。
「ゴブリン・・・!!」
「もうゴブリンじゃないぜ」
「た、確かにそうだな」
「・・・とにかくあいつをやる」
ホブゴブリンはハイコボルトの事を睨みつける。
先ほどの弱々しい姿とは違い、ハイコボルトと同じような体型になっていた。
ハイコボルトはホブゴブリンの身体の変化と殺気に当てられ、数歩後ずさる。
「はじめようかぁ!」
ホブゴブリンは先ほどよりも素早い動きで近づき、棍棒が壊れそうなほど力強い攻撃を仕掛ける。
「次は負けないぜ!」
「コボ・・・!!」
ホブゴブリンはハイコボルトの足や腕を狙い、確実にダメージを与えている。
常に大きな力を加えているため棍棒が壊れてしまうこともあった。しかしホブゴブリンはその度に、床に転がっているコボルトの物だった棍棒を拾い上げて使っている。
ホブゴブリンは今までのダメージがなかったかのように、激しく動いている。
対するハイコボルトはダメージや疲労が溜まっており、絶え間なく続いているホブゴブリンの攻撃に押されていた。
時間が経つにつれハイコボルトの身体に当たる攻撃頻度が高まっている。そのため、ハイコボルトだけに傷が増えていた。
だからといって油断することもせず、常に全力で攻撃をしている。
「あと少しだ!!頑張れ!!」
「言われなくても!」
ハイコボルトは脚に強烈な一撃を受けた。
その痛みから立ち続けることは出来ずに膝をつく。
この体勢ではホブゴブリンに頭を向けることになる。
その隙を見逃すわけもなかった。
「おしまいだ」
ホブゴブリンは、ハイコボルトの頭に全力を込めた棍棒を当てる。
「コボ・・・!」
ガードをされることなく頭に当たった衝撃によって気絶。
ついにハイコボルトは倒れたのだった。
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