第18話 子供を救え


オニキス邸を出たフィオナ、ラピス、セレスタイトの三人は、町で兵団のナンバー2のスピネルを見つけ尾行した。

そしてスピネルが兵士と話しているのを見て真実の鏡を使った。


「秘密結社タルタロスの入り口はどこ?真実を教えて…!」


フィオナがそう言い鏡をスピネルに向け映すと、鏡の中のスピネルが答えた。


「タルタロスの入り口はこの先の地下室だったかな」


「…ありがとう鏡!」


フィオナはそう言うと、鏡を大事に鞄にしまった。

そして見張りの兵士が別の方向を向くのを待つと、三人は地下室にこっそり入って行った。


「さぁ、ここからだぞ…どうする?」


ラピスがそう尋ねると、セレスタイトが猫から元の姿に戻り、剣を抜きながら二人に言った。


「ここからは私が先頭を行きます!お二人はついて来てください!」


…頼しーい!


フィオナもラピスもそう思いながら小さく拍手した。

先を行き兵士に見つかってもその兵士を気絶させ、セレスタイトがどんどん奥へと二人を誘導してくれた。


「さぁ、怪しい扉が見えて来たわよ?」


フィオナがそう言うと、厳重に鎖の鍵をしてある扉を、セレスタイトが剣でこじ開け扉を開いた。

中は薄暗く、薬品や呪術に使う道具が置いてある様だったが、その奥に子供達が入れられた大きな檻があった。


「君達!大丈夫か!?」


「怖がらないで!私達助けに来たのよ!すぐ檻から出してあげる!下がってて!」


フィオナが杖を振り熱風で檻をこじ開けると、子供達が出てきた。


「本当に助けに来てくれたの?」


一人がそう尋ねると、フィオナは頷きながら小さい子をギュッと抱きしめた。


「助けが遅くてごめんね…もう大丈夫!」


すると皆フィオナ達に寄って来てくれた。


「さぁ、どう脱出したものかな?」


「もちろん強行突破あるのみです!」


ラピスの言葉にセレスタイトは答えると、剣を抜いて先頭をまた駆けて言った。

フィオナとラピスは子供を補助しながらそれに続いた。

あっと言う間に秘密結社タルタロスの入り口まで来て皆無事に生還すりと、今度は入り口を塞ぎ暫く中の者達が出れないようにした。


「これで後で中の者達を全員逮捕出来るわね」


「はい、そのように騎士団が総力をあげてつとめます」


「ありがとうセレスタイト、事がスムーズに運んだわ」


セレスタイトは深くおじきをすると、子供達をフィオナとラピスに任せ騎士団本部へと馬を走らせて行ってしまった。


***


その後セレスタイトは騎士団を引き連れて戻って来ると、秘密結社タルタロスに残っていたメンバーを根絶やしにした。

残念ながらスピネルやジャスパーに繋がる証拠はなかったが、関わっていた貴族達を子供達の証言で逮捕出来た。


「身寄りの無い子も結構いたみたいだな」


ラピスがそう話し掛けると、フィオナは庭園の花に水やりをしながら言った。


「そうね、今回お金も没収する事が出来たから、そのお金で保護施設を作ろうかと思ってるわ。たまにでいいから手伝ってくれる?」


「了解、それまで子供達を離宮で世話するんだろ?セレスタイトも大人気だな」


猫の姿のセレスタイトは子供達に遊ばれていたが何をされても大人しくしていた。


「セレスタイト、大活躍だったわね。でもジャスパーがこのまま大人しくしているかしら?」


「わからない、何も無いことを祈るよ俺は」


雲行きが怪しくなり、空が暗くなってくると、ラピスが杖を振り庭園全体を透明なガラスの様なまくで覆った。

そのまま雨が降り出すと、皆静かになり、その雨音を楽しみながらお茶をした。


***


フィオナの心配は的中していた。


「タルタロスが潰されただと!?スピネル、お前は何をしていたんだ!?」


「申し訳ございませんジャスパー様!セレスタイトです!アイツが本拠地に乗り込んで…!」


それを聞いてジャスパーはコップを叩き割ると憤慨した。


「あんな青二歳にしてやられたと言うのか!?」


「最近何かがおかしいです…聖水の取れるドラゴンは逃げてしまうし…裏で手を回している者がいるのでは?」


「…スピネル。確か奪われた資金は王太子妃に流れているんだったな?」


「はい!そう聞いております!」


ジャスパーは何か考え込むと高笑いをし言った。


「スピネルよ、今度晩餐会があったな?そこで王太子妃を毒殺する」


「はっ!?毒殺…でございますか!?」


「そうだ、呪いのかかったりんごを食べさせる。古風なやり方だが一番効果があるだろう?」


「わかりました。その様に手配致します」


そしてジャスパーはまた声高く笑った。

その声は雷鳴と雨音でかき消されていった。











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