第7話 織姫、学校生活を送る。

「ぉはよーございまーすぅぅ、、」

今にも消え入りそうな声を発しながら、私は教室のドアから教室内にぴょこっと顔を出した。正直、非常に入りずらい。


なぜって?

そりゃ、遅刻したからである。

それも、大幅に登校時刻を過ぎている。


実は、今朝あのままアラームを設定していたのに止めてさらにそのまま寝てしまったのだ。

両親は、いつも通り朝早く仕事で家を出るため起こしてくれる人は誰もいない。結局起きたのは、登校完了時間である、8時10分だった。しかし、学校の場所が私の家からダッシュすれば5分でたどり着く場所に在ったことが不幸中の幸いだ。



あぁーーー。

クラスメイトの視線がこちらに集中している、、、。

ほんと、こういうのやだ。

普通に、平凡に暮らしたいのに。


そう言うと、家族や友達から昔はもっと目立ちたがりだったのにね。と言われる。


蛍に至っては、

「もっとその美人な顔で目立てばいいのに」

といわれる。


『そんなわけないじゃん』


蛍のお世辞にも、程がある。

お世辞にも限界というものがあるんだから。


もちろん、

自分では、そうは全く感じない。


私は、ごくごく平凡な女子高校生なんだから。


あまり自分から行動したがらないから普段は、好きなラノベを読んでいる。この時だけは至福の時間だ。


自分の世界に入って、周りのことを気にしなくていいから。


それに、まだ入学して3ヶ月くらしいか立っていない。

友達は、小学校や中学校から同じ莉子と輪廻そして蛍だけ。


しかも、同じクラスなのは莉子だけなので、非常に心細い。

別に莉子が頼りないわけじゃない。一所にいるのも楽しいし、頼りになる。

とはいえ、やはり2人だけでは少し物足りないんだ。



そんなことを頭の中で振り返り、現実逃避をしていると、先生が

「おぉ、織川。来たか。昨日、体調が悪くなって保健室から戻って来なかったから今日は休みだと思ったぞ。荷物を片付けてとりあえず座ってくれ」

どうやら、1時限目は鶴木先生の社会だった。


ある意味ありがたい。

一番、鶴木先生が慣れているからだ。


一時限目は、

しかし、クラスメイトの視線は私に注がれたまま。

私は、居心地が悪いままこの時間を過ごしきった。

頑張ったと思う。


そして、休み時間。

「今日は、やっぱり来たんだねー」

「まぁね」

誰が話しかけてきたかというと、もちろん莉子である。


「また、ラノベ読んでるの?」

「うん、でも昨日のとは違うよ。これは、中華系」

そう言って、私は開いている本を閉じて表紙を莉子に見せた。


「本当にこういうの好きだね。たまには、恋愛系も読みなよ」

「だって、恋愛系って最終的にはカップルでくっつくから最後が読めるし、大体パターンが限られるじゃん」

「そうだけど、、、。」


そんなことで、言い争っていると、教室入り口から聞き覚えのある声が聞こえた。


「あー。いたいた。遅かったねー」

輪廻だった。


莉子が用事があるからと先生の方へ行ったので、私は輪廻の方へ窓際の席から少し急いで向かった。


「本当に来なかったね!」

私が言うと、

「?何が?」

と輪廻が返してきた。

「いや、転校生」

「あぁーーー。でしょ!というか嬉しそうだね」

納得したように言ってくる。

「でも、明日は来るかもね」

「あーもう!なんで、そう言うこと言うかな」

笑いながら告げると、

「だってそうなるかもしんないじゃん」と言ってくる。


「本当に明日来るかなー」

「来ないことを祈りたい?声のトーン下がってるよ?」

「もちろん。じゃないと私、毎日保健室通いのオンライン受講生になっちゃうよ」

「そこまでダメなの?」

「うん。だってあの人、胡散臭いんだよ」


そんなやり取りをして休み時間は2時限目の授業開始のチャイムによって終わりを告げた。


この後は、何事もなく1日が終わった。


7月3日

今日も丘星清理は来なかった。

その他にあまり変わったことはなかった。

あったとすれば、私が所属しているテニス部の顧問の先生がぎっくり腰で部活中倒れたくらいだ。


7月4日

今日もあいつは来なかった。あいつって誰だって?もちろん丘星清理のことだ。


7月5日

今日もあの人は来なかった。

莉子が少しソワソワしてるように感じた。なんでだろう?好きな人でも出来たのだろうか。


7月6日

今日もまた、あの人は来なかった。さすがにここまで連続で休みだと嫌でも心配になる。もう、あの人のことは考えないようにしよう。天気予報を見た。明日は、晴れるらしい。

〖よかった。〗

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